加藤のメモ的日記
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| 2010年02月17日(水) |
地球の中心は火のかたまりか |
私の勤務する極地研究所の玄関にある展示ホールの一隅に、南極で採集された隕石が並んでいる。その中に二つに切断された10センチほどの鉄隕石が展示されている。切断面はピカピカと銀色に輝き、宇宙空間に何億年もさまよったのち地球上に落ちて来た天体とは思えない新鮮さがある。その鉄隕石を見るたびに、私は地球の中心部もこんな姿をしているのだろうという感慨にふける。
1969年、アメリカのアポロ計画で月の石が採集され、地球に持ち帰られるまでは、隕石は宇宙人と共に宇宙空間の情報を直接入手できる貴重な試料であった。当時、日本には隕石は20数個しかなかった。同じ年、日本の南極観測隊がやまと山脈の裸氷帯で数個の隕石を発見した。この発見を契機に、南極では多量の隕石が採集できると注目されはじめ、組織的な隕石採集のプロジェクトが実施され、大量の隕石が集められた。
南極隕石(南極で採集された隕石の総称)は地球科学、宇宙科学の分野の研究者から注目を集めるようになった。日本では5000個以上の南極隕石を保有し、現在では世界一の隕石保有国である。隕石は太陽系の宇宙空間に浮遊していて、何かの理由で地上に落下してきた物体である。太陽系が生成された40数億年前の形そのままの物質も含まれている。
たくさんの隕石の中には、地球には見られない物体もあるし、月や火星の石と推定されるものも含まれている。鉄隕石とよばれるものは、文字通り鉄の塊であるが、これこそかって天体の中心部を形成していた物体で、天体同士の衝突の結果、粉々に割れて宇宙空間をさまよっていたと推定されている。そして、同じ太陽系の惑星である地球の中心も、鉄隕石と同じような姿をしているであろうと想像されるのである。
地球が形成された時、重い物質が中心部に集まり軽い物質はその外側を覆った。その重い物質は鉄である。けれども、その地球の中心を形成する鉄は、高温のためドロドロに溶けていると考えられた。その証拠として、地球の中心を通る地震波はタテ波だけで、ヨコ波は消えてしまう。つまり、地球の中心は液体であると考え、核と名づけられた。
先に述べた小学校の先生の「地球の中心は火のように熱く燃えている」という話も、このような事実からの知識である。ところが、地球の中心を通ってくる地震の波を詳しく調べてみると、それだけでは説明のできない波が見つかった。核全体を液体と考えるより、核をさらに外側と内側の二つにわけ、外側は液体、内側は個体と考えたほうが地震波の伝わり方をより正確に説明できるというモデルである。
そして外側の流体の部分を外核、内側の個体を内核と呼ぶようになった。地球の中心は高温であるとともに、圧力も高いので、外核にあるドロドロした流体の物質も、内核では固体になると説明されている。
『地球の中をのぞく』
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