加藤のメモ的日記
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| 2010年01月31日(日) |
象牙を狙われたアフリカゾウ |
このまま手をこまねいていたら絶滅してしまう動物の一つとして、アフリカゾウがある。アフリカゾウは、現在生きている陸生哺乳動物の中でもっとも体が大きく、体長4メートル、体重10トンに達するものがいる。そんなアフリカゾウの唯一の敵が人間で、多くのゾウたちが象牙を狙われて殺された。
とくに1970年代、野生動物を守るための国際法であるワシントン条約の発動が裏目に出て、象牙の価格が高騰したために、大規模な密猟が行なわれるようになった。ことに東アフリカ諸国のケニア、タンザニア、ウガンダ、ジンバブエなどにおいては、4カ国の合計で年間20万頭も殺されたといわれている。
密漁者たちは、野生動物の聖域である国立公園や保護区も横行する。アフリカゾウ最大の生息地の一つといわれるのは、一万数千頭が生息するケニアのツァボ国立公園だが、この地はかってはアフリカ最大の密猟地帯だった。
毒矢があたったゾウは、何日もかかって次第にその体を蝕まれ、やがて群れから遅れはじめる。ゾウはついに動けなくなり、群れはあきらめて去って行かざるを得ない。そこで後をつけてきた密漁者はとどめを刺し、ゾウを地中に埋める。
そしてほとぼりがさめ、肉が腐ったころ合いを見計らって象牙を抜き取るのである。子ゾウをつれた母親だった場合は、子ゾウも群れから離れて母親のもとに留まる。密猟者は子ゾウまで殺しはしないが、動物園や観光施設のペットになる。たとえ野生に生き残ったとしても、一人ぼっちで残された子ゾウは、だれからも守ってもらえない。大人のゾウは敬遠する猛獣たちも、子ゾウなら襲う。
象牙を狙う密猟は無作為に、時にはその意に反して子ゾウの死を招くのである。密猟者が横行しているとはいえ、封鎖された空間で比較的保護が行きとどくアフリカ諸国の国立公園や保護区では、ゾウの頭数は増える傾向にある。
増えたゾウは大量の木や草を食べるので植物生態系を破壊してしまう。結果的にはこれは草食動物のすべてを巻き込んでしまうので、間引く必要があるという声もある。一部は真実だ。しかし、ゾウは生態系を徹底的には破壊しない。それどころか、ゾウは生態系で重要な役割を果たしていることが、先に取り上げたツァボ国立公園などでわかっている。
この土地は、ヤブだらけの荒れ地だったのだが、1948年に国立公園となってゾウが増え始めると、ゾウたちは木の葉や芽などでは食物が不足し、木を押し倒して枝などを食べ、一時的に生態系は攪乱された。そのため「増えすぎたゾウを間引く」という意見が強くなったのだが、反対者の意見も考慮して様子を見ていると、ゾウが倒した木々の後から草生え出し、ヤブは草原になっていった。
それにつれてシマウマやスイギュウなどの草食獣も爆発的に増え始めたのである。また干ばつで水が干上がると、ゾウは持ち前の嗅覚の良さで水を求め、前足と牙で穴を掘って水場をつくるため、他の動物たちも助かる。ゾウは大食漢のために一見、環境を破壊しているようにみえることもあるが、長期的にみれば環境を維持する役目もはたしているのである。
『滅びゆく動物たち』
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