加藤のメモ的日記
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●大蔵 テリーさんのような考え方は、例えば大前研一とかいう人もそういう立場ですが、多くの人々はやはり経済的に占領されちゃうのはいやだというんじゃないですか。
◎テリー 日本人の個人の預貯金が1.200兆円あって、それが海外に流出するという意識は一般庶民にはないんじゃないです。 ●大蔵 実際に流出しているんですよ。
◎テリー あなたの論理だと、そのお金が海外に流出するという言い方になるんでしょうけど、海外の銀行に預けたほうが、日本の銀行に預けるよりもよっぽど利益があがるんだから。自分の金が誰かに持っていかれちゃうわけではない。
●大蔵 それは国家に対する考え方の違いともいえる。
◎テリー そうですね。あなたの考え方は庶民とはあまり一致しない気がする。
●大蔵 でも、国民のある部分にはすごくアピールしますよ。
◎テリー そうなのかなあ
●大蔵 いや、しますよ。テリーさんみたいな職業や考え方の人は多数派じゃないですもん。だって、日本の中心にいるからそう思うのであって。あなた、芸能人でしょう。東京生まれ、東京育ちでしょう。そんな目で北海道の寒村の一納税者の考え方がわかるんですか。さらに言えばだ、日本の銀行が全部潰れて、ユダヤの銀行になっていいんですか、そのかわり金利は1パーセント上がりますけど、それでいいんですか?あなた、自分のことばかり考えてるだけじゃないか!我々は国家のことを考えているんですよ。この国をつぶしちゃいけないんだよ!
◎テリー 日本の官僚は何かあると、必ずユダヤ陰謀説を持ち出してきますね。
●大蔵 ユダヤが相当なことをやっているのも事実だしね。
◎テリー本気で信じてるんですか、ユダヤ陰謀説を。
●大蔵 実際えらいめにあったりすることがあるからですよ。
◎テリー 僕なんか例えば、山一がなくなったということはいい加減なところがつぶれたという点で、単純にめでたいと思っているけどね。
●大蔵それはテリーさんはやっぱり少数派だと思うんですけど、一般新聞、朝、毎、読の経済面をも一回調べてみればわかるんですけど、例えば、東証でまだ山一があったころ四大証券を合わせても、外国証券のシェアに負けたというのは大ニュースになったわけです。その書き方というのは「日本はこれで大丈夫なのか」。朝日新聞と産経新聞と同じ論調でしたよ。それは自然の摂理で「一般国民にとってよければそれでいい」と書いたところは一社もないんですよ。朝・毎・読・産経・日経が日本国民の声を代表しているとは思わないけども、全紙に共通している論調なんですよ。
日本以外でも、マレーシアのマハティール首相は有名でしょう。彼が常に言っているのは「アメリカの侵略を許すな」です。それは軍隊は関係ない、経済侵略を許すなといって、あれだけ強い支持を得ているわけです。日本はまだそれが薄いほうですよ。テリーさんは、ものの考え方にしても、生き方にしても自由人だから、そういう考えになじまないけれども、民族を忘れてはいけない。
山一證券が破綻する前に、山一證券の株価がものすごい勢いで急落しました。その原因は、ジョージ・ソロスというユダヤ系、ハンガリー人。ハンガリーからアメリカに亡命した投機家が、山一證券を徹底的に、まず空売りしたわけです。売って、売って、29円ぐらいまで下がったところで一斉に買い戻した。山一證券を一つつぶして、ソロスの懐に入った金は少なくとも4千億以上といっているわけです。
そうすると世界の規制緩和の流れの中でということではなくて、そういう特定の投機が大蔵、日銀の手が及ばなくなった隙を狙って実際にやってるじゃないか。それにソロスがやっているのはアジアだけではないんです。92年か93年だったと思うけど、イギリスのポンドが暴落したんです。それでイギリスの経済はその後たいへんで失業者も増えて実際に困った人がいっぱい出たんだけど、あのときも同じ。ポンド売りをソロスが徹底的やって、日銭1千億円儲けたんですよ。何ヶ月間も。
それを次にアジアでやって、まずタイのバーツを売って、インドネシアのルピーを売ってソロスがアジアの通貨危機をつくってとうとう日本に入ってきて山一を売って、売るだけならいいんだけど、安くなってから買い戻して膨大な利益を得た。ということは逆に安いところで売らなきゃいけなかった人間がいるわけでしょう。それをやって儲けた末に、山一をつぶしてしかもメリルリンチを入れて、メリル・リンチからソロスは莫大なマージンをとってる可能性も強い。そういううことを許していいのか、という話なんですよ。
『大蔵官僚の復讐』テリー伊藤
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