加藤のメモ的日記
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「赤ちゃんの時に可愛いと言われて、 花嫁の時に美しいと言われて、 お婆ちゃんになったら、また、可愛いと言われたいわ」
「人生ね、あてにしちゃいけません。あてになんぞするからがっかりしたり、悩んだりするんです。 あてにしちゃいけません。あてにしなきゃ、こんなもんだ、で済むじゃありませんか」
「ガン保健は、ガンになったら支払われるということではいたんですが………胃潰瘍だと医者が言うんです。どうもガンだと思うんですが、はっきりいってくれないんです。体はどうでもいいんですが、保険はどうなるんですかねぇ」
「体がちょっとおかしいぐらいで医者に行ってはいけません、たしかにいつもと違う、という自覚があってからで大丈夫です。今の診察技術だと、ちょっとおかしいを、とてもおかしいにしてしまう危険のほうが高いのです。人間ドッグに行ってから急に体長が崩れるのは、そのせいです」
「病人が集まると、病気の自慢をするんですよね。もちろん、重い人が尊敬されるんです」
「生命ってものは遺伝子のコピーなんですよ。人間だって威張っても、たかがコピーの機械なんです」
「手術は勝負です。賭ける部分がないと腕も磨けません。だから患者にも賭けてほしいと思うんですけどね」
「近代医学は二百年、東洋医学は二千年。 どっちを信用すればいいかよーく考えたほうがいいよ」
「ただ死ぬのは簡単なんだ。 死んでみせなきゃ意味がないよ」
「死ぬ前になりますと、人間は炭酸ガスが増えるんです。この炭酸ガスには麻酔性がありますから、最後はそれほど苦しまずに終るようにできているんです」
「当人が死んじゃったということが気がついていないのが、大往生だろうね」
「俺が死んだら教えてくれよ」という小話もある。
「ご臨終です……これが上手に言える医者になりたいと思います。昔は心臓が止まって、呼吸が止まって、瞳孔が開けばいいんですが、今は心電図ですからね。死んでいても、何かの拍子に動く時があるので困ります。だから上手にスイッチを切っておいて・・・・・・ハイ」
「病院で死ぬってことは、病院に殺されることです」
「年をとると、だんだん世の中がつまらなく見えてくるんですよ。つまらなくならなきゃ未練があって死ねやしません」
「死んだっていうからおかしいんだよ。 先に行っただけなんだから」
「死ぬってことはあの世とか、親のところに行くって感じだと思います」
「八十を過ぎたら、なんだか医者の扱いに手抜きが見えてくるよ、ウン。 だって、死んだって文句の言えないトシだからね」
『大往生』永六輔
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