加藤のメモ的日記
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◆生命の起源について 深海の熱水噴出孔で太陽エネルギーにほとんど頼らない独自の生態系が見つかったことは大きな驚きでしたが、もう一つ別の意味でも注目されました。それは地球上の最初の生命が熱水噴出口のような熱水のあるところで誕生したのではないかという可能性です。熱水をとって調べてみると、高温環境が好きなバクテリアである「高熱性細菌」が発見されました。
地球上のさまざまなバクテリアの遺伝子を調べてみると、古いタイプのバクテリアはどれも好熱性細菌です。また他の研究では、熱水環境を模した還元的な実験装置の中で、無機物から生物の材料であるアミノ酸が合成できたという報告もされています。最近では、海底下の地殻内からも好熱性細菌がたくさん見つかり「地下生命圏」と呼ばれ、生命誕生の謎に何か手がかりを与えてくれるのではないかと期待されています。
◆宇宙にロマンの翼を羽ばたかせ 考えてみれば、「太陽の光や酸素がない高温環境の中で最初の生命が生まれたかもしれない」という仮説はすごいことです。なぜなら、このような生物が生きられる条件は、地球上では限られていても、広い宇宙に目を向ければ簡単に見つかりそうだからです。例えば、木星にはたくさんの衛星がありますが、(イオ、エウロパ、ガメニデ、カリストの四個)その中のエウロパの表面は氷で覆われていますが、その下には生命があると考えられています。
水があれば太陽光線が届かなくても生命が存在しているかもしれません。また、イオには地球以外の太陽系内の天体の中で唯一、現在でも活発な活動をしている火山がありますから、もし熱水が噴出しているような海があれば生命が存在しているかもしれません。地球の深海底で生きる微生物は、地球外生命の可能性までも暗示しているのです。
『深海の不思議』 高澤 美奈子
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