加藤のメモ的日記
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| 2009年01月29日(木) |
アメリカ式謀略戦争の実態 |
アメリカ史を勉強しなおすと、インディアン皆殺しの歴史がある。大陸内部に侵攻し、席巻していく。19世紀の1世紀をかけてインディアンを皆殺しにしていく歴史です。その延長上にベトナム戦争がある。それ以前にメキシコ侵略戦争があり、1898年の米西戦争ではフィリピンとキューバを手にする。それから二つの大戦をはさんで帝国を形成していく。
アメリカという国は私たち日本人が考えているほどきれい事では済まされるような国ではない。平和と民主主義の国、デモクラシーの国アメリカとは違った別の顔を持っている。
実際にアメリカで暮らしてみると、アメリカ文化自体が戦略的で、しかも謀略と外交が一体になった関係にあるアメリカの別の顔に気づくのです。日本人はアメリカに戦争で負けたというコンプレッスクがあり、とくに戦後民主主義をアメリカから頂戴した経緯もあって、アメリカの持っている最もどろどろした本質的な部分を見落としてきたんじゃないかと思います。
そもそも日本の文化を象徴しているのは相撲ですね。まわし一つで土俵に上がるときには身を浄めて塩をまく。不正をしないことを誓って一対一で戦う。それに対してアメリカ文化の象徴は、アメリカのいわば国技であるアメリカンフットボールですよ。あれはたいへん戦略的なゲームです。いかにして相手のチームを欺き、どんな形で謀略と奇襲のシナリオをつくるか、、ハーフタイムごとに数分刻みの作戦会議で作戦を練ってプレーする。これはやはりアメリカの文化である。
そして日本の国技・相撲が裸なのと対照的に、重いプロテクターを着けます。重武装国家の文化なんです。それで集団で相手を圧倒していく。それがアメリカンフットボールなんですね。ルールはある。しかしそのルールの下でいかに相手を欺き、粉砕していくのか。これが建国以来のアメリカの文化なんだなあと、アメリカで暮らしてみて痛感しましたね。
そしていまや戦争が、お茶の間で見る壮大なショー、スペクタル化している。観客はポテトチップをかじりながらそれを見て、その危うさも、殺され続ける中東のイラク人たちの地獄絵にも思いを馳せることが出来ない。戦争の背後に潜むどろどろした利権も、その背後にひそむ謀略や奇計の危うさも見ない。自分たちがイラクの数千、数万倍の「大量破壊兵器」を核や超ハイテク兵器の形で持っている現象は、視野からすっぽり抜け落ちしまう。ただ相手方の大量破壊兵器だけを口実に戦争をしかけていくのです。
イラク問題で考えなくてはならないことは二つあります。一つはアメリカは兵器の実験場にしたかったこと。冷戦と湾岸戦争が終わったあと、クリントン政権がアメリカの兵器産業を三分の一に縮小しました。それで軍需産業が悲鳴を上げはじめるのです。そこでボスビア=ヘルツェゴビナの内戦をつくり、中東の危機を作り、今回のイラク戦争で一気に片付けるというプロセスが見えてくるともいます。
米西戦争ではメイン号が爆破され、第一次大戦の時には英客船ルシタニア号が爆破されてアメリカ参戦のきっかけになりました。真珠湾攻撃で、軍艦が爆破されることによってアメリカの厭世的世論が潰され、参戦に踏み切ったのです。メディアが好戦主義を煽り立てていく。それからトンキン湾事件、マヤゲス号事件です。フレームアップには軍艦とか船がよく使われます。
日本ではドイツのエニグマという暗号機と同じ機械を使っていたのですが、そのエニグマ機をアメリカは数十台保有し、カナの読み方まで数十から数百にわたるサンプルを取りながら、暗号解読に成功していたことがわかります。日本が現地から、あるいは官邸から真珠湾攻撃に向けていろいろやっていることがすべて筒抜けになっていた。情報戦における失敗・敗北の現実がよく見えてきます。
だから、見方によっては日本は国家戦略で負ける以前に、情報戦で負けていたのです。これは今日の日米経済戦争、例の1985年のプラザ合意に始まる「第二の敗戦」、つまりアメリカのマネー戦争で日本が敗北してバブル崩壊に至るプロセスとオーバーラップしてきますね。アメリカはエシュロンという諜報電子網を持ち、地球上に26個の偵察衛星を張り巡らせて世界中の情報をキャッチしていて、例えば1997年の日米交渉のときに、当時の橋本首相の会話がすべてホワイトハウスに筒抜けになっていた、といった現実が重なってきます。
建国以来ずっと侵略を続けてきた合衆国だけあって、侵略は謀略とセットになっていますから、その巧妙さにかけては日本なんかまるで赤子の手ですね。
『真珠湾からイラクまで』本田勝一
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