加藤のメモ的日記
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2009年01月26日(月) 水を飲む

水は生命の基本だ。体の70%は水分なのである。よく言う脱水症状上とは、この水分量が減少し、血液がドロドロに濃縮されてしまい、脳や肺に詰まってしまう。少し以前に飛行機の中で突然死として「エコノミークラス症候群」が話題になった。これも原因は脱水である。少しのどが渇いていても飲むのが面倒だったり、トイレのことを考えて飲むのをやめてしまったりしたために、脱水症状になってしまう。そして足のほうに血の固まり、血栓が出来て、動いたとたんに頭や肺の血管などに詰まってしまうのだ。

これは飛行機の中のことだけではない。オフィスでじっと座って仕事をしているときにも似たような状態は起きるから注意が必要だ。実は現代人は全体的に水不足といわれている。一旦、体が脱水症状に慣れてしまうと、それが普通になってしまう。だから、のどが渇いたと感じてから飲むのでは遅い。

必要な水分の摂取量の目安は、最低で体重の30分の1とされている。もし体重が60キロの人なら1日に2リットル。できれば20分の1の3リットルならなおよい。のどが渇いたときだけ飲んでいたら、ほとんどの人はこの量は飲まないと思う。よって、1日に2リットル飲むぞという意思のもとで、配分を考えて水分補給しよう。

ただし腎臓疾患のある人は例外である。腎臓が弱かったり、病気があると水分を体外に排出できないため危険である。腎臓疾患がなければ副作用の心配がないので、試してみる価値は高い。

またお茶や、糖分を含んだジュース類はこれに含まない。麦茶などは健康によいとされているが、緑茶にはカフェインなどの成分も含まれていて、あまり大量に摂り過ぎると胃などに負担がかかる場合がある。水道水にはカルキなどが含まれているので、フィルターで除去するか、ミネラルウォーターにすべきである。

この水にまつわる話で、僕の先生であるDr.テリー・グロスマンから聞いた興味深いエピソードがある。イラン革命のときであるが、ホメイニ氏が多くの人々を幽閉してしまった。その中にDr.バットマン・ゲリーニという高名な医師がいた。人々は体の具合が悪くなるとそのゲリーニ先生のところに行き診てもらった。彼は診察するが、薬も何もない。

病気がわかっていても治療が出来ない。そこで彼はどうしたかというと、「1日にいつもより3杯多く水を飲みなさい」と指示を出した。それで2年半の幽閉の期間に、3000人の人が彼の診察を受け、同じ指示を出した。彼は解放されたあとに本を出したが、そこで「90数%の病気は水を飲むことで治癒できると私は確信した」と書いているそうだ。

確かに胃潰瘍などは水を飲むことで胃酸が弱まるし、風邪でも脱水症状を起こすから、水分補給は大事である。腎臓結石などにもいいし、この水分補給はあながち無視できないものである。もちろんすべての病気が水を飲むことで治るとはいえないが、毎日の水分補給は心がけたい。

僕自身、この話を聞いてからいろいろと考えて納得して、1日に500ミリリットルのミネラルウォーターを5〜6本飲むようにしたら、とても体調がいい。外来診察のときもミネラルウォーターを机に並べて飲みながらやるようにしたら、以前は外来の最後のほう、夕方3時から4時ごろになるとかなり疲れを感じていたのだが、この水作戦を開始してから疲れ知らずで、外来ができるようになった。


『100歳まで生きる!不老の方法』坪田一男 医学博士


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