加藤のメモ的日記
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2009年01月11日(日) 最先端植林プロジェクト「スーパーボローニア」

ある用件でアメリカに出張したときに、“面白い木があるから見て欲しい”といわれたんです。ちょっとと言われたのでOKしたら、カリフォルニア州のベーカーズフィールドというところに3時間もかかって連れて行かれた。そこで“その木”を見せられたのです。相手は“この木はすごいんだ”という。

“どうすごいのか?”と聞くと“CO2をたくさん吸う木なんだ”と説明してくれたわけです。これが父親から二代に渡ってスーパーボローニアを開発してきたデニス・ビーソン氏との出会いだったんです。

ビーソン氏は石油コンビナートや試掘現場の周りが、土壌汚染されないように。スーパーボローニアを植えていったんですね。そして、確かにデータがあるわけではないが、この木が土壌汚染を防いだり、CO2を大量に吸収することは間違いないと断言したんです。

当時は『温暖化』という言葉を知っている程度だったんですが、この木を世界に広めることを仕事にできないだろうかと考えました。そこで1ヵ月後に再び渡米してビーソン氏に会い、彼の開発したスーパーボローニアを私たちの手で世界に広めていくことを約束したのです。おりしも温暖化は大きな環境問題となっており、ほかの木より何倍もCO2を吸収するスーパーポローニアなら、温暖化の防止に役立つのではないか。そう私は確信しました。

「まず、カリフォルニア州で植林を始めました。さらに大きく展開しようと考えていたところ、オーストラリアにもポローニアの開発をしている会社があることを知り、当時の思いを話しました。そしてオーストラリアでもスーパーボローニアの植林を進めていくことになり、その結果、北半球と南半球で年二回の植林ができることになりました。植林プロジェクトは緒についたばかりですが、地球をこれ以上破壊しないために、これから世界中に広めたいと考えています。

畑山氏はいま、スーパーボローニア100万本植林計画を立てている。その畑山氏から、素晴らしい言葉を教えていただいた。スーパーボローニアの生みの親、デニス・ビーソン氏からのメッセージだ「車のエンジンをスタートさせたとき、電気をつけたとき、食べ物を口にしたとき、母なる自然の資源を知ったとき……あなたはそれを地球に返さなければならない」スーパーボローニアはこの精神から誕生した。それは地球を元に戻さなければならないということだ。

桐とボローニア。独特の桐文化が根付いている日本では、この二つの言葉はどうも結びつかない。しかしどちらも、同じ桐から派生している。桐は中国原産の落葉広葉樹である。日本には飛鳥時代に渡来した。欧米に渡ったのは比較的新しく、19世紀半ばごろだという。それを持ち込んだのはほとんどが日本の移民だというから、欧米の桐でもあるボローニアも、ルーツは日本の桐にある。

日本では桐は高級木材だが、実は桐は木ではない。ゴマノハクサ科の植物で、その証拠に木の真ん中は空洞になっている。これは植物の特徴で、樹木には見られないものだ。にもかかわらず、成長すれば木の姿をしており、伐採後も木材として利用されている。桐は木であるながら、木ではない、不思議な植物である。

そのせいだろうか、桐は他の樹木より成長が早い。桐の種や生育環境にもよるが、だいたい15〜20年で成木になる。建材用として使われている松は通常40年、杉やヒノキになると約80年かかるそうだから、桐の成長がいかに速いかわかる。

スーパーボローニアは桐の仲間である。ボローニアは英語で桐を意味する。しかし「スーパー」とついているように、ただの桐の木ではない。数種類のボローニア(桐)を掛け合わせて誕生したハイブリッド樹木なのである。

交配によって生まれたスーパーボローニアは、その桐よりさらに成長スピードが早い。発芽から半年で4〜5メートルほどに成長し、幹の大きさも3年で直径30センチほどになる。だいたい4〜6年で成木になるというから、普通の桐の三分の一から四分の一である。杉やヒノキとは比べ物にならないくらい早い。

木が早く生長するということは、それだけたくさんの光合成を行い、大気中のCO2をたくさん吸収するということだ。吸収されたCO2は幹の中のセルロースの中に固定化される。セルロースの4〜5割は炭素が占めるというからCO2を吸収すればするほど、樹木は太く、大きく成長する。

杉やヒノキより非常に早く成長するスーパーボローニアは、それだけCO2の吸収量が多い。ではどれだけ多いのか。現在それについてはある大学で検証中だが、計算によって出すことができる。それによると1ヘクタール当たり年間55〜66トンものCO2吸収力を発揮することがわかった。これは、CO2の吸収力に優れているといわれる杉の10倍以上だ。いかにスーパーボローニアのCO2吸収力が高いかわかるだろう。





江原達治『死に向かう地球』


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