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2005年05月28日(土)
98映画ノートから「南京1937」

98.4.5        岡山松竹 
「南京1937」
1995年香港=中国合作 監督・呉子牛(ウー・ツウニュウ)
秦漢(チン・ハン)早乙女愛・劉若英(リュウ・ルーイン)陳逸達(チェン・イーター)
『阿片戦争』のあとにこれを観る。イギリスよりはるかに愚かなことを日本はしていた。『月桃の花』と同じように、頭では、20〜30万の虐殺があったとわかっていても、それをほぼ一週間ほどで終えようとすれば、確かにここの映像で描かれたように、何万もの兵士をすり鉢状の渓谷に押し込め、周囲から皆殺しにするしかなかったろうと思い至るが、この映画を見るまで、そういうイメージは全然わいていなかったし、国際難民キャンプがあることも知らなかった。ありえないことだが、そのキャンプさえ蹂躙するとは…。もちろん、日本人の私は眉に唾つけてこの映像を観る。しかし、『月桃の花』と同じように、本当はこんなもんではなかった…という声が中国人の間から聞こえてきそうな気もしている。
監督の意図は慎み深い日本人にはわかりやすい程よくわかる。本来はありえない日本人の妻と中国人の夫と、その子供たちを登場させる。最後には二人の子供が生まれる物語を軸に話を進めるのは、いたずらにに日本人に対する憎しみをあおるわけではないということだということはよくわかる。早乙女愛が本当に『愛と誠』の女優なの?といった迫真の演技をしてくれて、そういう意味でも日本人たる我々はほっとする。松井大将の男優久保恵三郎があまりに大根役者なので、余計そう思う。
日本軍の役者の演技があまりに大根だ等、欠点は幾らかある。しかし、単なる学習映画ではなく、フィクションを織り交ぜ、日本人には辛いがそれでも十分エンターテイメント性をもった映画に仕上がっている。もっと話題になっていい映画だ。

《現在の感想》
岡山松竹は比較的早い時期の上映だったため、右翼の妨害もなく、無事に上映を済ませた。問題はその後秋にかけて、右翼による上映中止の事態が起こることにより、この作品はいわば「幻」の作品になっていく。しかし、その作品自体はというと、欠点はないわけではないが、充分エンターテイメント作品として、通用するものであった。そろそろDVDで発売されてもよさそうなものなのだが。
その後南京事件の問題は何万人死んだか、何十万人死んだかに移ってきているように思う。しかし、問題は一人ひとりがどのように死んだか、であろう。陵辱と虐殺はあった。それは間違いないだろう。証言がありすぎる。それならば、もう出るべき問題は出ているのである。