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2005年05月13日(金)
96映画ノートから「ニクソン」

96/3/9 SY松竹
「ニクソン」
オリバー・ストーン監督  アンソニー・ホプキンス
長い映画で、途中で何人か退出者が出た。岸とか角栄を主人公にして、どうして日本ではこんな映画が作れないんだろう。
ホプキンスの背を丸める姿、不安な姿から一転観衆に応える姿、べろで舌をなめる癖。ニクソンを等身大で描き出し、説得力があった。
一方、学生と対話したとき、ひとりの学生は「正しいことのためなら死ぬ」と言い放った。反戦運動の側からこういう言葉が出る。またニクソンが、企業の人間と秘密会合の中で脅かされ「国民が私を選んだ」といってはばからない場面。こういうところにストーンの特徴と限界がある。それはアメリカそのものの民主主義の限界でもある。
しかし、実写と演技、渾然一体となって畳み掛ける。ストーンの力量はいかんともなく発揮されている。編集賞と主演男優賞はとってもいいかなと思った。

《現在の感想》
賞のことを書いているのは、おそらくアカデミー賞直前に見たからだろう。しかし御存知のように「ニクソン」は無冠に終わる。それどころか、この作品のことを覚えている人は今どのくらいいるだろうか。ストーンは「JFK」までが華だった。その後ずっと泣かず飛ばずで、今年もどこから金が出るのか、「アレキサンダー」という怪作を作るが、ラジー賞候補になるという始末。この作品のビデオは出回っているのだろうか。
しかし、あの反戦学生の言葉はイラク戦争を経た今考えると非常に示唆的だ。結局「正義」という言葉を率直に信じ、それを最上の価値におくのがアメリカ国民で、胡散臭いと思うのが日本国民なのだ。