日々あんだら
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2005年04月05日(火) 『静かなシャッター』




モワカフェを出た我々は下北の街をラピュタ状態で通り抜け(昨日の写真参照)、下北の駅へ。
そこで何人かの人と別れて新宿行きの電車に乗った。
目指すは四谷三丁目。ハービーさんの写真展『静かなシャッター』である。

四谷の表通りから細い道を入ってすぐのところに、その会場はあった。
ぱっと見、普通の事務所のようなその建物を入る。
人がすれ違うのが精一杯くらいの細い廊下が3mくらいあって、
その突き当たりのドアの向こうが写真展の会場らしい。
廊下の右側には事務室があって、廊下に面したところに受け付けの窓口がある。
その窓口の前に見覚えのある人が…


って、をい!


そう、そこにいきなりハービーさんご本人がふつーに立っていらっしゃったのである。(笑)
正直、内心ちょっとびっくりしたのだが、普通に「こんにちはー」と頭を下げて通り過ぎる。
何人かの人は硬直して歩き方が変だったりする。(笑)
ハービーさんはにこやかに挨拶を返してくれた。おお、気さくな人って噂通りや。^^


写真展は8畳くらいの狭い部屋の壁にハービーさんの作品が20点くらい(かな?)掛けられているだけの
シンプルなものだった。
部屋の真ん中には机があり、ハービーさんの写真集が何冊も置かれている。

写真展はすでに発売されている写真集『PEACE』の続編的なテーマみたいだ。
『PEACE』は(一部しか見たことないけど)若者の笑顔をテーマに撮られたものらしいが、
老若男女、いろんな人の笑顔が優しいトーンで写っている。
「笑顔」って僕にとっても好きな被写体で友達と遊ぶ時にはいつもその瞬間を狙ってるんだけど、
なんでハービーさんは初めて会った人の笑顔を、あんな自然に引き出してあんな自然に撮れるんだろう、
と不思議に思った。
やっぱり人柄かなぁ。


そう思っていたらドアからハービーさんがいきなり入ってきた。
どうやら7人も8人もでカメラをぶら下げて入って来たので目立ったらしい。(笑)
「カメラ仲間ですか?」「どこから来たの?」などと気さくに声をかけてくれて、最後に「ゆっくり見て行ってね」と出て行かれた。


しばらく写真展を眺めているうちに、ワークショップの時間も近づいてきた。
まだ机の上の写真集も見てなかったし、会場の隅に置かれたノートにも書き込んでなかったけど、
ワークショップが始まる前にハービーさんとお話がしたくて会場を出る。
表の道路を見ても事務室を見てもいらっしゃらないので、オーナーさんに聞いてみると
「ちょっとそこらを歩いてるんでしょう」とのこと。
帰ってくるのを表で待ちうけることにした。


表に出てハービーさんが戻ってくるのを待ってると、中からmyuさんと息子のトモくんが出てきた。
この頃にはすでにトモくんは僕の虜になっていたので(逆もまた真)、
前の道路でトモくんをモデルにして写真を撮ったり、追いかけっこをして遊んだりする。
自慢ではないが、僕は年齢一桁台と50台以上の人にはすこぶるウケがいい。
問題は核となるべき20台30台の人(特に女性)にそれほどウケないということである。

などと自己分析しながらトモくんたちと遊んでいると、ハービーさんが戻って来た。
トモくんの笑顔を眺めて、「いいね、この子は誰のお子さん?」と聞く。
緊張気味のmyuさんが手を上げると、なんと「ちょっとこの子を撮らせてもらっていい?」

もうmyuさん大興奮である。
なんたってかわいい我が子がハービーさんのモデルになるのである。
もしかしたら写真集に載ってしまうかもしれないのである。写真を送ってもらった日にゃ、家宝ものだ。
「その向こうに細い路地があるから」とカメラバッグを取ってきたハービーさんが歩き出す。
あの「ハービー・山口」が撮影するところを目の当たりにできる、と僕たちも興奮。(笑)

15mくらい向こうに行った所にある細い路地にトモくんを立たせて写真を撮るハービーさん。
その姿を後ろから撮る僕。
でもトモくんはふてくされて突っ立ったり、「歩いてきて」と声をかけるといきなり走ってきたり、
さすがのハービーさんも苦戦する。(笑)
その後隣りのお店の前に移り、お店のおばちゃんと話しているトモくんをハービーさんだけではなく、
外に出てきていたみんなで激写する。
パシャパシャやっていると、オーナーさんがハービーさんを呼びに来た。
どうやら夢中になっている間にワークショップの時間になったらしい。^^;

そこでkazuさん始め、みなさんとはお別れ。
「また遊んでくださいねー」と別れを惜しみ、nanaさんと一緒にワークショップの会場になる事務室に入った。
kazuさん、今度は徳島か大阪で!!^^

事務室は昔倉庫だったところを改装したもので、6畳くらいのスペースの真ん中に机が置かれ、
そこにスライド映写機が置かれている。
その周りに12脚の椅子が置かれ、前に座るハービーさんとの距離は至近。
2列目に座った僕からも3mほどしか離れていない。
僕の隣に座ったnanaさんは、緊張のあまり硬直している。(笑)
普段の様子からは想像もできないが、このねーさん結構上がり症なのかも。^^


ハービーさんのお話は人柄がうかがえるような穏やかな語り口で始まった。
技術的なお話はほとんど無かったように思う。
繰り返し繰り返しおっしゃってたのは、「人の心を平和にする写真を撮りたい」「美しい写真を撮りたい」ということ。
「そうすればこの世界を少しでも平和にできるかもしれない」と。

ああ、この人はこんなに揺るぎなく何十年も何十万回もシャッターを切ってきたんだなぁ。
何十年もそんな想いを抱き続けてきたからこそ、この人のカメラの前でみんなあんな自然な笑顔になれるんだなぁ。

敢えて言葉にするとそんな感じだろうか。
そんなことを感じながらハービーさんの言葉に耳を傾ける。
僕も強い想いを抱きながら何十年も一つのことに打ち込んでいたら、
ハービーさんのようなことができるんだろうか。


その後、ハービーさんの写真のスライドを、ハービーさん選曲のBGMを聴きながら見る。
ロンドンの写真。
『PEACE』の写真。
『代官山17番地』の写真。

この中で一番印象に残っているのは『代官山〜』の写真だろうか。
BGMは(親交のある)山崎まさよしの『One more time, One more chance』
取り壊しが決まっていた同潤会アパートと、そこに集う人々を撮り続けた写真。
70年前に建てられた、大自然と一体化した、そこに来る人の心を平和にする場所を
本当に優しい視線で切り取っている。
う〜、この写真集、欲しいなぁ。もう絶版らしいなぁ。


その後、ハービーさんに自分の作品を見て講評してもらう。
「じゃあ、誰から行こうか?」の言葉に迷わず自分の作品を差し出す僕。
こんなのは早く見てもらう方がいい。

…他の人の作品を見たら出しづらくなるかもしれんし。(笑)

僕が持って行ったのは6枚。「サイズ不問」だったけど、張り切って6つ切りに焼いてもらった。(笑)

↓この6枚
1 2 3 4 5 6

敢えてバラバラな写真を持って行ったのには意味があって、
僕は自分が気になったものならなんでも撮るんだけど、プロの写真家さんから見て、
どんな写真がいいのか知りたかったから。

結果、一番褒められたのはマンゴーの時に魚眼で撮った、みんなの集合写真。(笑)
その次が今TOPに使ってる、nanaさんの写真。(笑)

ハービーさん曰く、「この2枚にはサプライズがある」とのこと。
サプライズがない写真は、人の心を引かないそうだ。
確かにこの2枚はサプライズがあるなぁ。
あんなにたくさんのカメラを向けられる経験ってないと思うし、
nanaさんの表情も立派なサプライズだ。(笑)

最後に「人のアクティビティを捕らえるのが上手い」というお褒めの言葉をいただいた。


そっか、人か。人なのか。(単純)



その後、いろんな人の作品を見せてもらう。
だいたいどの人もある程度テーマを決めて作品を持ってきているようだ。
どの人も上手かったけど、やっぱりその中にもいい写真とイマイチな写真がある。
それがハービーさんの「これはいいね」というのとだいたい重なっていたのが嬉しかった。

でも僕は「なんとなく好き」「なんとなくイマイチ」としか言えなかったのに、
「どこがどう悪いのか」「どう直せば良くなるのか」を一つ一つ丁寧に的確に、
相手を傷つけないように指摘してくれる。
一つ一つの指摘が全部納得できる。
さすがやなぁ。


で、ここでも硬直していたのはnanaさんである。
張り切って10枚以上の作品を持ってきてるくせに、それを後ろ手に持ったまま、前へ出ようとしない。
誰かの講評が終わるたびに背中を押すんだけど、ガンとして前には出ない。

時刻は予定を大きくオーバーして、ワークショップを後にする予定の19時が迫って来ていた。
ちょっと焦り気味の僕はnanaさんの作品が入った袋を取り上げる。
で、次の人が終わったところで強引に差し出した。(笑)


nanaさんの写真の講評が終わってあと何人かの写真を見たところでタイムアップ。
19時が来たのでハービーさんはじめみなさんに挨拶して先に抜けさせてもらうことにした。

後ろ髪どころか頭中の髪の毛を引っ張られながら、僕は会場を後にしたのだった。




でもこのワークショップは本当にいい刺激になった。
最近自分の写真のことでずーっと悩んでたんだけど、なんとなく進む方向が見えたような気がする。
濃い霧が少し晴れてきたような。

自分の写真がこれをきっかけに少しでも変わるのかどうか、少し楽しみだ。^^


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