京都の宇治に「三室戸寺」という西国33ヵ所にも選ばれているお寺がある。この寺ほど「季節の花」を上手に取り入れた戦略で観光客を集めているところはないだろうとオレはよく思う。初めてこの三室戸寺にツツジを観に行った時、見事なヒラドツツジに圧倒されたわけで、その後に訪問したどちらかというとツツジで有名なはずの蹴上浄水場の方がショボい感じがしたほどである。
もちろんヒラドツツジの最盛期は短い。そういうわけで三室戸寺は花の時期のやや早いクルメツツジを山の別の側の斜面を切り拓いて植栽した。その結果、かなり長期間連続してツツジが咲いている状態を実現したのである。もちろん夜はライトアップするし、駐車料金1000円の大駐車場も備えているから昼も夜も稼げるわけである。
三室戸寺は他にも紫陽花やハスなど違った季節に咲く花があり、秋は紅葉が美しいし、また西国33カ所の札所ということでその巡礼の観光バスも立ち寄るわけである。こうして売り上げをしっかりと稼ぐことは生き残るための大切な戦略だが、この美しい植栽を維持するためには造園業者にもかなり支払ってるのだろう。「花の寺」として観光客を集める戦略は結果として多くの関連業者を潤わせることとなるのである。
桜で有名な場所は多いが、桜が満開なのは一年間のうちのほんの一週間ほどである。それ以外の時期にどのように客を呼ぶのかということを寺社は考えないといけないわけである。きっとそうした戦略を立てるお寺専門のコンサルがどこかにいるのだろう。
もちろんすべての造園業者が優秀でお寺がうまく花を活かしているわけではない。たとえば京都には善峯寺という紫陽花の名所があるが、ここは紫陽花園のど真ん中に大きな木が成長することで上からの眺望を台無しにしてしまっていた。それは数年前の話だが、今はどうなってるのだろうか。
かつての桜の名所は今あちこちで外来種の害虫のクビアカツヤカミキリのために大きな被害を受けている。拡散を防ぐためには伐採しないといけないわけで、新しく植えた若い木が成長するには時間がかかる。人手不足で害虫の早期発見と駆除をするだけの余裕のないところはいずれ被害が拡大して景観が失われるだろう。美しいものは努力して維持しないといけないのである。
長岡天満宮の見事な真っ赤なキリシマツツジはいつから存在したのだろうか。現在の花の名所の多くは江戸時代から続く名所である。ところが三室戸寺の戦略は山を切り開いて新しい名所を作り出して集客しているのである。「花で集客する」という戦略はこれからも有効だ。今後、どんな新名所が登場するのだろうか。
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