江草 乗の言いたい放題
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2014年01月30日(木) オレは「明日ママ」を擁護する        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 話題になっているドラマ「明日、ママがいない」を観た。ドラマの設定がありえないとか、児童福祉施設の現場のことをわかっていないとか、さまざまな批判がなされている。しかし、オレはドラマを見ていて面白いと思ったし、そこからこのドラマが発信しているメッセージを受け取った。子どもをコインロッカーに捨てたり赤ちゃんポストに預ける親がいることは厳然たる事実だ。そういう過酷な運命を背負った子どもたちが「ポスト」や「ロッカー」というあだ名で呼ばれながら、その環境の中でたくましく生きようとする物語として、オレはこの作品を受け取った。一方的に批判している大人たちもまずこのドラマを観てみればどうだろうか。そして最後まできちっと観てからドラマが何を訴えたかったのかということを理解すべきだろう。どうしてまだ放送が始まったばかりなのにこんなに批判ばかりするのか。

 日本では親に虐待されて殺される子どもが多数存在する。殺されないまでも心に深く傷を負って成人する者も多い。その一方で里親制度や児童福祉施設の実態についてはあまり知られていない。たとえこのドラマがそうした現実をかなり誇張した形で描いてるとしても、観てる人はそれを「フィクション」として観ているわけである。どうしてそれが「養護施設の子どもや職員への誤解偏見を与え、人権侵害だ」という結びつけられ方をしてしまうのか。「そんな事実は全く存在しない」からなのか。

 学校を舞台にしたドラマ「GTO」「ごくせん」を考えてみよう。この両者にはどちらも型破りの魅力的な先生が登場し、時には悪を力で征圧したりして問題を解決する。学校にはかならず事なかれ主義の教師や、やる気のないダメ教師がのさばっている。ステレオタイプのダメ教師が必ず登場するのである。しかし、学校側がこのドラマに対して抗議したことがあっただろうか。このドラマを観て学校のことに対して偏見が広がるだろうか。否である。それは観ている人がドラマを「面白い作り事」であるとちゃんとわかってるからである。それは他のドラマもそうである。 「家政婦のミタ」「半沢直樹」も同様だ。「半沢直樹」などはあきらかに実在の銀行をモデルにしてるし、オレはそこに描かれている事件を現実の事件と重ね合わせることができる。しかし関係者から抗議を受けることはない。三菱UFJ銀行が厳重に抗議したという話も聞かない。そんな「大人げない行動」をしないのが普通の人間である。テレビドラマという「作り物」のせいで簡単に崩壊してしまう程度の価値しか自分たちが築けていないのならば、その恐怖から抗議するというのもわからないこともない。しかし、熊本の慈恵病院の取り組みのすばらしさや、児童福祉施設の現場の方々が日々奮闘していることは、野島伸司が面白おかしく作ったドラマの脚本一つで簡単にゆらぐようなちゃちなものではない。どうしてそのように開き直って考えられないのか。

野島氏の作ったドラマ「高校教師」には、生徒をレイプする悪徳教師が登場するし、映画にもなった貴志祐介の小説「悪の教典」には大量殺人者の英語教師が出てくる。それが現実の学校教育に大きな影響を与えてるのか。学校現場で年間に100人以上が性犯罪で検挙され処分されていることと、ドラマ「高校教師」になんらかの因果関係があるのか。否である。そうしたドラマがなくても性犯罪は起きたかも知れないし、もちろんあったから起きたのでもない。「こんなむちゃくちゃな教師はいない」から批判しなかったのだとしたらそれは的外れである。現実に性犯罪を起こす教師はいるのだ。だからといって学校現場はこのドラマを否定などしていない。

 児童福祉施設の方々は「明日、ママがいない」を観て、「そんなことありえないだろ!」とテレビの前で番組内容にツッコミを入れながら観ればいいのである。そうして純粋にドラマの面白さを楽しみつつ、そこに込められたメッセージを理解し、もしもそこから学べるような事実があれば参考にすればいいのである。ただそれだけのことだ。どうしてあのドラマを全否定するのか。オレのようなひねくれた人間は「そんなに抗議すると言うことはもしかして何か都合悪いことでもあるからなのか?」と言いたくなるのである。ネット上にある意見を読むと、このドラマを批判してるのは主に児童福祉施設の関係者(職員や経営者)であり、施設出身者はむしろ好意的にとらえてるというのも興味深い。私の憶測はもしかしたらはずれていないのかも知れない。

 生まれてすぐに親の都合で施設に入れられる子どもたちは大勢いる。しかし、施設に入れられずに親の元で虐待されて殺されることと比べてどちらが幸福だろうか。我々は現実の悲劇から目を背けてはならないのだ。ドラマを放送中止にしてしまうことは簡単だ。しかしそれでは目の前の現実に対して何の解決にもならない。どんな誇張された形であれ、このような世界が社会の中に存在し、そこで元気にたくましく暮らす子どもたちがいるということを社会は認知すべきではないのか。

 まともに子どもを育てられない親からは子どもを取り上げるべきだとオレは思っている。子どもは国家の未来を支える宝だ。だからそういう子どもたちは国がきちっと面倒を見て、児童福祉施設の方がしつけもちゃんとできてるし、勉強もできる子が多いというふうに変えていかないとだめだ。児童福祉施設に対してネガティブなイメージでとらえるのではなくて、そこが理想の子どもを育ててくれるパラダイスであり、日本の将来の希望につながる世界だというふうに変えていかないとダメだとオレは思ってるのだ。くだらないダメ親なんか捨てて、よりよい自分を見つけるために子どもたちが率先して施設に入ることを希望するような価値観の転換が起きればいいとオレは思っているのである。

 親がいないことは不幸なんかじゃない。本当の不幸はくだらない親がいるということなんだという強いメッセージを番組が発信するとしたら、それに対して大人たちはどう答えるのか。子どもを炎天下のクルマの中に置き去りにしてパチンコに熱中したり、幼い子どもを部屋に閉じ込めて餓死させて自分は男と遊び歩く母親がこの世には現実に存在する。そうした実際に起きた事件の無残さと比較して、ドラマ「明日、ママがいない」で描かれる施設の子どもたちの日常はオレにはきわめて牧歌的なものと映ったのである。


児童福祉施設出身の方が漫画家になって、施設のことを書いた作品である。

いつか見た青い空 (ウィングス・コミックス)

児童虐待に関するコミック

凍りついた瞳 (YOU漫画文庫)



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