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2009年05月26日(火) 「永井豪記念館」はなぜ失敗したか・・・        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 石川県輪島市は永井豪の出身地だという。そこにこの春、永井豪記念館がオープンしたのだが、GWを終えると客足がサッパリなのだという。アサヒコムの記事を引用しよう。

【石川フォーカス】入場者低迷 集客課題に2009年05月25日
 ◎永井豪記念館・開館1カ月◎
 人気アニメ「マジンガーZ」「キューティーハニー」などで知られる漫画家永井豪さんの記念館が、出身地の輪島市に4月25日にオープンして丸1カ月。大型連休は多くの観光客らでにぎわったが、その後の入場者数は低迷している。同館を観光にどう生かしていくか。地域全体での取り組みが課題になりそうだ。
(金井信義)
◆「お宝」を展示
 記念館は、市が朝市通りの信用金庫空き店舗を買い取り、1億2300万円をかけて整備した。館内に入ると、目を引くのが高さ約2メートルのマジンガーZ像だ。壁には永井さんのプロフィルを紹介したパネルが展示され、パソコンの画面上で原画に色づけしたり、原作漫画を読めたりするコーナーへと続く。
 見どころは100点を超える原画だ。永井さんの原画を常設展示しているのは同館だけとあって、駆けつけたファンにも「筆のタッチに感動した」「原画を見るために何度でも来たい」と好評。永井さんも「展示する原画を入れ替えていけば、コンスタントに集客が期待できるのでは」と自信を見せた。
◆連休明け失速
 定額給付金が支給され、高速道路の通行料金値下げなどで輪島には大型連休中、昨年を2万〜2万8千人上回る観光客が訪れた。同館も初日の4月25日から5月10日までの16日間に、市側の見込み(4千人)を超える5784人でにぎわった。朝市がにぎわう午前中だけでなく、朝市後もほぼ同数の入場者が続き「30代の子ども連れなど朝市通りに若者の姿が目立って増えた」(朝市組合の栃木一男専務理事)などと同館の集客力に期待も寄せられる。
 しかし、その後は1日平均80人前後で低迷。同市企画課は「このままでは今年度の目標5万人の達成は厳しい。夏・秋の行楽シーズンに向けてPRを強めたい」と危機感を募らせる。
◆境港を目標に
 市や地元商店街などが目標にするのは、鳥取県境港市の「水木しげる記念館」だ。最寄り駅から同館まで、地元出身の漫画家・水木さんが描いた妖怪のブロンズ像が並ぶ「水木しげるロード」(約800メートル)が人気を呼び、入館者数は1年目(03年度)の約20万人から昨年度は約30万人にまで増やした。庄司行男館長は「観光客に楽しんでもらうには導線が必要。地元商店街などによるイベントや関連商品が話題を呼び、さらに観光客が増える好循環が生まれた」と話す。
 朝市通り57店でつくる「本町商店街振興組合」でも関連商品の販売などを検討しているが、具体化には時間がかかりそう。当面は市のイベントで組合員がマジンガーZの着ぐるみ姿で記念館をPRしたり、境港市への視察でヒントを得たりしたいという。


 オレはこの記事を読んで、地元の方たちはなんと大きな勘違いをしてるのだろうかと思ったのである。マジンガーZを目玉にしようとしたその方針が決定的に間違ってるからだ。なぜ永井豪が人気があるのか。永井豪のマンガの本質はいったい何なのか。そんなこともわからずにマジンガーZの着ぐるみを着ていることに対しては笑うしかない。そして、もしも本気で街おこしを永井豪のマンガに頼るのならば、それは恐ろしいことであるとオレは言っておきたい。なぜなら永井豪のマンガの本質はエロと暴力であり、決して「マジンガーZ」は彼のマンガの本流ではないからだ。オレが永井豪のマンガの本流と思うのは「けっこう仮面」と「バイオレンスジャック」である。もしもその二つを目玉にしていたらもっと違った展開になっただろう。ろくに永井豪をわかってない市の職員や街の商店街の連中が、勘違いした戦略を展開しようとしたことが今回の失敗の原因なのだ。

 漫画家を語るときに代表作として何を引用するか。この記事では「マジンガーZ」と「キューティーハニー」が上げられている。しかし、その二つが代表作だと書いた筆者はちゃんと永井豪の全作品を読んだ上でその二つを選んだのだろうか。

 水木しげるの代表作といえば誰もが「ゲゲゲの鬼太郎」をあげるだろう。オレもそれに対して異論はない。だったら手塚治虫の代表作は何か。 「ブラックジャック」ともう一つは「鉄腕アトム」になるだろうか。宝塚市にある手塚治虫記念館に行けば、ちゃんとそれらのマンガに関する資料が展示されるが、他のマンガに関しても詳しく知ることができる。オレは水木しげる記念館にも手塚治虫記念館にも行ったことがある。だがそのお二方よりもはるかに永井豪の方が好きだ。だからこそ「永井豪記念館」はそれら二つの既存の施設にはないような斬新で型破りなモノにして欲しかったのだ。原画の展示などという廃物利用でお茶を濁すのではなくて、たとえば童心に返ってスカートめくり体験ができるという「ハレンチ学園実体験コーナー」や、ウエイトレスがみんな全裸で顔だけ隠しているという「けっこう仮面体験カフェ」などの驚愕の内容にしていればよかったのである。だったらオレのような変なおっさんがわざわざ大阪からクルマを飛ばして来てくれるのである。

 永井豪の作品には実験的なモノが数多くある。宇宙人の中に想像される人種差別を描いた「スペオペ宙学」や、不潔さの極致を描いた「オモライくん」など教育上かなり問題のある作品も多い。だからこそオレはその作品世界を愛するのである。オレは永井豪の熱烈なファンである。オレをその記念館の館長として年俸3000万円くらいで引っ張ってくれるならば、そしてすべての企画をオレに全面的に任せてくれるならば、必ずオレは人気施設にしてみせる。観光客も年間に100万人くらい集めてみせる。ただ、そのためにはかなりの冒険が必要だ。そして地元民はおそらくその冒険を受け入れることはできないだろう。そう考えれば、最初から「永井豪記念館」など作らなくてもよかったのである。

 もしかしたら輪島市民は、永井豪のマンガの本質を「愛」や「正義」であると勘違いしていたのかも知れない。その勘違いのおかげでこの企画はスタートしたのかも知れない。もしもその本質が「エロと暴力」であることを最初からわかっていれば企画は通らなかっただろう。

 永井豪は戦後日本の生み出した最高のマンガ家であるとオレは思っている。「少年ジャンプ」がメジャーになれたのは「ハレンチ学園」のおかげだし、「少年チャンピオン」の歴史は「あばしり一家」なしには語れない。それらの少年マンガ雑誌が多くの読者を獲得して成長していく過程でこの両作品の果たした役割は極めて大きかった。ただ彼が「バイオレンスジャック」を描いた時、時代はまだそこまで追いついていなかったのだ。「バイオレンスジャック」の世界観が理解されるのは後年の「北斗の拳」の登場を待たなければならなかった。

 無修正のエロ画像がいくらでもネットで閲覧できる今日、小学生や中学生にハレンチ学園の古本を見せたとしても彼らはなんの感動も覚えないだろう。しかし、まだエロ本というものをよく知らなかった少年時代、オレが永井豪のマンガから受けた衝撃は忘れられない。あの頃の男の子たちとってまぎれもなく永井豪作品は性の伝道師としての大きな意味を持っていたのである。そのことを理解せずにただの「街おこし」の安易な感覚で中途半端な記念館を建てても失敗するだけである。税金を使ってハコモノを作ったとしても、その中味をどうするのか・・・企画した側が永井豪の作品の本質をろくに理解していなかった点で、「永井豪記念館」に客が来ないのは当たり前なのである。商売を知らない行政の連中が思いつきでやることはしょせん失敗に終わるのである。



 
推薦図書
ハレンチ学園 第1巻 (キングシリーズ 小池書院漫画デラックス)
永井豪ショッキング・エッチコレクション (KCデラックス)
永井豪作品全書―永井豪クロニクル
永井豪エッチまんがセレクションZ (SPコミックス)
けっこう仮面 2 新装版 (SPコミックス)
けっこう仮面ショッキングエッチコレクション (KCデラックス)
バイオレンスジャック―完全版 (1) (中公文庫―コミック版)
デビルマン 愛蔵版 (KCデラックス)

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