江草 乗の言いたい放題
コラムニスト江草乗の日記風エッセイ クリック募金にご協力お願いします。

日記目次(検索可能)前日翌日 エンピツ投票ランキング  江草乗の写真日記  ブログ  お勧めLINKS  

ご愛読ありがとうございます。「江草乗の言いたい放題」は読者100万人を目指す社会派コラムです。一人でも多くの方が読んでくださることで、執筆意欲は倍増します。ぜひ、お友達に勧めて読者数UPにご協力ください。掲示板へのご意見の書き込みもお願いします。

2009年03月29日(日) 映画『ワルキューレ』を観て感じたこと        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

ブログランキングの投票いつもありがとうございます。クリックすれば今のランキングが何位かを確認できます。読者獲得のためにご協力をお願いします。


 第二次大戦末期のドイツで実際に起きた「ヒトラー暗殺未遂事件」について描いた映画『ワルキューレ』を観てきた。暗殺未遂事件そのものは世界史の中の一事実としてしか理解していなかったが、映画を観てさまざまな当事者たちの想いが伝わってきた。

 ヒトラーが連合軍によるベルリン占領の時に自決したことは多くの人が知ってる。そのときに死んだと言うことは、暗殺計画は失敗に終わったということである。つまり、この映画の結末というのは別に観なくても観客はみんなわかってるのである。それでもオレがこの映画にぐいぐいと引き込まれたのは、自分たちの計画をなんとしても成功させなくてはという実行者たちの熱い想いが伝わってきたからではないだろうか。

 もしも日本で同様のことを起こそうとしていたらどうだっただろうか。昭和天皇を拉致してしてクーデターを起こし、軍の実権を握って停戦に持ち込む和平交渉を行うような動きがあれば歴史はどのように変わっていただろうか。天皇に停戦命令の詔勅を書かせ、それを使って軍を動かし、連合軍と和平交渉に持ち込むことができていれば・・・ということをオレは思うのである。マリアナ沖海戦に敗れ、サイパンやグアムが陥落した時点で日本本土が空襲圏内になってしまった。その時点で停戦して和平交渉を進めていれば、沖縄戦の悲劇も東京大空襲も、原爆投下も起きなかったと思うのである。

 戦争の終結を遅らせることで多くの犠牲者が出ることとなった。いや、8月15日に終戦を迎えたことで救われたという見方もあるかも知れない。あの時本土決戦や一億玉砕を叫んだ軍人たちがいたこともまた事実なのだ。

 連合軍のノルマンジー上陸作戦で決定的なダメージを受けたドイツ軍はすでに敗色濃厚だった。戦争を一日も早く終結させることで犠牲を少なくしたいと願う者たちがドイツ軍の内部にいたとしても不思議ではない。一人でも多く、戦場で失われる部下の命を救いたい・・・トム・クルーズが演じるクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐もその一人だった。軍内部の人間であるからこそ、彼は多くの事実を知る立場にあった。ヒトラーという狂気を取り除かない限り、この大戦を終結させる手段はないということを理解していたのである。

 周到に準備された暗殺計画はなぜ失敗したのか。どんなに完璧な計画であっても、それが成就するかを最後に決定するのは、人智を越えたところにある何かなのかも知れない。穴だらけの計画でも成功するときもあるし、完璧なシナリオだったはずがあり得ないような手違いによって破綻することもある。

 オレは帰宅してからネットで「ヒトラー暗殺未遂事件」に関して調べてみた。そこで驚いたことは、事実に基づいた映画だけあって本人たちに似た俳優が起用されていたということである。ヒトラーは誰が観てもヒトラーだし、宣伝相のゲッペルスもそうだった。トム・クルーズがクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐本人に似ていないことを除けば、フロム大将は実物と同じく海坊主みたいなオッサンだったわけで、映画を観る前にもう一度確認しておくべきだったと改めて思ったのである。そのあたり、全然本人と似ていないアイドルタレントを起用していても平気な日本映画とは大違いである。

 オレが映画の魅力をはかる時に使う一つの物差しが「時間が気になったかどうか」である。映画を観ながらふと「あと何分くらいだろう?」と時計を気にするとすれば、それはその映画がつまらないからあと何時間耐えればいいのかを確認することに他ならない。しかしオレはエンドロールが流れた時にはじめて「えっ、もう終わるのか」と驚いたのである。始まってから2時間という時間が経ったこともすっかり忘れていたのである。

 ベルリンにある旧国内予備軍司令部の中庭の壁には、事件の関係者の追悼碑文がある。そこにはこのように記される。


1944年7月20日に ドイツのために ここに死す

 ルートヴィヒ・ベック上級大将
 フリードリヒ・オルブリヒト歩兵大将
 クラウス・グラーフ・シェンク・フォン・シュタウフェンベルク大佐
 アルブレヒト・リッター・メルツ・ヴォン・クヴィルンハイム大佐
 ヴェルナー・フォン・ヘフテン中尉

あなた達は恥辱に甘んじなかった
あなた達は抵抗した
あなた達は送った
改心の偉大で目覚めた合図を
自由と正義と名誉のために
あなた達の熱い命を犠牲にして



関連図書:
ドキュメントヒトラー暗殺計画
ヒトラー暗殺計画 (中公新書 (744))
ヒトラー暗殺計画 (徳間文庫)
ヒトラーを狙った男たち―ヒトラー暗殺計画・42件
通達、総統は死んだ―ヒトラー暗殺計画 (1979年)

P.S.こちらにはぴよさんによる『ワルキューレ』の感想があります。興味のある方はぜひごらんになってください。


↑エンピツ投票ボタン。押せば続きが読めます。登録不要です。応援の投票ありがとうございます。←1位を目指しています! m(_ _)m      週刊アクセス庵もよろしく。   投票博物館


My追加
江草乗の言いたい放題 - にほんブログ村

前の日記   後の日記
江草 乗 |ファンレターと告発メール   お勧めSHOP エンピツユニオン