江草 乗の言いたい放題
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2008年02月01日(金) なぜ冷凍食品に農薬は混入したのか?        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 中国産の冷凍餃子に農薬が混入した事件で、事件に関わったJTと加ト吉は一斉にその工場で製造された食品の回収に入った。それ以外のところもおおむね追随する動きである。外食産業の中には中国産の冷凍食品すべての使用を中止するところも出現した。食糧自給率が40%しかない日本で、残り60%のうちの最大の輸入元であるとされる中国産の食品の安全が保証されないと言うことは大変な事態である。中国からの輸入品をメインに最近売り上げを伸ばしてきた「業務スーパー」という店があるが、ここにとっても大打撃だろう。このまま事態が拡大すれば、もしかしたらスーパーの店頭から品物が消え、一気に食糧不足になるのかも知れない。ただ、中国政府も今回の事件を重く見て、捜査しているようである。北京五輪を控えてやはり世界に対する悪い評判を恐れるからだろう。

 さて、今回の農薬混入事件だが、オレがまず思いつくのは、これは「故意の混入」による食品テロであるという説だ。どうやら製造元の天洋食品公司では労働争議が起きていたらしい。従業員が賃金の値上げを要求し、工場側が応じないということで労使に対立が発生していたわけだ。もしかしたら従業員が工場側への嫌がらせとして故意に混入したのかも知れない。それが原因ならばおそらく中国の法律は厳しいので、犯人は死刑になることは間違いない。そして、これこそが中国政府が一番望んでいるシナリオでもある。故意に誰かが混入したということなら、中国産の食品の問題ではなくて個人的な犯罪だからだ。案外誰かを犯人に仕立てて安易な幕引きをはかってくるかも知れない。

 それ以外の可能性だが、私がこの日記を書いている時点で報告されている被害者は約400名である。食べても何ともなかった人もいるわけで、実際に農薬入りのギョウザを食べた人は1000人以上はいるのではないか。そうすると、そんなに大量の製品に農薬を混入させるのは個人の犯罪では困難なのでは・・・ということも考えられる。そうなると今度は原材料のどれかに大量に農薬が付着していたという方が原因を説明しやすいということになる。残留農薬による中毒事件は中国ではかなり多く発生しているらしく、死者もかなり出ているそうである。中国国内でかなり人が死んでるくらいだから、その原材料で作られた食品で健康被害が出るのも当たり前という気もするわけだ。

 さて、テレビで見た記者会見では生協とJTがお互いに罪のなすりつけ合いをしていた。どちらも相手がちゃんと検査してくれていると思っていたと主張するわけだが、どっちもやってないしやる気もなかったというのが真相だろう。この場合どこが賠償するかだが、中国国内では「農薬混入の事実はない」「農薬混入は日本政府のでっち上げ」とネット上で主張している人たちもあるようで、いったいどこに責任の所在があり、どこから賠償してもらえばいいのかきっとこれから大変なような気がする。製造元にすべて押しつけるわけにもいかないだろう。だって、冷凍ギョウザを低コストで調達してぼろもうけしていたのは加ト吉やJTの側であり、金儲けを優先するあまりに安全ということを確認する姿勢が欠けていたことはまぎれもない事実なのである。ちゃんとしたものを作っているという信頼は、性善説の立場に立つ場合のみ成り立つのである。見ず知らずの異国の誰かが食べるものに対してどこまで配慮してくれるのか、オレはそのあたりの感覚がよくわからない。労働争議が起きていたことを思えば、「けっ、こんなものどうでもいいや」という感情を100%抑えることは無理だろう。

 さて、昨年の日本は賞味期限の偽装が大流行した。産地の偽装も流行った。不二家にはじまって、白い恋人、赤福、ミートホープ、吉兆と食品の偽装事件ばかり発生したような印象がある。しかし、それらの偽装によっていったいどんな実害があったのだろうか。「まずい!」と言って被害を訴えた人もなく、高級料亭である吉兆は見事に客の舌を欺いたのである。実害がなかったのになぜあんなに大騒ぎしないといけなかったのだろうか。賞味期限なんて食品の問題の中では実はとるに足りないことであり、それを話題にすることでその背後にある本質的な何かを隠したのではないか。オレはそんなことも憶測してしまうのだ。そして今回の事件である。食品業界が隠し通したい闇とは実はこうした大量の危険な食品の流通であり、それがほとんどチェックされていない現状であり、その話題を一番恐れていたからこそ、今回の事件も発生から一ヶ月の間、ずっと隠し通されていたのではないのか。実は以前に生協から我が家に電話があったらしい。とある冷凍食品がまだあるかどうかを訊いてきたのである。もしかしたらこっそりと回収していたのかも知れない。事態が拡大する前にである。

 中国産の商品が店頭から消えればたしかに品不足は発生するかも知れないが、コスト面で太刀打ちできなかったはずの国産品にとっては一つのビジネスチャンスである。多少高くても安全なものを選ぶ・・・という気持ちの客が今は多いだろう。ただ人はすぐに忘れる。2,3ヶ月もすればすぐにみんな冷凍の餃子を買うようになるだろうし、自分だけは安全と思って平気になるだろう。たった2,3ヶ月で中国の農業現場での問題が解決するはずがないし、低コストで調達した輸入品で食品会社がぼろもうけするという構図も変わらない。政府はこの事件を何かに生かそうという意図が全くなく、党利党略しか考えていないわけでいつのも「何もしない」という対応なんだろう。

 今ここで「高くても国産品!」というキャンペーンを行ったところで、その国産品の中に実は中国からの輸入品が偽装されている可能性は高く、結局食品の安全というのは生産者や販売者の良心に頼るしかないというのが現状なのだ。この事件で何かが変わるなんてことはなく、結局何も変わらないのだろう。高コストでもうからない国産品なんて大手企業や売りたくないのだろうし、食料を中国からの輸入に頼る構造はこれからも続く。かの国が抱えてる問題は農薬だけではない。中国の国家的プロジェクトである南水北調によって、大量の重金属などに汚染された水が水道水や農業用水としてこれから使われるのだ。実に恐ろしいことである。農薬どころの問題じゃないぜ。


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