江草 乗の言いたい放題
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2007年10月19日(金) 善意を忘れた人たち        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 オレは電車にはすべて優先席があるモノだと思っていたが、阪急にはなかったらしい。そんなことちっとも知らなかった。オレが電車を利用する場合というのは河内松原から阿部野橋とか、天王寺から大阪というふうにせいぜい10分くらいということが多いので別に立っていても全く気にならない。そういうわけで席があいてても立ってることさえある。優先座席が空いていても座ることはないし、たとえ自分が座ったのが優先席でなくても小さな子ども連れのお母さんや妊婦さんが乗ってくればさっと席を譲る。

 まだ長男が幼稚園の頃だったから7、8年前だろうか。長男を京都大学の学園祭に連れて行ってやったことがあった。いっぱい楽しんで疲れたのか、帰りの電車の中で長男はうとうとしはじめたのである。眠りそうになる長男を必死で起こしながらをオレは困った。まだ降りる駅まではかなりある。地下鉄御堂筋線は満員だった。オレはあきらめて長男をおんぶして背中で眠らせることにした。誰も席を譲ってくれなかったのである。というか、混んでる時間帯にそんな電車に乗った自分が愚かだったとオレはあきらめて、息子がまだ小柄だったことでほっとしていたがやはり重いし、おんぶしてると両手で支えないといけないのだがそうするとつり革が持てない。そういうわけでオレは不安定な状況に耐えていたのである。淀屋橋から天王寺まではかなり混んでいるのでこれも仕方がない。混んだ電車に乗ってる自分の自己責任である。

 地下鉄が天王寺を過ぎて少し空いてきて、それでも空席はなかったが座っていた女性が見るに見かねたのかオレに声を掛けて席を譲ってくれて、オレはやっと寝ている息子をそこに寝かせることができた。その後も降りるときに抱っこしていて自動改札を通るのに一苦労したりといろいろあったのだが、幼児一人を連れて電車に乗ると言うことがいかに大変なことかを思い知らされた一日だった。オレのような暴言野郎でもいちおう父親らしく振る舞ったこともあるのである。そんな困った体験のあるオレは小さなお子さん連れの人が乗ってくるとすぐに席を立つし、妊婦さんや自分の父親くらいの年齢のお年寄りにも席を譲る。あと10年もすれば自分が譲られる側に回るかも知れないのだが。

 そんなことを心がけるオレはこのニュースにとても驚いたのだ。産経新聞のWEBサイトから引用する。

阪急が「優先座席」復活 “譲り合いの精神”挫折
「全席が優先座席」という考え方で電車内から優先座席を撤廃していた阪急電鉄(本社・大阪)は17日、8年半ぶりに全車両で復活させると発表した。どの席でも譲り合う思いやりの精神が定着しなかったためという。“性善説”に期待した同社の理想は、車内モラルの低下という現実を前に挫折した形となった。
 29日の始発電車から、関連会社の能勢電鉄と神戸電鉄を含めて実施。各車両8〜10人分を優先席として、ステッカーや車内放送で知らせる。
 阪急の取り組みを参考に平成15年12月から「全席優先」を掲げている横浜市営地下鉄は「今後も積極的にPRして続けていきたい」として見直す予定はないとしている。
 阪急は11年4月、全席を優先座席と考えるべきだという理想を掲げ、優先席撤廃に踏み切った。だが、現実には席を譲らない雰囲気が広まり、同社には高齢者を中心に復活を求める意見が毎年10件余り寄せられた。今年6月の株主総会で同様の要望があったことを機に、復活を決めたという。


 阪急というのは関西ではどちらかというとハイソなイメージが強い電車である。オレの居住地域を走る近鉄南大阪線という河内のど真ん中を横切るガラの悪い田舎路線ではなく、山の手の坊ちゃんお嬢さん紳士貴婦人が利用する電車というイメージが強かった。(中にはそうでない連中ももちろんいるわけだが)少なくとも南海や京阪、阪神と比べて客層はいいはずだ。そんな阪急が「客の善意」を信頼して全席優先席の思想で優先席を設けていなかったというのもよくわかる。そうしたイメージに関西で一番似合うのが阪急だと思っていたからだ。しかし阪急もよその私鉄と同じだったのである。そして、全席優先席ということは実際は「優先席がない」ことと同じだったわけだ。

 この記事の「席を譲らない雰囲気」というのはどういう雰囲気だろうか。オレは思うのだが、めちゃんこ混み合ってる通勤ラッシュの満員電車に乗ってきた老人や妊婦さんが「優先席だからどいてよ!」とやられると少し反発したくなる。つまり、まず大前提として「空いている時間帯や電車を選ぶ」という配慮が、優先席を必要とする人たちにもある程度必要だと思うのである。例えば京阪電車の特急に乗る場合、始発から乗るなら必ず座れる。発車間近に来てしまって空席がなかったら次の電車を待てばいいのである。そこで次の電車を待って座るということをせずに、発車間近で満席になった所に乗ってきて誰かが席を譲る善意を期待しようとするのは少し違うのではないかとオレは思うのだ。自分の工夫によって座れるのに、その工夫をせずに他者の善意に頼るという行動に対してオレは納得できないのである。

 今回の報道でオレはそんなことをあれこれと考えたのだが、実際のところラッシュアワーの優先席ってどんな状況なのだろうか。オレはあの時間帯にもっとも優先されるのは日本の経済を支えて働いているサラリーマンたちだと思うのである。


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