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2007年05月01日(火) 大阪府から「村」が消滅します        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 大阪南部に残っていた大阪府唯一の「村」であり、楠木正成ゆかりの地でもある「千早赤阪村」が早ければ来年4月に消滅してしまうらしい。以下にアサヒコムの記事を引用する。

大阪唯一の村消滅? 楠公ゆかりの千早赤阪が合併協議へ2007年04月30日09時08分
「太平記」に登場する武将、楠木正成ゆかりの史跡が点在する大阪府内唯一の村、千早赤阪村が、5月にも西隣の同府河内長野市に対し、編入方式での合併協議会の設置を申し入れる。地方交付税の大幅削減などで、単独での財政運営が困難となり、松本昌親村長らが合併は不可避と判断した。住民説明会では、すでにほぼ半数の地区の同意を得ており、合併協議が成立すれば、早ければ来年4月にも村の名が消えることになる。
 大阪・奈良府県境の山間部にある千早赤阪村は、過疎化が進み、人口は20年前の約7700人から約6600人まで減少した。歳入の約4割を占める交付税が、00年度の約15億円から07年度には約9億5000万円まで減り、財政事情が悪化していた。
 同村は02年、富田林市、太子、河南両町と合併協議会を設置、償還が有利な合併特例債の発行が認められた当時の合併特例法の期限(05年3月)内の合併をめざしたが、対等合併か編入合併かなどで意見が対立し、協議会を解散した。
 今度は河内長野市への編入合併を目指し、19日から住民説明会を始めた。5月13日までに村内12地区で計15回を予定している。これまでに開いた7地区は村の方針に理解を示しており、最終的に「合併やむなし」との意見が大勢を占めるとみられる。
 村は村議会への報告などを経て、5月下旬にも河内長野市に協議会設置を申し入れる方針だ。それを受け同市は、年内にも市議会に協議会設置案を提出すると見られる。
 松本村長は「交付税が今より多く、村の将来をあれこれ描いていた前回とは状況が違う。このままでは来年度予算が組めず、編入合併しか道はないと思う」と話している。
 千早赤阪村は楠木正成の生誕地とされ、正成が鎌倉幕府軍に対してゲリラ戦を挑み、幕府滅亡のきっかけとなった千早城や赤坂城の跡がある。


 歳入の4割を占める交付税が2000年度の15億円から2007年度には9億5000万に減りとある。それでオレは千早赤阪村のホームページを見に行って財政に関する部分を確かめてみた。確かに2000年の歳入は35億だが2005年はそれが28億に減っている。これだけ減るとさすがに村の財政事情は厳しくなるだろう。夕張のようになる前に早く手を打つというのも頷ける。

 28億円を人口の6600で割れば、一人あたり約42万円である。この金額が他の自治体を比較して多いのか少ないのかよくわからないのだが、すべての村民が一人あたり42万円も税金を納めてるとは思えない。そう考えた場合、都会で集めた税金が田舎を支えてるという仕組みがここでも生きているのだなと思う。

 千早赤阪村といえば、オレはその標高最高点である金剛山に何度も登っている。小学校の頃の遠足や耐寒登山、そしてサイクリングのフィールドとしてその周辺の峠道はオレの庭のようなものだった。かつて東能勢村が豊能町になった時、千早赤阪村は大阪府に残る唯一の村として「ただ一つの村」であることを逆によりどころにして「ムラ」の存続を決めたのだった。その千早赤阪村もついに窮乏する財政をどうすることもできずに吸収される道を選ぶことになったのである。

 ただ、千早赤阪村を吸収することになる河内長野市がそれほど財政に余裕があるとも思えない。貧乏所帯が二つくっついたら金持ちになれるわけではなく、家族の多い貧乏所帯になるだけであり、もちろん河内長野市にも吸収する相手をまるごと抱え込めるだけの財政的な余裕もないだろう。

 オレが気になるのは、なぜ千早赤阪村の交付税が人口の減少速度よりもはるかに大きく削られてきたかということなのだ。収入がそれだけ減れば、普通の家庭なら生活していけなくなってしまう。そうやって窮乏生活に落ち込む地方自治体にとって、確実にゼニの入ってくる核廃棄物処分場や巨大なダムの建設という方法で歳入を一気に増やせるというのはかなり魅力的なことなのだろう。決定したとたんに巨額のゼニが舞い込むのだ。その錬金術をやりたがるクソみたいな連中が世間にいくらでもいる理由がよく分かる。

 このまま合併してしまえば、かつてそこに存在した「千早赤阪村」は地図の上から消滅し、楠木正成ゆかりの「千早」「赤坂」という地名も記憶の中にわずかに残存するのみとなってしまう。太平記の「赤坂城」「千早城」の戦いを読んだことのあるオレとしてはなんとも寂しい限りである。交付税の減額も実はこのように市町村合併を促進するための一つの道具だったのだろうとオレは実感しているのである。


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