江草 乗の言いたい放題
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2007年02月06日(火) バイオエタノールなんかクソくらえ!        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 原油の高騰で影響を受けたアメリカでは、脱石油の動きの一環としてガソリンに植物由来のアルコールを10%添加したE10燃料への転換を政策的に進めてきている。そのためにバイオエタノール生産用に穀物が消費されるようになり、飼料用よりも高く売れるために穀物市場が値上がりしている。昨年の原油高、原油が崩れた後の年末の非鉄金属相場の高騰、そして今年に入って銅価格が暴落した後にやってくるのは間違いなく穀物相場なんだが、そのために大きく影響を受ける人たちが居るのである。

メキシコ主食の価格高騰、米国の燃料用コーン需要増で
【リオデジャネイロ=中島慎一郎】メキシコで、主食「トルティージャ」の価格が過去数か月間で40%以上値上がりし、家計を直撃された庶民の不満が高まっている。
 米国内でバイオ燃料としてトウモロコシの需要が増加していることが原因で、市場重視型の経済政策を掲げるカルデロン政権への批判も出ている。
 トルティージャは、トウモロコシの粉を薄くクレープ状にした伝統的食べ物。庶民に人気の料理タコスにも使われるが、価格が1キロ当たり6ペソ(約70円)から10ペソ(約110円)、場所によっては30ペソ(約330円)までにも値上がりした。
 このため、メキシコ市では1月31日、労働組合や農業団体のメンバーら約7万5000人が政権への抗議デモに参加。メキシコは1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)発効以来、米国から安価なトウモロコシを輸入してきたが、これが裏目に出た形だ。
 カルデロン大統領は1月下旬、業界団体と価格抑制のための協定を結んだが、値上がりは収まらず、大統領自らトウモロコシの緊急輸入の号令をかけるなど、事態収拾に躍起となっている。(2007年2月5日23時45分 読売新聞)


 アメリカが勝手にバイオエタノールの原料用にトウモロコシを買い占めて高騰させたために、メキシコでその価格が上昇するのはしごく当たり前の結果である。主食となってる穀物にとって大切なのは価格が安定していて安いことだ。長年の間メキシコではトウモロコシはその地位にあり、アメリカでも同様だったはずだ。そのバランスをぶちこわしたのがこのバイオエタノール相場である。飼料用や食用に回されるはずの穀物が大量にバイオエタノール用に使われて品薄になってしまい、大幅な値上がりを招いたのだ。もしも大豆が使われるなら豆腐はどうなる!納豆なんか滅びても別にかまわないが、豆腐に影響が出ることは避けて欲しいのである。それにしても本当にこんなものが地球温暖化対策になるのいだろうか。

 インドネシアでは燃料用のパーム油を採るために熱帯雨林やマングローブ林が破壊されて畑にされている。そうして森林破壊が進めば全く逆効果だろう。現金収入につながるとなれば節操なく環境破壊が進行するかも知れない。先進国の勝手な思惑でガソリンから植物由来の燃料への転換が進んだとしても、それによってリスクを背負うのは貧しい国々の人々なのだ。穀物相場の高騰は、世界の飢える人たちをさらに増加させることを意味する。

 アフリカ諸国の多くは食物の輸入国である。もともと食料は自給できていたのに、彼らの畑を取り上げてコーヒーやカカオ豆を作らせた結果、彼らアフリカ人たちは自分たちが食べる分の食料も生産できなくなったのだ。内戦が起きて多数の餓死者が出るのは、自分たちで耕作して食糧を作り出せないからである。「環境に優しい」というのはすなわちその燃料を使ったクルマが走る場所の環境に対してであり、遠い海の向こうで何が起きてるかなんて誰も考えない。マングローブ林を伐採した畑で作られたパーム油を原材料とする洗剤には「地球に優しい」という矛盾したスローガンが書かれている。

 石油の使い道といえば燃やしたり石油製品にするくらいである。決して石油は喰えない。しかし、穀物は喰えるのだ。せっかくの喰えるものを燃料にしたりするほど地球は豊かなのか。世界に飢えた人たちは居ないのか。もしも地球上に食糧が有り余っていて食べきれないほどで、みんなが肥満に苦しんでいてダイエットが必要だという状況ならば、余った穀物を燃料用に使うのも正当だろう。しかし、決して穀物は余ってるわけではないのだ。ただ、貧しい国々の人たちはそれを買えるような経済力がないだけなのだ。北朝鮮のように将軍様が外国からの援助の食糧を独り占めするから貧しい人々の手に渡らない場合もあるのだ。とにかく世界には数億の飢えた民が存在するのだ。まずその苦しみを取り除くことが国際社会の急務ではないのか。

 そんな貴重な穀物を無駄にするバイオエタノールなんかクソくらえである。もしもそれが全くの不要物から作られるのならオレも文句は言わない。おからや茶殻のように、今捨てられているものが原料として活用できるのならオレは大いに賛成である。ところが現実はそうではない。これまで飼料用に大豆を出荷していた農家が、3倍高く買ってくれるからと燃料用に生産を切り替えるなどということが実際に起きているのだ。日本向けに納豆用の大豆を作るよりも燃料用の大豆の方がもうかるのである。トウモロコシが暴騰することでメキシコでは主食の原料が5倍に高騰してしまったのだ。今10キロ入りを3500円ほどで買ってる米が、もしも17500円に値上がりすればオレはごはんを喰うのを止めてお好み焼きを主食にするだろうし、そもそも外食産業は崩壊するだろう。牛丼も一杯1000円以上にしないと引き合わないかも知れなくなる。

 隣国にそんな迷惑を掛けても平気なアメリカ人はせっせとバイオエタノーエル普及のために法整備を行っている。日本の政治家も自分の頭で考えることが出来ない馬鹿だからアメリカのやり方を追随している。かくして世界には新たな食糧危機が生まれ、値上がりした穀物を輸入できない貧乏国家の国民は生命の危険にさらされるのだ。たまたまオレたちは餓死しないで済んでいるが、今の食糧自給率を思えば楽観できる数字でもなかろうに。


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