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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2003年12月28日(日)
楽に笑いたい


 今日は、若手漫才師の日本一を決める「M−1グランプリ2003」をスタジオ観戦した。スタジオはすごく小さい。司会をするタレントも審査員も、出場する漫才師もすごく近い距離にいる。大学時代、若手芸人のイベントを見ている。そのとき思ったのは、テレビで見るより、生で見た方が笑う回数が多いということ。だから、今日もたくさん笑えるものだと期待していた。

 ところが、M−1は違った。自身の進退をかけて挑むコンビもいるほど、緊迫感の漂う大会だ。300人も入れないほどの小さなスタジオ。あわやつばが飛んできそうなほど近い距離。テレビでは映しきれない顔の凹凸や、服のしわの深さ。額を流れる汗。見ている私の方が、緊迫感に押しつぶされた。この人たち、がんばっているんだ…。そう思うと、体に力は入って、笑うどころではなくなってしまった。頭の中で、冷静に、「これ、おもしろいんだろうな」と思っていたりした。でも、おもしろい→笑うという作業が自分の中でうまくいかなかった。

 生で見ると、緊迫感が伝わる。野球を生で見ることの魅力の一つはそれだ。野球は、がんばっていることが美学になるもの。だから、緊迫感で体が縛られていても野球を堪能することが出来る。でも、漫才は違うんだなあ、少なくとも私の場合は。

 あと、周りの人が笑っていると、妙に冷静になる自分がいた。「あ、みんな笑ってはる」、みたいな。観覧(観戦?)前、心配だったのは、他の観客と自分の笑いのズレ。みんなが静まりかえっているところで、自分一人が笑ってしまったら恥ずかしいなという気持ちなのだが、これも緊迫感となって体を縛り付けていたのかもしれない。

 あと、会場の空気についていけなかった。大会の序盤は空気が重かった。漫才にあるまじき厳粛さが漂っていた。ところが、中盤、一組のコンビが絶大な笑いを取ってから、雰囲気ががらっと変わった。審査も甘いような気がした。客も安心して笑うようになった。「えっ、えっ、ここで笑ってもいいんや。ここでも?ここでもぉ〜?」、イケイケドンドンになった会場にただただ戸惑うだけだった。

 ついていけなかった理由で明確なことがある。それは、好きなコンビの出来がイマイチだったこと。だから、その先のネタはよその国で行われているイベントのような遠さを感じた。他の国の言葉でどう笑えと、みたいな。やばいよね。これは、夏の大会で東山が負けて、大会自体が一気に色あせてしまう私の高校野球の見方と似通っている。

 2戦目のためにネタを温存していたのか、やったネタは弱いものだったように思う。本来のネタをやって、ベストな状態でやって、ダメだったらしゃあないなと思えなくもないけど、違うしなあ。はがゆい。実際、大会終了後、記念撮影の際、すごく暗い表情をしていた。目線がどこを見ているのかわからない。相当ショックだったんだろうな。それは自分たちに対する悔しさなのか、はたまた審査員に認めてもらえなかったことに対する悔しさなのかははよくわからない。でも、個人的には前者だと思う。(漫才師の暗い表情はタブーだと思うけど、この大会に関してはOKにしないとしゃあないとこあるね)

 帰りの夜行バスの中で、ずっとそのことを考えていた。私が考えても仕方ないのだけど、来年こそはいい結果を!そう願うけど、1年がものすごく長く感じた。同行した姉は特にひいきのチームもなく、大会を精一杯楽しんでテンションも高かった。疲れているはずなのに、2人とも眠れなかった。夜中、姉が小声で、「寝れへん。ずっとM−1のことばかり考えてた」と言ったので、「私も同じ」と答えた。家に帰って、録っておいたビデオでM−1を見直したいと思った。早く楽に笑いたい。