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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2003年11月15日(土)
ともきち、東京の夜


 ともきち、東京へ行って参りました!
 職場の後輩と2人、夜の六本木に繰り出し、ホテルのあるバーへ行き、目線から始まる恋を体感してきた。それは、彼女が心酔している作家山田詠美さんの小説の中の世界。

 ジャズの生演奏が流れるそのバーは、年齢層がぐっと高く、ドレスアップされた外国人が客層の大半を占める場所。日本人の若い女の子なんていない。この日のために、彼女は彼女なりに精一杯のおしゃれをしたはずなんだけど、あとで、「背伸びは、所詮背伸びでしかない」と振り返ってくれた。でも、ずっとあこがれた世界。思い切って、入ってみることにした。

 彼女が後輩を2人で、ピアノの側にテーブルで飲んでいると、演奏していた黒人の男性ピアニストが彼女をじっと見つめてきたのだ。詠美さんの小説には、目線から始まる恋の話がとても多い。彼女は、感激した。本の中にしかない世界が今、目の前の現実をしてある。でも、じっと見つめられることに慣れていない彼女は、目線を受け止められる器がない。その後、演奏が終わるたびに彼女のテーブルに来て、話をした。もちろん、英語。わかったの?と聞くと、「聞き取りは大体、口説き英語やから。でも、話せへんかった」と答えてくれた。

 結局、「演奏が終わったら踊りに行こう」という彼の誘いを断ってしまう。やはり、知らない人に付いていくのは怖い。話を聞いていると、彼女自身、その黒人男性そのものに恋をしたわけではなく、ずっとあこがれていた世界に足を踏み入れることができた感激の方が大きかったようだ。一つの夢がかなったという見方が正しいんだと思う。

 ともきちと口説いた彼の真意は知らない。もちろん、彼女がかわいいというのもあるのだが、背伸びしてバーに入ってきた彼女に対する歓迎の意もあったのではないだろうか。ぼくたちの世界へようこそ。みたいな。その場をわきまえない客にはきっとそんなことはしない。彼女は、この場に受け入れられたんだと思う。そりゃ、まだまだ追いつけないところがあるのかもしれないけど、そこにとけ込める素質はあるんだと思う。

 彼女はすっかり浮かれてる。私も彼女ほどではないが、詠美さん心酔者なので、身近な友達が、あの世界を体感したことが嬉しかったし、なんだか誇らしかった。

 市長にそんな話をすると、「お二人は、なんで友達なんっすか?」と言われる。確かに、どこに共通点があるのだろうと思われても仕方ない。でも、根の部分で一緒だと思ってる。自分があこがれた世界を信じ、期待と不安の中、そこに足を踏み入れる。そして、目の前に広がる現実に触れる。そんな贅沢な時間の過ごし方が好き。それは、ホテルのバーでも、高校のグランドでも、同じこと。