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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2003年11月04日(火)
悔いばかり残る


 すごく心打たれる話があった。

 学校の先生をしているその人は、こんな話をしてくれた。

 ある夏、その人は教え子の出ている夏の大会を見に行った。雨の中、グランドもぬかるんでいて、決して“ベストな状態”で挑めたゲームではなかった。教え子の出ているチームは負けた。試合後、何も言わずに帰ろうと思ったらしいのだが、その人の同行者が「せっかくだから、何か話してきたら?」と言うので、思い切って選手のところへ行ってみた。

 2人の教え子がいる。1人はレギュラー、試合にも出ていた。もう一人は控えで試合には出れなかった。その人は、試合にでれなかった選手のところへ行って、話をした。すると、その子は、「あいつ(レギュラーで試合に出てた子)のところにも行ってやって」と言った。その人はびっくりしたが、それが彼の希望であるならと、レギュラーの子の場所へ行った。そのときに、そのレギュラーだった子は「悔いばかり残ってる」といった主旨の言葉を口にしたという。
 
 どうだろう。もし、相手はその人でなければ、そんな言葉、出ただろうか。その話を聞いたとき、雨の降る決して明るくない空と、どろどろのユニフォームと、球場の片隅にいた2人の姿を思った。自分でもびっくりするくらい、脳裏に風景が浮かんだ。私も遠巻きでいいから、その場にいたかったと思った。

 この話を聞いたとき、「日記に書きたい!」と思った。でも、どうしても出来なかった。それは、文章の主人公を誰でもなく、“言葉”に置こうと考えていたからだ。私は、その言葉、「悔いばかり残ってる」の語尾をきちんと聞き取れなかった。「悔いばっかり残るよ」だったのか、「悔いばかり残りますよ」だっから、はたまた方言や訛りが混じっていたのか…。ニュアンスは自分の中では聞き取っているが、人に伝えるにはもっときちんとしたものでないと。ノンフィクションの話を書くときは、登場人物の言葉の語尾を書ききることってすごく大事だ。それが、文章の根本をなすんじゃないかなと思う。