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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2003年10月11日(土)
ベンチ前のワンシーン


 第一試合 福井 7−2 武蔵工大二

 2−0で武蔵工大二がリードしていた7回表、福井もようやく相手投手と捕らえ始め、一死二三塁のチャンスを迎えていた。さあ、スクイズか?ヒッティングか?どうする、バッテリー?と頭を緊迫モードに切り換えようとした矢先、武蔵工大二にバッテリーミス(ワイルドピッチ)が出た。

 ボールは転々と転がり、ランナーが1人還った。キャッチャーはまだボールに追いつけない。そして、ボールは三塁側福井高校のベンチへ。キャッチャーはあわててベンチの中まで追いかけるも、背走気味の姿勢の上、グランドとベンチ間の段差に体勢を崩した。気づくと、二塁ランナーも帰還。その姿を見て、福井高校のベンチがわいた。みんなが輪になって万歳みたなことをしていた。なんて言ってるのかまではわからなかったけど、声がよく響いた。

 そして、そのすぐ横にまだ立ち上がれずにいるキャッチャーがいた。もうすでにランナーのいなくなったホームベース辺りに目をやっていた彼は、がっくりと肩を落とした。すらっとした長身。頭が小さくて、モデル並の身体バランスを持っている。これは試合序盤に彼の姿を見たときの印象だか、なぜかこのとき、そんな自分の言葉が頭の中でリプレイされた。それにしても、喜びに沸く相手校ベンチの中で迎えた痛恨の瞬間(とき)。一体、どんな心境になるんだろう。こんな場所で試合の明暗が分かれるのは、ババをひかされたようでちょっとかわいそうだなと思った。一塁側武蔵工大二スタンドから音がなくなった。このあと、どんな展開になろうと、私がまっ先に思い浮かべるのはきっとこのシーンだと確信した。

 試合は、2−7で終了した。ベンチの挨拶が終わったあと、背番号「6」をつけた選手がうなだれていた。あのとき、マウンドにいた選手だ。整列のとき一番先頭にいたから、キャプテンだと思う。秋の終わりは、重くて切ない。そして、センバツはまだ遠い。