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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2003年09月03日(水)
出会う才能


 ライター塾に行っていたころ、私があちこちの高校のグランドに行っていると聞いた先生が、「それはいいことだよ」と言ってくれた。私はてっきり、“現場へ足を運ぶ”という意味だと思っていたが、どうやら違うらしい。

 “出会う才能を鍛える”という言葉は新鮮だった。グランドに足を運んで、ふと目に入るもので、その学校の方針やカラーや雰囲気がわかってしまうということがあるらしい。私にはまだそこまで見える眼はないけど。それをわざわざ探すのではなく、自然に目に入ってくるようになる。またそういう出来事に遭遇出来るようになる。それが“出会う才能”。

 先生が、こんな話をしてくれた。ゴルフの取材で、選手が目の前でホールインワンを達成した。ところが、同行のカメラマンはその決定的な瞬間を写せなかった。そのとき、先生はどういう文章を書いたのか。私はそれをクイズ方式で問いかけらたが、答えられるわけがないと端からわかってるかのような目論見が見えた。答え。先生は、前日、たまたまそのホールインワンが達成されたホールを整備していたキャディー(?)の若者に会っていたのだ。親が元プロゴルファーで、彼もゴルファーを目指している。そんな話を聞いていた。そして、翌日、そのホールでホールインワン。なんとできすぎた話。先生は、これで、自分はスポーツライターとしてやっていけるという確信を持ったという。確かに、聞いてる私まで惚れ惚れしてしまう“出会い”だ。

 自分のしていることをふと疑問に感じたり、不安になることがあったが、この話を聞いてからは“別にいいんだ”と思えて、少なくとも心の根本の部分では安心している。

 “夢に向かって、具体的に何をしてますか?”
 そう聞かれると重くなる。だいたい、夢自体もよくわからない。でも、どうしても答えなければいけないのなら、「出会う才能を鍛えています」と言おうと思う。泣いても笑っても、グランド訪問はもう少し続けよう。

 そうそう、この出会う才能の究極の持ち主がともきちだ。端から見れば、おもしろおかしく生きているように見える彼女でもやはり落ち込むときがあり、自信をなくすときがある。そんなとき、私はどう励ましていいかわからないけど、彼女の長所の一つが、この“出会う才能”を持っていることだ。でも、それは履歴書に書ける資格でもないし、給料があがるわけでもない。だから、無責任に口に出来ずに今まで黙っていた。でも、私は彼女にくっついていたおかげで、たくさんの出会いに遭遇し、貴重な経験をした。私にとっては喉から手が出るほど欲しい能力だが、そんなことを言っても、彼女は首をかしげるだけだろう。皮肉なことに、その才能は彼女が本当に欲しい物にはまだ出会わせてくれていないから。