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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2003年07月21日(月)
コールドの夏


 4月初めの練習試合、グランドには監督の怒鳴り声ばかりが響いていた。「タラタラせんと、ダッシュで戻ってこいやっ」、「道具を放り投げるヤツがあるかっ、ちゃんと直しとけ」。

 このチーム、大丈夫なんだろうか。それが、私が抱いた今年の東宇治高校に対する印象である。試合後、春になってから、練習試合で一度も勝てていないんだと聞いた。

 ところが、夏の大会では、2−1の接戦で初戦を突破。次の対戦相手は、京都外大西高校だった。初回、連打でいきなり先制したときは、「ひょっとして」とも思わなくはなかった。随所に、「おっ」と前のめりになって見入ってしまういいプレーもあった。でも、現実は2−10。7回コールドだった。

 選手は飄々としていた。初回は、「よしゃ、いけるで〜」と笑顔であふれていたが、回が進むにつれ表情がなくなってきた。でも、三者凡退に抑えた5回には、また笑顔。グラブをたたき合わせる選手もいた。髪型の規制は緩いのかもしれない。普通に丸坊主の選手もいれば、球場出て駅前のロッカーで私服に着替えれば野球部員だとはわからないだろうなという選手もいた。「選手も普通の高校生」、その言葉をすごく近く感じた。

 試合終了後、ホームベース前で、相手校と握手をし、選手がベンチに戻ってきた。ネクストバッターズサークルにはバットが残っていた。「そこ、バット持ってこい、バットや」。監督が2,3回声をかけてよくやく気づいた選手がバットを手にダグアウト前に戻ってきた。「整列して」「脱帽して」、もたつく選手に監督からの指示が飛ぶ。怒鳴り声ではなかった。不思議とほほえましく思った。

 球場を出ると、すでに選手たちは外にいた。中には、ズボンを腰ではいた私服姿の友人らしき高校生か若いOBも紛れていた。「なんや、号泣するのを見るの、期待してたのに」という私服の子に、“それは甘いで”と言いたげな笑顔で応える選手。「オレ、(アナウンスで)名前間違えられたわあ」とぼやく選手。

 数十メーター向こうには相手校の選手がバスの乗り込むところだった。そこにキャプテンがいたようだ。私服の子が冷やかして言う。「うひょ、握手してる。か〜んどうっ。さすがキャプテンや」。

 そんな中でも、泣いている選手はやっぱりいて。涙は見ていないけど、周りの子がなぐさめていたから、多分そうだろう。肩や肘にアイシングをしていたから、ピッチャーだと思う。ピッチャーは今2年生だ。

 そういえば、こんな声を聞いた。「来年は強くなるぞ、俺ら」。


<3回戦> 京都外大西 10−2 東宇治 (西京極)