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| 2003年06月08日(日) ■ |
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| あと30日ちょっと |
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ある高校の練習を見ていたときである。バックホームの練習だったのだが、同じミスを続けて繰り返してしまった選手がいた。そのとき、監督が本格的なお怒りモードに入った。それまでにもわりと怒鳴り声をとばす人ではあったが、ピークに達してしまったようだ。その選手だけではなく、チーム全体の動きが止まった。選手はその場で直立不動。しばらくは技術的な話だった。カットは入ればいいというものではなく、ストレート返球の方がベストな場合はむしろカットマンは邪魔な存在で、その判断が彼にはできてなかったようだ。で、そのあとに続いた言葉がこれだ。
「あと30日ちょっとでおまえの高校野球終わりだぞ。野球知らないまま、終わるんか?」
グランド内の空気が張りつめた。選手は一瞬の間のあと、「いえ…(いいえの意味)」という。練習中におしかりを受けるときの選手は、その内容から大半は「はい」という言葉を発する。だから、私にはその「いえ」の一言が新鮮だった。…でも、このときのグランドはそんな事態ではない。監督は、「何が『いえ…』だよ」と吐き捨てるように言ったが、もうこの件が終わりにしたかったようで、選手から目をそらし背中を向けた。ほどなく、コーチのノックが始まり、打球は外野に飛んだ。
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