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| 2002年09月02日(月) ■ |
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| 高校球児とお勉強 |
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多くの高校で今日から新学期が始まったと思います。当たり前なのですが、教室にはこの夏数々のゲームを見せた野球部員もいます。全国すべての高校3年生の球児の夏が終わっています。
この夏特に思ったことは、負けたチームの3年生選手は、明日からどんな風に過ごすのだろうということでした。夏休みは海行ったりして、なかなか受験勉強や就職活動に身が入らないかもしれませんが、2学期になったら勉強は避けられません。真っ赤な目をした選手たちが私の側を通り過ぎて行きました。そのとき、頭の中で彼らの土のついたユニフォームを制服に着替えさせ、教室の一角に放り込んでみました。
まだ残暑が厳しい。窓からは刺すような日差し。長身の女性教師の流暢な英語がBGMのように流れている。黒板には達筆は筆記体。まだ夏服のままの生徒たちは、シャーペン片手に教科書に見入る。女の子の背中がちょっと汗で濡れている。後ろの方では寝ている子がいたり、内職している子がいたり…。そんななか、彼はどういう態度でいるのだろう。寝ている?熱心にノートを取ってる?過ぎた夏のことを思い、窓からぼーっとグランドを眺めてる?英語は好きなのかな?数学はどうだろう。赤本とか持ってるのかな?宿題は出来たのかな?…頭の中が白くなる。彼は野球部員。それ以外の何者でもない。
高校球児とお勉強。私の中ではどうがんばっても結びつかないんですよね。水と油みたい。一応、野球部員の制服姿は目にしています。でも、彼らが教室の中にいて、黒板を見て何か書いていたり、テストで苦戦している姿が頭に浮かばないんですよ。もう昔のことなので、高校生がどんな勉強をしているかよくわかりません。そういう具体性の欠如がこういう事態を招いているのかもしれません。ですが、そういや高校生の頃も選手が自分たちと同じように教室で勉強しているということを意識したことなかったっけ?とも思うのです。
よくTVで「ふるさとに帰った球児くん」などといった秋以降野球部を引退した選手を訪問する番組があります。そのときに、教室で勉強しているシーンが写るのですが、なんかドラマのロケみたいなどと思ってしまうのです。スイングやグラブの出し方、制球に悩む選手のことは想像出来ても、どうしても思い出せない英単語があってモヤモヤしていたり、ささいな計算ミスで○になる回答が△になってしまって悔しがったり、現代文のまとめがどうしても出来ないと苦悩するとなどということが、彼らにもあるのが信じられないんです。誤解されないように申し上げますが、高校球児が勉強していないと思っているわけではありません。ただ実感がわかないんです。
これは、私が高校時代を女子高で過ごしたコトも大きいと思います。もし共学に通っていて、野球部員が教室のどこかにいれば、「甲子園で活躍した○○くんは、この問題解けるのなか?」などと自分と照らし合わせて考えることができたことでしょう。
彼女とデートしたり、友達とじゃれあったり、学園祭や体育祭に燃えたり、お母さんに生意気な口を利いてみたり…。そういう姿は漠然とではありますが想像できます。でも、やっぱり勉強しているところだけは無理ですね。
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