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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2002年08月29日(木)
よかった探し


 急遽、甲子園で行われる阪神ー中日戦を見に行くことになった。結果は散々。1−12。ゲームセットの声を聞いたときには、すでに午後10時を回っていた。一緒に見ていた相方は、「無駄に長い試合」と切り捨てた。

 阪神戦を見に行って、何が一番イヤかって、7回表に大量得点を取られることだ。その間に投手交代があったときなど、キレそうになる。そんなにイライラするなら帰ればいいのに、帰らない、帰れない。だって、その裏にはメインイベント(?)のジェット風船飛ばしがあるから。どんなつまらない試合だって、多くの観客はとりあえず、風船を飛ばすまでは、球場にいる。というわけで、7回表は風船を持っての待機時間。風船を膨らませ終えたら、もう一分一秒でも早く過ぎ去って欲しいのだ。

 谷繁選手の満塁HRでやっとランナーがいなくなり守りやすくなったかと思ったのに、次に出てきたピッチャーがまた自らピンチをこしらえる。もうわかったから、そういうのは7回以外にやってよ〜。さっきから、めちゃくちゃトイレに行きたくなってきた。こんなに長い攻撃なら、最初に行っておくんやった。いや、今行ってもまだ終わってないかも?でも、そういうときに限って終わってしまう。それが世の常?せっかくここまでガマンしてるんやし、そういう事態だけは避けたい。よっしゃ、負けてたまるか。そっちがその気なら、こっちもその気や。もう頭の中は妄想が彷徨うだけ。

 攻撃はなおも続く。横にいる学生らしき兄ちゃんのヤジが癪に触る。「このハゲ」とか「ピッチャー交代じゃ!」なんていう言葉で誰がウケんねん。さりげに周りの反応を伺わないように。ヤジに愛とユーモアがないとタダの中傷やで。そう思えば、たまにライトスタンドに行ったときに耳にするおっさんのヤジは最高や。やっぱ、ヤジも年齢を重ねないといけないのか?

 そんなわけで、ろくでもない一戦だったのだが、それでもよかったことがある。それは、9回裏に見た中谷選手のプロ初ヒット初タイムリー。センター前にヒットだったわけだが、試合展開が展開だっただけに、相手野手も1点を失うことをそれほど惜しく思っていない守備体制だった。それでも、得点。一時は野球をすることすら危ぶまれた選手の貴重なタイムリーに変わりはない。

 昔、ハウス食品愛の劇場と称した日曜アニメシリーズを好んで見ていた。その中に『愛少女ポリアンナ』というアニメがあった。どんな物語かはもう記憶の彼方だが、物語の主軸に「よかった探し」というものがあった。どんな日でも、よかったと思えることを探す。そうすると、明るく楽しい毎日が送れるというものだった。幼かった私は、すごい啓示を受けたような心境になった。今日の中谷選手のプロ初タイムリーは、まさによかった探しの代物。9回まで球場にいてよかったなあと思った。1つの「よかった」は、また新しい「よかった」を連れてくる。