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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2002年08月17日(土)
余計なお節介


 例年、甲子園の時期にJR大阪駅構内にいると、代表校の応援団の方を見かける。明らかに異彩を漂わせるTシャツを着ているため、一目で分かるのだが、こんなところで季節を感じることもある。

 ある年の春のこと、構内の緑の窓口で順番待ちをしている年輩の男性がいた。よく見てみると、その方はどうやら竜ヶ崎一高の応援をされている方のようだ。何を思ったか、話かけてしまった。「試合、どうでしたか?」と聞くと、「負けましたわ」という答えが返ってきた。あっちゃーと思った。こういう場所でこういう方に試合の勝敗を訊くのはよした方がいいなと思ったが、そのまま、「はい、そうですか」と引き上げるのもなんだか申し訳なく思い、話題を探した。

 「もう、茨城に帰るらはるんですか?」と訊いた。緑の窓口にいるということは、新幹線か特急に乗るつもりなんだろうし。ところが、その方は首を振った。「京都にホテルを取っているんで、泊まって帰るんですよ」。え。「じゃあ、京都駅まで行かはるんですよね?」という私の問いに男性は頷いた。

 もしかして、この方、京都まで新幹線で行く気なんじゃ?私の予感は当たった。私は意識するより先に、大阪〜京都間は在来線で行けることを必死で説明していた。新幹線だとまず在来線で新大阪駅に出、それから京都まで一駅。乗り換え時間を含めなければ、所要時間は20分程度。自由席で1300円強かかる。一方、在来線での大阪〜京都間は新快速で30分程度かかるが、540円で行ける。地元の人間で、京都〜大阪間で新幹線を使うなどますあり得ない。地方の方の地理感覚を痛感させれらた。かく言う私も、東京〜横浜間を京都〜大阪間の距離感で考えていて、エライ目に遭ったことがある。

 結局、その方は私の押される形で、緑の窓口から近距離切符売り場に移動した。私は買い間違いのないようにと、ずっとその方の横にいた。その後、私も待ち人が来たので、別れたのだが、今思うと果たしたあそこまでして在来線に乗ることを勧めてもよかったのだろうかと思う。

 確かに在来線の方が安いし、手軽だ。しかし、車内は新幹線以上に混んでいる。年輩の方だったし、もしかしたらゆったり座って帰りたかったのかもしれない。在来線があることを教えてあげたことは悪いとは思っていないが、切符買うときまで横で監視するように見張ってまで買わせる必要があったのか。

 人の価値観はそれぞれだ。私にとっての1300円とその方の1300円の意味合いはもちろん違う。私は、人にモノを勧めたり、忠告してりすることが苦手だから、極力そういうことはしない。それなのに何故あのとき、あそこまで強引な行動に出てしまったのだろう。思いやり?いや、違うな。自分が関西に詳しいことを示したい。それだけだったんじゃないだろうか。最悪。