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しもさんの「気になる一言」
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2016年10月28日(金)
ここでは必要以上に親密になっては、だめ

書籍「炎上する君」(西加奈子著・角川書店刊・198頁)から。
書き出しの「あなたは太陽の上に住んでいる。空で活躍している、
あの太陽ではない。『太陽』という名の、中華料理屋である」
伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」の書き出し
(春が空から降ってきた)を、彷彿とさせた。
短編のひとつ「ある風船の落下」は、面白かった。
地上の生活で「人間関係」などのストレスに耐えかねた人々の体に、
ストレスに代わり空気が入り込み、浮いていくという設定。
地上を飛び抜けた彼らは、誰かと特別な関係を持たない限り、
一定の距離感を保つ限りで、安定された環境が約束されている。
「人を信じたり、心を寄り添わせようとすると、重力が発生するの。
だから、ここでは必要以上に親密になっては、だめ」と、
先輩の「風船病患者」から、助言を受けるのたが・・。
疲れ、痛めつけられたはずの「地上」の人間関係が、恋しくなる。
やはり「誰かと心を寄せ合って生きていきたい」という想いが、
ひしひしと伝わってきて、いい話だった気がする。
西加奈子さんって、とても可能性を感じる素敵な作家だなぁ。