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| 2015年05月21日(木) ■ |
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| その頑固さを、大事にしなさい。 |
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書籍「火山のふもとで」(松家仁之著・新潮社刊・377頁)から。 淡々と過ぎていく物語の展開に、なぜか癒された。 作品全体に流れているリズムというものなのか、 作者独特の文体なのか、丁寧に、そして詳細に描かれている表現に、 毎日、読み続けることが楽しみになったことを最初に記しておきたい。 設計事務所の仕事ぶりと、ある図書館のコンペ参加という条件が重なり、 いつも以上にメモは溢れた。 設計事務所の所長である高齢の先生が、若い主人公に諭すシーン、 最初は、同じ事務所に務めている男性の人物評価かと思ったが違った。 「彼はシャッターを下ろしてしまうんだね。 そうやって自分を傷つけずにうまくやり過ごすための防衛策かもしれない。 しかしね、それではかえって傷を負う結果になるんだよ。 そういうことをくり返しているうちに、自分が何をやりたいのか、 やりたくないのか、だんだんわからなくなってくる」と、 仕事に対する姿勢を教えたかと思えば、 「理不尽なものに押し切られることもあるだろう。 相手のある仕事だからね。ただ、最後に押し切られるにしても、 自分の考えは言葉を尽くして伝えるべきなんだよ。 そうでないと、自分の考える建築がどこにもなかったことになってしまう。 自分自身ですら、たどれなくなってしまう」と言い、 「きみはやさしそうな顔をして、意外と頑固だからね。 その頑固さを、大事にしなさい。」と生き方をアドバイスする。 それはまさに、読者である私への、大切なアドバイスともとれた。 あと数年で停年なのに、こんなに頑固で良かったのかな、と振り返ることが 最近の悩みだったのに、この台詞で救われた気がする。 今更、変えられないものなぁ、この頑固さは。(笑)
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