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しもさんの「気になる一言」
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2013年11月07日(木)
風習ってのは、そういうもんじゃねぇか。

書籍「フィシュストーリー」(伊坂幸太郎著・新潮文庫刊・338頁)から。
「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」
大好きな作家・伊坂幸太郎さんの中短篇集であるが、どの作品も面白く、
文字が鮮明な映像となって浮かぶところに、その凄さを感じるとともに、
何気ない台詞にも、ウィットが含まれていて、当然私のメモは増えた。
「フィッシュストーリー」「ポテチ」は、映画化されているので、
今回は「サクリファイス」から選んだ一言。
「サクリファイス」(sacrifice)とは「生け贄・犠牲」という意味だが、
そこには、その土地に長く守られている「風習」というテーマがあり、
こんなフレーズが私のアンテナに引っ掛かった。
「風習ってのは、そういうもんじゃねぇか。
何かを隠すために、それらしい理屈をこじつけるってわけだ。
恐怖とか、罪悪感とかよ。あとは欲望とかよ。そういうのだよ。
そういうものをごまかすために、風習とか言い伝えとかができるだろう」
確かに「昔からの風習」という言葉で全てを片付けてしまうことの裏には、
恐怖・罪悪感・欲望など、その土地で生きていくには困る(邪魔になる)事が、
存在している気さえしてきた。
もしかしたら、部落民といった差別なども、風習の1つかもしれない。
しかし、その風習を守ることで、その地域が一体となってまとまることも事実。
改めて、私の住む土地の「風習」に目を向けてみたい。