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| 2013年09月29日(日) ■ |
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| 一番切ないことは、別れを言えずに終わることだ |
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映画「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」(アン・リー監督)から。 一匹のベンガルトラとともに救命ボートで漂流し、生還した少年パイ。 トラの名は「リチャード・パーカー」と言う。 小さい頃から父親に「トラは遊び友達じゃない、猛獣だぞ」と言い聞かされた。 「動物にも心がある、目をみれば分かるよ」と言い返せば、 「動物は人間とは違う。それを忘れると殺されるぞ、あのトラは友達じゃない。 お前は、トラの目に映る自分の心をみただけだ」ときつく叱られた。 しかし200日を超える長い漂流は、彼とトラとの関係を密にさせる。 「パーカーなしでは僕は死んでいた。 彼への恐怖が緊張感を生み、エサの確保が生きがいとなった」と語るように、 本当に、苦悩をともにしたものだけしかわからない関係になっていた。 そう思っていたのに、パーカーは、振り返りもせず、森へ消えていった。 「生きる力を与えてくれたどう猛で恐ろしい相棒、それが最後の姿だった。 子供のように泣いた。生還して感極まったからじゃない。 リチャード・パーカーがあっけなく去っていったからだ。悲しすぎた。 父のいうとおり、パーカーは私を友とは思っていなかった。 苦難を共にしたのに、振り返らなかった」と大粒の涙が流れた。 最後に、主人公・パイはこう呟く。「私は多くを失った。 家族、動物園、インド、恋人、結局、生きることは手放すことだ。 一番切ないことは、別れを言えずに終わることだ。 相棒は、トラだったが、こう言いたい。『終わった、生き残れたな』、 君は命の恩人だ、愛してるよ、パーカー」 私にとっては、とても切ない映画だった気がする。
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