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| 2013年05月30日(木) ■ |
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| 彼は私に同情していない |
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映画「最強のふたり」(エリック・トレダノ監督)から。 鑑賞している私たちは、客観的に観ているからか、 首から下が麻痺してしまった富豪の男が、 なぜ刑務所を出たばかりの黒人青年を気に入ったのか、 とてもわかりやすいのだが、映画の中では誰もわからない。 富豪の親戚の人たちは、財産目当てで近づいたとか、 「注意したまえ、ああいう輩は容赦ない」と助言するシーン。 それに耳にした、富豪の主人公はこう言い返す。 「そこがいい、容赦ないところがね。私の状況を忘れて、 電話を差し出す。彼は私に同情していない。 ただ体が大きく健康で脳みそもある、彼の素性や過去など、 今の私にはどうでもいいことだ」 周りは、お金持ちの障害者として、距離を置いて接する。 その点、黒人青年の彼は、1人の人間として認め、 今まで自分が経験したことのないことも、 健常者と同じように体験させ、なんでも臆病になっていた 富豪の好奇心を見事に満足させていく姿は、爽快である。 私も大好きな、ヴィバルディ作曲の「四季」。 特に「夏」は、効果的に使われていたなぁ。 感情が激しく揺さぶられるBGMだった気がする。
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