::オトウサン。(封神演技) 2002年07月28日(日)

「私、行きます。」
「ああ、そう・・・。行ってらっしゃい。」
「はい、行って来ます。」






そう告げて、
ただそれだけ告げて
サヨナラしようと。



ホントの気持ちを閉じこめて。
不安と、恐怖とともに。



迷惑だ。
迷惑なだけ。
あの人にとって




迷惑な、だけ・・・









でも、いつもひとりぼっち。










私がここに来るまで、ずっとひとりぼっち?









オハヨウと言ってくれる人、いた?









あなたはまたひとりぼっちに、なっちゃうの?









それをアナタは本当に、望んでいるの?









そんなの・・・・









淋しすぎるじゃない・・・・・









「あ・・・。」



「え?」



「ちょっと、こっちに来て。」



「?」







呼び止められて、振り返って


あなたは相変わらず眠そうな顔をして、欠伸をひとつして







「あ・・・。」







出てきた。







「・・・めずらしい。まだ三年たってませんけど・・・?」
「ん〜・・・。そうだっけ・・・?
 ま、いいや。確かこの辺に・・・あ、あった。」






後ろ手に何かを隠して、ほてほてと歩いてくる。

その姿は寝起き同然で(まぁその通りだけど)、思わず笑みがこみ上げてしまって





「何かおかしい?」
「い、いえ・・・珍しいなと・・・。ふふっ。」
「・・・ま、いいや・・・。
 はい、これ。」




上からバサリと突然かけられた物は



鶯色の





「これは・・・」





あなたと同じ・・・





「お揃いだよ。」





何処にいても、すぐにわかるように。





あなただと。






すぐに感じることができるように。






「行っておいで。」






いつだって忘れないと、証を。







「あ・・・りがと・・・ございま・・・す・・・。」







ぼろぼろと意を反して流れ出る涙。


不思議だね。


今まで、どんなときだって・・・・


本当のお父様やお母様が亡くなったときでさえ、


流したことなんて、


なかったのに・・・・。






「また、淋しくなったら会いに来てもいいですか・・・?」






口に出せずにいた言葉を






「精神体でよければ、いつだって話を聞いてあげる。
 貴女なら大歓迎だよ。」






伝えても、いいですか・・・?






「幸せに。
 幸せになるんだ。
 貴女なら、きっと大丈夫・・・。
 でも、たまには弱音を吐くことも大事なんだからね?」
「はい・・・」







「はい、お義父さん・・・。」









にっこり笑って、背中を押してくれる。


大丈夫。


忘れない。


あなたは、大丈夫。


淋しくなったら


あなたが起きる頃をみはからって


会いに行こう。


オハヨウと


言ってあげよう。






どんなに離れていても、分かり合える。


感じることが出来る。







あなたが、大好きです。







私の大好きな、おとうさん・・・



                  (作成・Up時 7月28日)



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