ぶつぶつ日記
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| 2002年02月08日(金) |
恋愛における価値観ー大好きな人3ー |
正直言って、この人のことを個人的に好きか、 というとはなはだ心もとない。 もし、会社の上司にこの人がいたら、 ちょっとやっかいだろうな、という気もするし、 さばさばしているもの同士、意外と大丈夫な気もする。 こちらが、きちんとなすべきことをするならば、 という大前提が必要ではあるだろうが。
私の彼女に対するイメージは、「雄雄しい人。」であろうか。 男性に混じって、政治論などを堂々と討論できる。 むしろ、ほとんどの男性は彼女にかなわないだろう。 男性的な政治的視点を持っている、珍しい人だと思うが、 その視点が十分に生かされている現在のローマ人シリーズよりも、 彼女の女性的生命力が溢れている、 初中期の作品が私のお気に入りだ。
塩野七生 1937年7月、東京生まれ、イタリア在住。 作家
同じイタリアで生活していたにもかかわらず、 この人のイタリアと、須賀さんのイタリアは、 全く別な国に思える時がある。 それは須賀さんが最初はローマに居を構えたものの、 ミラノというイタリアでもどちらかというと 「日本人の考えるイタリア」とは気質を異にする土地で、 ドイツ人的な北方の気質を色濃く受け継いでいた ミラノの人たちとの関わりが大きかったからかもしれないし、 単に、気質の違いなのかは私にはわからない。
塩野七生という人が好きなのか、 そこまでの見極めが出来ないのが、 彼女のエッセイの特徴のような気もする。 決して、自分の私生活というか心の中まで踏み込ませないような、 透明な壁。 自分自身のことを語っているのに、 他人の目を持っているような、そんな感じ。
私は彼女の初中期の、史実や実在の人物をモデルにしながら、 豊富な裏付けと類まれなる想像力で生み出された小説が、 とても好きなのだが、 それは、この人とは価値観が多分とても似ている、と思える一点があるからだ。 いつもいつも、読み終わるたびに、 「こういう風に、誰かを愛したい、誰かに愛されたい。」と思わされる。
特に私が好きなのは、「レパントの海戦」のバルバリーゴとフローラの恋。 そして「黄金のローマ」「銀色のフィレンツェ」「緋色のベネツィア」3部作の 娼婦オリンピアとマルコの関係。 この3部作にはもう1つ、切なさにどうしょうもなくなるくらいの、 悲劇に突っ走るマルコの友人の恋愛も描かれている。
彼らは多くを求めない。 そして自分の気持ちを密やかに、強く、持ちつづける。 見返りも求めず、 相手のために自らを犠牲にすることもある。 それは、「自分」が望んだこと。 悲劇的な結末を迎えても、誰をうらむわけもない。
彼女は言う。 「誰かから心から愛されたことのある女は、 その後一生、孤独を感じることはない。」 そっと、悲しみを自分の心に宿しつづけていたとしても。
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