| 2005年08月02日(火) |
メモリアルデー。激注意こっちを先に読んでねっ! |
ゲームが始まって数十分が経過した。 「くぅ〜……冷て」 ヤマトは木々の下に生える藪の中に身を潜ませながら、僅かに凍った肘を擦っていた。 ゴーグルに映し出されているHPは3分の1ほど減ってしまっていたが、それよりも問題は弾数の方だった。 「最初20発しか貰えないんじゃなくて、最高20発しか持てないって事かよ……」 ぶつぶつ文句を垂れながら、ヤマトはM92Fに銃弾を篭めていく。 ヤマトと太一に課せられたハンデは中々に厳しいもので、常に銃弾を確保できるようにしていかないと、直ぐに弾切れになってしまう。 しかし、アイテムが置いてある場所は、狙い撃ちをするには格好の場所な訳で。 先ほども、丁度タケルとアイテム場所の近くで鉢合わせ、銃撃戦を交わしたばかりなのだ。 (タケルにも2、3発は喰らわせたはずだけど、ピンピンしてたよなぁ……やっぱ耐久力の違いか?) どちらにしろ、真正面から戦うにはヤマトの方が不利に決まっている。 マークされている場所を避けて違うアイテムを拾える場所へと移動する必要があった。 (とにかく、銃弾と威力の強い武器が欲しいよな) 出来るだけ物陰に潜むようにして進み、マップに記されたポイントの場所へと進んでいく。 森の中から、廃墟のような場所へと変わる。隠れるには容易そうに見える場所だが、その分移動も森の中よりはし難くなっただろう。どちらにせよ、注意深く進まなければならない事には代わりがなさそうである。 と、その時物音がヤマトの耳に届いた。 「っ!!」 慌ててヤマトは寝転がってようやくもぐりこめるような棚の小さな隙間に、身を潜ませる。そこから注意深く息を潜めて辺りをうかがっていると、物音はドンドンと大きくなってきた。近付いてきているのだ。 「…………」 見つかるかもしれないという、一種独特な緊張感にヤマトはゴクリと唾を飲み込む。
どどどどどどどどどたどたどたどたどたっ バタラタラタラタラタラタラタラタラタラッ!!!
「きゃははははははははは!!!」 「ぎゃぁぁぁーぁぁぁ!!!」 文字通り、転がる勢いで飛び出してきたのは大輔だった。 ビュンビュンとその逃げる背中に銃弾が発射されている。 「ミミさんっ! 目っ! 目が怖いっ!!」 「きゃははははははははは! 癖になりそぉ〜!!!」 どこで手に入れたのか、ミミは両手にAK47を抱え持ってそれを乱射しながら大輔を追いかけていたのだ。 ミミに連射可能なAK47とは、一番相性の合う武器かもしれない。性格的にも的確な射撃というのに不得手そうなミミだが、このアサルトライフルはそれこそ『下手な鉄砲数撃ちゃ当たる』を地で行く武器である。 ヤマトと違い、弾数の持てる数にも制限がないらしく、それは派手に撃ちまくっている。 チュインっ!! 「うぉっ!」 兆弾の一つがヤマトの隠れていた棚の直ぐ傍ではじける。 思わず声を上げそうになって、ヤマトは自分の口をガボっと塞いだ。幸い、騒音の中心に居るミミには気付かなかったようだったが。 「覚悟なさいっ! 大輔くんっ!!」 「ぎゃぁぁぁー!!!」 どうやら、大輔はハンドガンしかまだ手に入れていなかったらしい。 AK47に反撃できるはずも無く、壁に追い詰められた大輔は全身くまなく蜂の巣に…ではなく、下手糞な弾でも至近距離の的を外す事はなかったらしく、哀れ大輔は頭も撃たれて全身が凍り付いてしまった。 「やったぁ! 一人倒したわぁ!」 ガッツポーズをするミミ。 (成仏せいよ……) 棚の下で思わず合掌するヤマト。 と、同時にヤマトのゴーグルにランプが点滅した。 『DAISUKE LOST WIN MIMI』 (あ、ナルホド……脱落者が出たら、表示が出るのか) 納得しながら、ヤマトはM92Fを構えながら、そぉっと棚の下から這い出る。 アサルトライフルを持っているミミと正面きって戦うのは無理である。未だすぐ傍にいるミミに気付かれないように壁とか柱とかに身体を隠しながら少しずつアイテムの方へと近付いて行く。 が、しかし、やがてミミに気付かれずにアイテムのほうへと近付くにも限界が来た。 (どうしようか………) ミミが今の場所から動く気配が無い。 かといって、ここからまた別のアイテムの場所へ移動するのも無理である。 (何かで気を紛らわせるか……それとも……) ヤマトが自分のM92Fを見つめる。 今弾奏にフルで入っているのが最後の銃弾だ。 急所を狙えればこれだけの弾数でもミミを倒せるだろう。 問題は、その急所を5回、狙わなければならないという事だ。 最初の一発、二発は気付かれていない今なら打ち込む事は出来るだろうが、気付いたミミが反撃してきたらそれでヤマトはアウトである。先ほどの大輔と同じ運命を辿る事になるだろう。 ヤマトは注意深く辺りを見回した。 色んな廃棄物が積み重なって、隠れる場所には困らない。 そして、ふと見れば床下へもぐりこめそうな場所も見つけた。その先がどこに続いているのかは判らないが、建物の形からしてアイテムが納められているBOXの近くまで伸びているかもしれない。 (………ミミちゃんにまず1、2発撃ちこんで、あの穴に潜ってしまえば追撃はかわせるか……アイテムだけとって、後は迎え撃つか逃げるかを考えた方が良さそうだ) 計画は決まった。後は、そのタイミングを計るだけである。 と、その時、先ほどと同じランプが光った。 『MIYAKO LOST WIN TAITI』 太一が京を撃破したらしい。思わずにやりとしかけたヤマトはハッと弾かれたように顔を上げた。 同じ情報はミミの方にも当然届いている訳で、ヤマトの予想どおり、ミミは動きを止めて意識はゴーグルの表示に向けられているようだった。抱えていたライフルも下へ降りている。 「今だっ!!」 ヤマトはがばっと立ち上がり、標準をあわせて続けて引き金を引く。 「ヤマトさんっ?!」 その軽い破裂音にミミが振り返ろうとしたが続けて急所に二発のペイント弾を受けて体制を崩す。 「きゃぁぁっ!」 「っ!!!」 ヤマトはミミが体制を戻さないように立て続けに発泡しながら、物陰に隠れそのまま床下にもぐりこむ。 「っっっめたぁぁぁいっ!!! やったわねぇ!!!」 バタラタラタラタラタラタラタラタラ!! ミミの憤慨した声がアサルトライフルの発砲音の間に響く。 床下へ潜り込める穴はミミの位置からは障害物があって見えなかったはず。 案の定、 「どこっ?! どこに行ったのっ?!」 ミミがヤマトを探す声が聞こえる。が、もし床下を覗き込まれたらヤマトに隠れる場所はもう無い。 必死に見つからない事を祈りながら必死に這い進み、先に見える出口と思しき光に向かって行く。 「あっ! こんなところに穴?!」 (見つかったかっ!) どうやら入り口を見つけられたらしい。心臓がバクバクいって中々のスリルである。 しかし、ヤマトの身体はもう出口の目と鼻の先で、運良くアイテムBOXが目の前に鎮座していた。 「むぅわぁてぇー!!!」 声が建物の壁越しではなく直に聞こえる。首を捻って後を向けばミミが入り口近くで入ろうと蠢いていた。 恐らく、マシンガンを前に持ってくるのに苦労しているのだろう。が、それを待ってしまえばヤマトは撃たれるのみである。 (そうでなくても、耐久力が低いんだっ!) 慌ててヤマトは床下を這い出ると、アイテムボックスに手をかけた。 がぱっと開ければそこには、新しい銃弾と新しい武器。 両手で抱えなければいけないほどの筒のような形をした銃である。 「な、なんだ? これ」 ヤマトもピストルやマシンガンなら判るが、こういった銃になると詳しく知らない。 だが、手に入れた瞬間、ゴーグルに銃の性能が表示された。 『M203GL(エム203グレネードランチャー)』 「ショットガンか!」 攻撃力の表示はかなり高い。コレなら急所を狙わなくても、かなりのHPを削れるだろう。 それを構え、ミミが出てくるであろう場所に標準を向ける。 が、ミミは出てこなかった。 「?」 首を傾げたその時。 『MIMI LOST WIN SORA』 「空っ?!」 驚きの声を上げたヤマトの耳に、軽やかな笑い声が響いた。 「うふふふ………そうよ」 「!?」 建物の影から、無造作に空が歩み出てくる。 その両手には、ミミのとはまた違った形のマシンガンが握られている。 Vz61と呼ばれる、銃身の短いマシンガンである。 「こういった遊びに男の子達が嵌る理由もわかる気がするわ………」 「そ、空?」 「うふふふふ……銃を撃つ感触って、想像以上に、か ・ い ・ か ・ ん ………」 「ひぃぃ!」 ネタが古いとか、そういった突っ込みが出来る状態ではなかった。 空の目はどこかイッちゃっていて、とてもじゃないが (怖いっ!!!) 顔を青くしているヤマトとは逆に、頬が僅かに高揚したままの空は、明らかに戦いに酔っていた。 「あら、ヤマト……ショットガンを手に入れたのね……うふふ……」 鈍い音を立てて、空がマシンガンを抱えなおす。 「どっちが強いかしらねぇっ!!」 「うわぁぁぁ!」 バタラタラタラタラタと軽い音と共に、今までヤマトが居た場所の後にあった壁が白く凍りつく。 少なくとも、ミミのそれよりも、空の射撃の腕の方が正確である。 (っていうか、なんで女子は銃を持つと性格が変わってるんだよぉぉぉぉぉ!!!) 太一以上に危険なのは、もしかすると女子達なのかもしれない。 (とりあえず背後を取ろう。正面からじゃ、まず無理だっ!) 障害物を楯にしながら、ヤマトは空を振り切ろうとする。が、空も運動部所属だけあり中々振り切ることが出来ない。 「まてぇぇぇ!!」 「ぎゃぁぁー!!!」 走りながら、廃墟を抜けて藪の多い森の中へと駆け込む。 「………っ!」 ふと、ヤマトがクルリと走りながら後を振り返り、器用に身体をひねってショットガンを放つ。 が、それは空の足下に当たった。 「うふふっ、下手糞ねっ! ヤマ、トォ?! きゃぁ!!」 どこを狙っているのかと笑おうとした空だったが、ヤマトの狙いはそもそも空をこかす事だったのだ。 凍った地面に足を滑らせて空が尻餅を付く。 その隙に、ヤマトの姿は消えていた。 「くっ……どこに隠れたっ!!!」 空がそれまでの微笑を消して、視線鋭く辺りを見回す。 「遠くには行ってないわね……どこか近くに隠れているのかしら……」 そう呟きながら、空は慎重に藪を銃身で掻き分けながら辺りをうかがう。一歩一歩、慎重に歩き、少し離れた藪が少しでも動けばマシンガンを放つ。それを繰り返しながら数メートルを進んでいった。 「…………」 もしかしたら、とっくに逃げてしまったのだろうか…… ふと、空の脳裏にそんな思いが過ぎる。 それが、隙となった。 ガサッ!! 「?!」 バタラタラタラタラ!! 動いたと思った先の藪に向かって銃を発砲する。が、 ガチンッ 「?! 弾切れっ?!」 マシンガンの難点は、連続して弾を発射する為に残数がわかり難いことである。 そして 「チェックメイトだ」 ガシャン…… ヤマトの声と共に、空の背後で鈍い音が響き渡った。
と、ここまででまたエンピツさんに文章長すぎと怒られたので切ります(涙)しくしくしく。 でも、これ以上伸ばすのイヤなんで、未来日記書いてやるー!
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