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旧あとりの本棚 〜 SFブックレヴュー 〜
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著者:ゼナ・ヘンダースン 出版:早川書房 [SF] bk1
【あらすじ】(目録より) 【ピープル・シリーズ】女教師ヴァランシーが赴任したのは、谷間のゴーストタウンさながらの鉱山町。そこで掟に縛られ、隠れるようにして住んでいる人びとこそ、じつは、遠い星からの難民、超能力さえもつ〈ピープル〉だった――ヘンダースンが故郷をうしなった者の悲しみ、同胞愛を謳いあげた連作短篇の長篇化。
【内容と感想】 自分達の惑星から脱出し、地球に不時着してひっそりと地球人に交じって生き続ける宇宙人を描いたオムニバス。宇宙人はいわゆる超能力が使え、そのために地球人から迫害された過去を持ち能力を押さえ付けてひっそりと暮らしている。しかし次第に地球人の協力者もあらわれ、自分達の能力を有効に利用しながら共存することを考えはじめる。また、地球人との混血や地球人の能力者も仲間として加わりはじめる。 作者が女性で情景描写が美しい。しかし宇宙人なのになぜキリスト教の敬虔な信者なのかが私にはよくわからない。それをいうとそもそも宇宙人は一目で地球人とは異なると思う。
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■『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 ★★★★☆
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著者:J・K・ローリング 出版:静山社 [FT] bk1
【あらすじ】(カバー折り返しより) 夏休みのある日、ハリーは13歳の誕生日を迎える。あいかわらずハリーを無視するダーズリー一家。さらに悪いことに、おじさんの妹、恐怖のマージおばさんが泊まりに来た。耐えかねて家出をするハリーに、恐ろしい事件がふりかかる。 脱獄不可能のアズカバンから脱走した囚人がハリーの命を狙っているという。 新任のルーピン先生を迎えたホグワーツ校でハリーは魔法使いとしても、人間としてもひとまわりたくましく成長する。 さて今回のヴォルデモートとの対決は?
【感想と内容】 イギリスで大人気となり、日本でもベストセラーとなったハリー・ポッターシリーズの第三巻(第一巻「ハリー・ポッターと賢者の石」、第二巻「ハリー・ポッターと秘密の部屋」)。一巻目の発売と同時に私は目をひかれて購入し、とても面白いと思っていたのだが、あっという間に大ブームとなってしまった。この手のものがベストセラーとなるたびに、「私の方が先に目をつけていたのに」と思ってしまう(笑)。
ヴォルデモートの手先だったシリウス・ブラックが、アズカバン要塞監獄から抜け出して、三年生となったハリーの命を狙っているという噂が流れていた。ホグワーツ校の安全のため、アズカバンの看守の吸魂鬼(ディメンター)が学校の周囲を警戒するために連れて来られた。しかしその途中、ホグワーツ特急の中でハリーはディメンターと対面し、具合が悪くなってしまう。 厳重な警戒が続く中、新学期は始まった。新任の「闇の魔術に対する防衛術」担当のルーピン先生を迎え、「魔法生物飼育学」「変身術」「占い学」「マグル学」「数占い学」など独特の授業が始まる。ハーマイオニーは異常な量の授業を選択していて、次第に勉強に追われていく。 ルーピン先生の秘密、ハーマイオニーの秘密、ブラックの秘密、休暇で訪れるホグズミード村の秘密。ハリーの両親が殺害されるにいたった様子が少しずつ明らかにされて行く。
しかしハリーの親戚みんながこれほど性格が悪い中、よくハリーも両親も良い性格でいられたものだ。自分の守護霊を呼び出すために一番幸せだった思い出を強く思うよう言われるが、幸せな思い出のないハリーが不憫である。アイデンティティを失うことが死ぬことよりももっと酷いことだとし、それを跳ね返すために幸せな思い出が必要だとするあたりはさすが児童書の鑑だ。
少しSF的なところもある。発達した科学と魔法は区別がつかないといったような事をクラークだったかが語ったが、2001年のヒューゴー賞にはこのシリーズが選ばれた。この作品ではないけど。
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