快賊日記「funnyface」

2002年10月29日(火) フロイトへの挑戦

不思議な夢を見た。
そこは大広間で、たくさんの人が集まってた。
何をするでもなくそこにいた。自分もそこに。
何人かの仲間と何事かを話してたけど、その人達の事は
覚えていない。そのうちに事件は起こる。
女豹のようなその女は、その部屋に爆弾を仕掛けたと言う。
時間内にその謎を解かなければ全員死ぬと。
泣き崩れる者、怒り狂う者。それから脱走を試みる者。
自分はといえば必死でその謎解きに取り掛かっていた。
しかし謎は解けず時間は迫り来るだけ。一か八かで唯一
その女豹とコンタクトの取れる仲間に言ってみる。
謎が解けたと言えと。その子は嘘はいけない。バレたら
殺されるからと泣きながら嫌がるが、私はさらに言い募る。
このまま待っても殺されるしバレても殺されるならやるしかない。
どうせ死ぬなら黙ってなんか死なない。あがきまくって女豹も
道連れだと。さすがに夢。ずいぶんと偉そうだ。出来もしない事を
言っている。とにかくそうこうしてる間にその時は来た。
誰もがあきらめたその瞬間。大画面に自分達の姿が映し出される。
死の恐怖に直面した時の自分達の醜態をみながら、
皆はいわゆるドッキリってやつだと安心をする。騙されただけだと。
案の定爆弾は爆発せず重い扉の開く音がする。
一斉に振り向いた瞬間、一人の男が鈍い音と共に血を流して
床に倒れ動かなくなる。その男は自分同様逃げる事を第一に
考えた男だった。勇敢にも皆を助けて逃げ出す方法を考えた男だった。
なるほどそういう事か。これは全員の死ではなく、生意気にも
生きようと女豹にチャレンジした人間の死を意味したゲームだったんだ。
女豹は真っ直ぐ私に向かって来て、あろうことか焼きゴテなんぞ
顔面に振り落として来た。顔が膨れ上がりただれて行くのが分かる。
燃えるように熱くちょう痛い。あー、もう一生女優は無理ね…。
ぼんやり思って顔を上げると、今度はナタを振りかぶっていた。
あ、女優が駄目ってかここで死ぬんだ私…そう思いながら目が覚めた。
別にうなされてもいないし夢見悪ぃって感じでもない。
ただ私らしいなと思う夢だった。顔を焼かれた時に思ったのが
女優として舞台に上がれないという心配だけというのが
自分でも笑える。そりゃそうだ。他に何もない、この身。
もしただ生きていくだけなら、焼かれた顔でも平気なんだ。
だって所詮心が顔に見え隠れしてしまうから。
醜い心をもってしまった時は焼かれた顔よりなお酷い。
変な夢だったけど、自分自身に教えられた気がする。
ちょっと面白かったし、今度本にしてみようか?
そんな事をチラっと思った朝だった。



2002年10月26日(土) Just・A・Little・Bit

ほんの少し。ほんのちょっとの問題なんだと思う。
しかしそのちょっとが深く根を張って言う事を聞かない。
例えば世界。届く事のない声だと分かっていながらも
命のかぎり生きたいと叫んでる群衆の中の小さな声。
本当に小さい声だけど、その心は本当に叫んで震えてる。
そんな声に少しでも耳を傾けてくれたなら、
世界はわりとうまくいくのかもしれない。
例えばこの国。もう少しだけでいいから心を許しあえれば
悪い事ばかりの最近、ではなくなるのかもしれない。
例えばあの事件。誤解を解く鍵はすぐ近くにあったはず
なのに。もう少しだけ信じられれば悲しい結末には
ならなかったのかもしれない。
例えばこの自分。堕落した自分を見限る勇気をもっと
早くにもてたなら、もう少しはましな自分でいただろうか。
例えば、人。驕りを捨てたら自然に帰れるのかもしれない。
この世はほんの少しでどうとにでもなる事だらけで、
どうにもならない事だらけ。そんな難しくて簡単な世界。
不可解なそれで矛盾を捨てればもっと飛べるはず。
だからこれからも、ほんの少しをたくさんたくさん
頑張って行こうと思ってたりする。



2002年10月23日(水) 白日の下、全てをサラケダセ。

小さい頃、蟻を見ると無性に気分が悪くなる事があった。
それは多分、それ以前の記憶が残っているから。
小さな田舎町は未だ舗装されてない砂利道がたくさん
あって、そこにはいろんな生物が所狭しと生きている。
水溜りに溺れてる蟻をみつけたのは偶然。
そのままやり過ごせば忘れてしまう些細な出来事。
どうせなら楽に死なせてやろう…子供のそれは実は無慈悲。
よかれと思い、押し付けた指。しかし思ったより強い生命力に
簡単に負けたその指は、むなしくその行動を繰り返す。
始めは無邪気な優しさ。そして思い通りにならない怒り。
さらには間違いに気付いた恐怖。
今思えば、その水溜りから救ってやる事が一番の優しさ
だったのだろう事が思いつかず、苦しまずにさせてやろうと
した行為がさらには小さい命を苦しませた遠い記憶。
そのせいか、今では虫一匹殺せない。夏に悩ませる蚊でさえ
逃がして一緒にいる人間に怒鳴られる始末。
あんなにも些細な出来事でさえ、今の自分という人間を
作り上げているのだと思うと少し自分に愛着がわく。
人は自分の傷に目を背けて生きて行く事は出来ない。
何かを作り出す仕事をしている人間程、それが大切になっていく
ように思える。たくさんの自分の心の裏側に閉じ込めた傷を
何度も残忍に掘り起こしてみる。
まるで真昼の太陽にさらすように向き合ってみる。
さらけ出されたそれは、その分大きく痛みを残すのは覚悟の上。
全てをさらけ出すというのはきっとそういう事で。
自分は役者だから、舞台の上でだけそうするのだろうと思う。



2002年10月18日(金) 不自由な体

私達は言葉を持っている。
だから意思を伝えるのは至極簡単。言えば、いい。
でも言葉を持たない動物はどうしてるんだろう。
よく動物同士は会話が出来るという人がいる。
鳴いてる声は会話なのだと。そうなんだろうか?
そりゃ鳴き方で多少の事は伝わるのかもしれないけど。
それでもはっきりとした言語をもった人間にくらべると
ずいぶんとそれは不自由に思えて。
それだけじゃない。何たって陸の動物達は四足歩行だもの。
その姿は愛らしくて仕方なくて、うちらをそりゃもうメロメロに
してしまうけど。けど、やっぱり不自由そう。
大空を自由に駆け回れる鳥たちだって、何て素敵と思うけど
嘴が彼らの食文化を狭めてる気がする。溺れ死ぬ心配のいらない
魚達。あんな風に泳げたらといつも羨ましく思うけど、
手足の自由のない体はいただけない。そう考えると万物の霊長で
ある人間はなんて自由。それなのに、この体を持った人間達は
何て不自由に生きているんだろう。国境を作り世界を狭め、
人種を作り出会いを減らす。切り売りするみたいな愛情と
切り取られて行く情熱と。繰り返す争いと終わらない口論。
せっかくの言葉は何のためだろう。真実を言う口はいつも塞がれて。
二本もある両の手は何のためだろう。広げた分だけ何かを包み込み
その分だけ何かを作り出す事が出来るのに。
真っ直ぐ伸びた両足は何のためだろう。大地を踏みしめ前に進める
はずなのに。救われない誰かのため、ふんばる事が出来るのに。
例えば人間なんかよりもずっと万能な生き物がいないとしても、
一番不自由なのは自由な体をもった人間かもしれない。



2002年10月13日(日) ホットココアの誘惑

10月ももう半月が過ぎました。
しかし秋と思えないこの陽気はどうでしょう?
最近やっと朝晩寒くまりましたね。
でも日中は秋晴れというよりかは夏晴れって感じ。
少し暑いくらいです。それでも風や空気が
秋になり冬に向かっているんだと思わせてくれる。
冬はわりと好きなほうです。少し前までは一番好きな
季節でした。ピンとはった空気が好きで。
快賊船を立ち上げる頃にはすっかり夏が好きになって
しまって、夏が来る度浮かれる始末です。
やはり快賊の航海は夏が似合うので。
それでも冬はやっぱり好き。というか、どの季節も
それぞれ愛してます。四季のある日本に生まれて本当に
よかったと季節が変わるごと思います。
好き加減に差はないけど、何かをしようと行動を
起こすのは、何だか冬や夏といった、はっきりした季節が
多い気がします。自分が甘ったれだからでしょうか。
気が遠くなるような果てしない暑さとか、体の芯が凍えて
くらくらするような深い寒さとか。そういう時、何かを
始めたいと感じるのです。そういえば、子供の頃友達と
初めてオーディションというものに応募しようと決めたのも
夏だった。気持ちのいい夏の日に写真を撮って、ギラギラに燃える
真夏に外に飛び出そうと決めた。でもそれからどうしたっけ?
その時より少し大人に近づいて、でもほんの子供の時、
本当に初のオーディションを受けた。それは凍えるような真冬。
東京は雪がちらついてて、何だかあったかい気がした。
姉がいれてくれたココアを飲んでから会場に向かって。
少し緊張してた。どんな事をしたのかははっきりしない。
覚えてるのは、終わった時には雪がやんでいて寒さが少し
和らいだ事。それでもはく息は白かった事。
優しかった姉。落ち込むよりも寒さと初めての経験で
震えがとまらず、でもその震えが喜びだと気づいた事。
それから、自分はこの道を歩いて行くだろうと漠然と思った事。
夏や冬の厳しさは背筋をまっすぐにしてくれる。
前だけ見てろと教えてくれる。そんな気がして。
そうやって時はめぐり、大好きな季節がまたやって来る。



2002年10月07日(月) 灼熱の38度

その国はとても寒い国だという。
地図を見ればそれは分かる。
目線をやや左上に移せばその国はそこに、ある。
とても近くてとても遠い国だという。
そしてとても不思議な国だ。
同じ顔をして同じ言葉を持ち同じ大地の上に生きている。
しかし別の国名を持ち独立した国を有するという。
長い長い長すぎる断絶の歴史がその国を切り離す。
決して後戻りの出来ないその道は、永遠とも思える程の
悲しみを引きずって未来へと続いてる。
悲しみの終わらない未来へと続いてる。
たとえば何がきっかけになるだろう?
その涙を止める術は皆が知ってるものなのに。
最近度々耳にする問題も、その一つの国の過酷な
体質しか伝わらない。元を正さなければ決して解決できる
問題ではなく。その元とはやはり38度線の消えない熱だろう。
その国はとても寒い国だという。
確かにそうだろう。この国より上に位置し、
冬は凍りそうな空気が街を支配するのだろう。
寒いはずの38度線はしかし熱く、いつだって人々の心を
焼いてしまう。燃え落ちて消えてしまうその前に、
伸ばしたその手を振り払わないで。
国は人と共に前へ進めるはずだから。



2002年10月03日(木) 天高く馬肥ゆる秋

気が付けば、もう秋です。
うっかりです。何もしてないまま秋を迎えてます。
秋ってのは昔からたくさんあるようで。
芸術の秋。食欲の秋。読書の秋。
それからスポーツの秋ってのもありましたか。
そして小さい秋です。見つけたいものです。
やはり暑くも寒くもないこの季節が、何かを始めるには
ちょうどいい頃だという事で、秋はたくさんの課題がつく
のでしょうか。紅葉が綺麗な季節。空が少し高くなって
気持ちのいい季節。確かに気分をリフレッシュするには
よい頃な気がします。ならば、とうちらも気合を
入れ直し来年のため再来年のため未来のため、頑張りたい
ものです。まずは亀の歩みよりも遅いこのHPの更新
でしょうか。少し載せる題材が集まりました。
ってか、後は作って作って載せるだけ。
さぼってる管理人によって題材がたまってしまった感がありますが、
何かに打ち込むべき秋です。更新に次ぐ更新をしてみせようと
思ってる次第でございます。もちろん肝心の公演も忘れていません。
前予告の日程よりやや遅れますが、最高の冒険になるよう
船も頑丈にして波も読んでしっかり舵を取って進んでます。
早く早く皆さんに会いたい一心で元気に走ってますので、
今しばらくは秋の夜長の波の調べに身を委ねてお待ち下さい。


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