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2004年11月30日(火) インクの匂いが漂う空間


会社帰りに出掛けられる時間が出来たので
ショッピング?映画?食事?と
何処へ行こうか思案した結果、
ひとりの時間なので
気になっていた出来たて本屋、、、
いやブックセンターへ出掛けました。


いや新しい本屋というのは
なんだか要塞のようで入る前は
ワクワクしてしまうのです。
キョロキョロして
各フロアをうろつく私。


天井が高くて本棚にびっしり、
手が出せそうもない高価な本の装丁、
そして座りやすそうな腰掛もあって、
オムライスの美味しそうな喫茶もある。
時間が有効に使える身分であるならば
きっと1日中居ついて店員を困らせて、、、
しかし残念な事に営業時間が短くて残念です。


まわりは少々ざわつきはあるものの、
走る人もいない、急ぐ人もいない。
本は好き嫌いが多いのに関わらず、
本のインクの匂いが
内に秘める好奇心をつついている
そんな空間が居心地良いのです。


2004年11月29日(月) 骨までしゃぶりついて


ケンタッキーへ早めのランチを食べに出掛けた。
毎日は食べたくはないけれど
やはり食べたくなる時期があるようだ。

チキン料理は我が家でもよく食卓にあがる。
から揚げ、煮物、サラダと
今晩はピカタを作って家族の胃袋の中に納まった。
誰も「今日も鶏肉なの?」と不機嫌になる奴はいない。

ただ家では出来ない事がある。
骨まで食べる事が出来ないのだ。
ケンタッキーの調理されたものは食べられるのに。

家で食べられるのはせいぜい軟骨どまり。
骨付きから揚げをして
軟骨なんぞ食べ残っていたら
我が家では「残してる!食べていい?」と狙われてしまうのだ。
美味しいところなのです、
カリカリ音を立てながら食べている。
なんとなくその様子は
犬のように片顎で食べているような様で
美しい食べ方にはならないのだが、、、。

鶏の骨は良く噛まないと大変な事になる。
刺さる可能性が大だ。
みんなに食べろとは勧めないけれど
たまにケンタッキーで
骨までしゃぶりついて食べる人に
何故か他人とは思えないくらい、
なんだか嬉しくなってしまうのだ。


2004年11月28日(日) 交差点


ある二階の喫茶店の窓際に辿り着く事ができた。
ホットサンドとアイス珈琲を注文し、
溜め息が一つでた。

窓のすぐ下の交差点を人々が行き交う。
これからの時間をこの街で
過ごす人たちが足早に通り過ぎ
眺めている私は宙に浮く様に
ここにたたずむばかり。

出会い、泣き、怒り、別れ、
それもここだったような気がする。
寒くて辛くてでも暖かい場所。
いや違うのだけど
ここにくると
過去のものがどっと押し寄せて
また居なくなってしまう
記憶の交差点のような気がするのだ。

注文したものが私の目の前に置かれた。
しかし食べにくいスプーンだけウエイトレスが出そうとして
やはり間違えたのか「少々お待ちください」と
奥へ引っ込んでしまった。
確かに付け合せのサラダとフルーツはフォーク、、、だ。

フォークが届けられて痛い視線は
向かいの窓際に座っている男性。
パソコン越しに私を眺め、
またパソコンに何かを打ち込む作業に戻った。

ホットサンドは熱すぎてハフハフしながら手で素早く食べ、
逆に時間を掛けて味わったアイス珈琲を味わった。
珈琲の入った氷をかき回ししすぎたのか
見る見る内に溶けていく様を眺めては、

「本当は寂しがり屋なんだよな」

この街の雑踏で
かき消したくなるくらい
その科白はとても痛かった。
耳の奥でまだ響いている。

電磁時計盤が19時を差し、
私は前へ進む為に伝票を掴んでレジへ向かった。


2004年11月23日(火) 小娘とはもう言えないから


4日遅れのボジョレヌーボーの解禁となった
我が家の夕餉の食卓。
久方に口を含んだ葡萄酒は
主人にとっては懐かしい味だったらしい。

彼のその頃の仕事仲間と
行きつけのお店で全部在庫を飲んでしまった、
と笑い話にしていた。
さぞかし店のご主人は頭を抱えていたかなと想像したが
笑ってご主人も許してくれただろうと考えを直した。

それは現在そのお店の存在はないから。

普通のワインを飲みなれない私でも
ボジョレヌーボーのワインは軽い。
何か物足りないというのはお酒飲みの言い分か?
もう小娘では何か足りませんと
言ってる年増の女性のようで嫌みな言い方は良くないが
それが旬の味わいなのだ、と納得した。

お祭り騒ぎに興じる事を
昔ほど嫌いではなくなった。
ふうん、店に行って見る?いやいや家で楽しもうか
そういう家族が傍にいるし、
そんなお祭りをやるの?という影が自分の中にいなくなったせい。

若いワインを楽しめるようになるのはいつの頃だろう。
そしてもっとワインが好きになるのはどの位先だろう。
別にワインじゃなくても、という人もいるかもしれない。

ただこの旬の味わいを
楽しい仲間ともしくは家族と
この旬の時期を過ごしたいというのは
どの位いるのだろうか。

ワインを特別愛している訳でもなく
お祭り騒ぎが好きではない私は
小娘ではなくなった。

ただ若いだけではなく
中身は熟成されているかと問えば
謎が深まるばかりだが
季節の旬を自分なりに楽しめる女性に
なれればいいなと思っている。

季節の旬は記憶のアルバムとなり、
過去の事を思い返して
仲間と家族との心の豊かさを
今後も感じて過ごしたい。


2004年11月21日(日) 夜からの逃亡


数年前のお話。

寝息をたてる愛しい人に
「帰るから」と声をかけた。
「何処に帰るの?」
「家に帰るよ」
そう言ったら
また彼は寝息を立てて
眠りの世界へ出掛けたようだった。

あの部屋に彼を置いて出て
始発電車に乗り
白々とあける空を見上げながら
家路に戻る朝。
冷たい空気が頬を差して痛感を覚えたが
私の心は妙に軽いものを感じていた。

彼から離れたということ、
夜から逃れられたということ。

安堵して急いで帰宅し
布団に潜り込んで
目を瞑るのだけど
なかなか興奮して眠れない。
朝の光が窓際に
もう「おはよう」のノックをしているからだ。


2004年11月18日(木) あたたかな傘


慌てて会社を後にして電車へ向かいました。
道行く人々はもう冬仕様のコートを着て
過ぎていくなと横目で追ったりして。
私と言えば、七部袖のワインカラーのシャツ、
厚手のグレーのスカートにブラウンのショートブーツで
上着を片手に持ちつつ
小走りに人々の林を駆け抜けていくのです。
嗚呼、なんかサザエさんのような落ち着き無さ。

ボジョレヌーボー解禁!、と
いつもの気になるお店の看板の
記憶を辿ってみては、
外で楽しむより家でワインで開けて
楽しむ方法を選んだ私。
ワインが美味しく頂く事ばかり、
乗車中何度も思い描いてしまいました。

最寄駅の改札口に到着した時の事。
雨が激しく降っていました。
タクシーを待つ場所は屋根がなく
傘を持たなかった私は
仕方なく冷たい秋雨を感じていました。

ふと気が付けば
ベージュの傘が頭の上を覆ってくれている、、、
振り向くと年配のご婦人が笑顔で
私のほうに傘の中に入れて下さっていたのです。

「助かります、有難うございました」

タクシーがくるまで
そのご婦人の優しい傘の下にいました。
やっとタクシー到着し
彼女に再度お礼の気持ちを込め会釈しました。

そして発車したとたん、
車内と外気の温度差で
私の体が身震いを起こしたのです。
彼女の気持ちが寒さも
吹き飛んでくれた為でした。

吐息はまだ白く見えない季節、
車窓から見える地面の水溜りの雨は
どこか寂しくそして激しく降り続いて
朝まで止みそうにありません。


2004年11月13日(土) セブンスターの香りが足りない.


ああこの場所を一生忘れやしない。
いや忘れる事ができない。
高架線の下に出る、
ある地下鉄駅の出口5番の風景。
目の前には行き来する車が通り過ぎていき
その向こうには小さな会館が静かに建っている。

そこに眠るように大事な人が横たわっていた。
その時横たわっていた「事実」を
「事実」と受け止めてなかった。
今でも「事実」と受け止めてないから
こんな悲しくて寂しくて
どうしようもなくなるのだろうか。
涙をどうやっても流す事ができなかった。

あの時あの場所で
独りで眺めながら
あの人の好きなセブンスターを味わう事が出来たならば
私はもっと精神的に楽になれたかな。



おととい電話があった、実家からで
「Mちゃんのお父さんが亡くなったのよ。
 お手伝いでいかなくっちゃならないから、
 あんた家族代表ででてくれない?」
母の言葉は最もだったから一つ返事で応えた。
「場所はね、Y会館だから」

Y会館、、、か。
父が亡くなり葬儀屋さんの車で
そのまま運んでもらい安置室に寝かせて頂いた。
冬の時期はどうやら亡くなる方も多いらしく
へんな言い方だが混雑期になるようだった。
そして焼却の順番待ちされて
寝かされてしまう父がとても可哀相だった。

やっと日程が決まったと言う事で
お通夜、お葬式をして斎場へ行った。
長い長い時間だった。
なのに何かを忘れてしまっていた、
思い出すことが出来ない、
大事なものを一緒に持たせるもの。
焼却する棺の中に。

お花や好きだった画集
手紙、家族の写真など入れた覚えはある。
そして係りの人によって
私達家族は最後の挨拶をして父と別れた。

その儀式の間、時間があるので
みんなでお茶を飲んだ。
最後の挨拶のとき
母や妹はあんなに泣いていたのに
私は涙一つもこぼせなかった。
今日もこぼせなかった。

出席した親族への挨拶もそこそこに外に出てみた。
どれが父の煙か分からなかった。
ああふと思ったのだ。
病気完治を信じていた彼は医者の一言で
暫くセブンスター吸わなかった。
そうだ、セブンスターの香りがあれば
父だと分かったのに。
棺にも誰一人入れなかった。


気がつかなかった、
それが無性に悲しくなって
私の目から一粒ほろりと地面に零れ落ちた。



目の前には行き来する車が
何事もなく通り過ぎていき
その向こうには小さな会館が静かに建っている。
自動販売機が近くにあるかな。
彼女のお父さんもセブンスター好きだった。
慌てて周りを見回したが自動販売機が見つからず
お通夜に大分遅れるのを覚悟して
自動販売機を探しに出掛けた。


2004年11月12日(金) 目で楽しむ.


食べ物を食べる時に
盛り付けが綺麗だったり
匂いが香ばしかったり
そしてそういう事も無意識に
楽しみ、とても重要なんだなと
思ったりした。

普段朝は普通のトーストだったのだが
子供にせがまれてフレンチトーストを作った。
卵に牛乳、お砂糖をいれ
擦って削ったオレンジの皮を少々加える。
そこに厚手のトーストを軽く漬け込んで
熱したフライパンにバターをひいて
そこに漬け込んだパンを焼く。

本当はオーブントースターの方が
ふっくら焼きあがるのだけど
時間が無いときはフライパンは便利。

目の前の変化に子供は感嘆する。
そして実況する。
「ジューって音がいいんだよね」
普段の私の言葉を真似てそういった。
そう、この音がお腹の虫をくすぐるんだよね。

そして白地に紺の模様が描かれた
まあるい皿の真ん中に
フレンチトーストを置き
お好みでメープルシロップをかける。
少し温めたホットミルクを
子供の右手側に置いて準備完了。

「どうぞ、召し上がれ」
「いただきます」

2枚あった厚手のフレンチトーストは
小さな口にあっというまに吸い込まれていった。
作る側の楽しみは
相手が嬉々としている様を見て
こちらがジワジワ感じる温かいもの。

目で楽しむ事は
自分自身への幸せの温感に繋がっている。


2004年11月11日(木) 常識を疑ってしまう事.


帰宅すると宅配便の不在票が入っていた。
但し何処から来たのか分かるのが
生ものなのか、着払いなのか
それとも家族の誰宛なのか分からない
そんな伝票は不在票とは言えないと思う。
仕事と言えども相手の立場になっておらず
何気なくポストに入れていく、
この作業ほんとに必要なのかな、
そう思うことが度々あるのだ。


主人が会社のお付き合いで飲みにでかけた夜、
子供と一緒にご飯を食べ、
お風呂にはいり、暫く本を読みながら寛いだ。
主人が夜中になる、帰宅は遅いと分かっていたので
早々と親子二人で寝るつもりでいた。
しかし布団に入っても
子供の方が主人の帰る時間を気にして
なかなか寝付けない。
困っていたらドアのチャイムが鳴った。

反射神経というものは恐ろしい。
子供は即座に起き、私よりも早く
インターホンの応対ボタンを押してしまったのだ。
今は時計は22時を指している。
本当は出たくないのが心情。
子供が押してしまったので
仕方なく訪問客と話さなくてはならない。

「どなたですか?」
インターホン越しの声は
ゴニャゴニャと小さい声で聞きづらく
玄関のドア越しに再度お伺いを立てた。
近所の人かな?いやいやこんな時間くる友達だって
ちょっとなぁ、、、こんな格好だから嫌だな。

「宅配です。お届けのものを届けにきました」
少し間があったと思う。
何もいえなかった、ドアをはさんで。
不在票以外の連絡は宅配の会社から受けていない。
「申し訳ありませんが、
 出直してもらえませんか?」
私には今起きていても
今日初めての業者さんの上
この時間帯、状況からしても
無用心にドアを開けることが出来ないのだ。

何を考えているのか分からない、恐怖。

暫くして階段の下りる足音が
段々小さくなっていった。
私の恐怖も少しづつ遠のいた。



仕事という立場もあるだろう、
サービスが夜中の時刻まであるのも凄いサービスだ。
それは人によって様々な生活があるからというのも理解できる。
しかし時間は24時間しかなく
いつでもオーライの時間と
ダメな時間というものがある。
不在票は確かに営業を考えた効率の伝票かもしれない。
しかし宅配の荷物を受け取る側にとって
恐怖を与える紙になってはいけないのではないだろうか。

今回の場合、宅配業者が来る前に
担当者携帯には繋がらなかった為
24時間自動受付電話というものに
当日ではなく違う日の違う時間帯にて指定していた。
再度入力した案内も確認の上のことであった。

それなのに、のこの夜の訪問は、
その人の仕事の考え方と
常識を疑ってしまう事だった。

***

反対に笑えるくらいの気持ちのよい
宅配業者もいる。

隔週ミネラルウォーターを
頼んでいる宅配業者の担当は日程時刻指定だ。
しかし担当の方は他の荷物も計算して
本当は休日の15時から18時の間なのに
休日ランチのパスタを作る時間、
この前はナポリタンを作っている最中の私に
電話確認を入れてくれる。

「○○のミネラルウォーターを
 あと5分以内でお届けできるのですが
 お客様のご都合いかがですか? 」

絶妙なタイミング、いやいや居ると認識した上の連絡で
その人はだめで元々、の電話をしているせいだ。
「今すぐ出掛ける」といったら
いつもどおりですねと確認し、
また「今ならいいよ」と了承すると
本当に5分内に届けてくれる。
仕事も効率よくやっていそうだし、となんとなく
見ても居ないのに想像してしまう。


一本の電話だけで
気持ちよく荷物が受け取れるのが
どれだけ嬉しい事かは、
主人も私も彼の顔を覚えてしまい、
届けてくれた後は笑顔で
「またお願いします」と声を掛けてしまう。
そしてドアを閉め
「またあの人だったよ〜」と夫婦で報告し合ってるのだ。

他の人にも覚えてもらっているのだろうな、あの人。
安心できる事、そしてそんな事が出来る人というのは
上質のサービスであるのを彼が教えてくれた。


2004年11月10日(水) テレビに時間を割いてたあの頃


テレビの前に1時間2時間、、、
ふと気がつくと
とっぷり日が暮れていた結婚当初が懐かしい。

あの頃私は何をやっていたんだろうと思う。
そういう無駄な時間も
必要だったのだと思いたいけれど
今の時間の過ごし方を考えると
ちょっぴりもったいないなと
あの頃の私に問いかける。

ニュースと日常のトピックスのように
テレビを見ている私に対し
家族が怪訝そうな目でみる。
「ちゃんと見てるの?」
「インターネット見たら?」
彼らはもうちょっとじっくり見たいというので
テレビの前から退散した。

幼き頃前の日の話題の番組を見ないと
次の日の話題にはついていけなかった。
大人になっても今日のニュースは外せない。
ただコミュニケートするだけのテレビの時間じゃ
つまらないなと思う今日この頃。


2004年11月08日(月) 恋人 ときどき 母親 が出来ない女


恋をすればするほど
お互いに心の何か満たすような求める役割を
相手に多様に求めるものなのかもしれません。

付き合う男の人達は
ある時は姉または妹、時には同級生、
またはそして母親の役割を
無意識に私に課していたのだろうと考えています。
その役割が出来ないと
お互いの中でわだかまりを抱える事になるのです。

私の中にはどうやら母親になる役割は
自分の中に見出す事の出来ない
つまり母親の部分が欠けている女性です。
今なら正直に告白できます。
それは薄々自覚症状があるからなのです。

普段怒ることは皆無に近いのですが
それが災いと成して大爆発となり
傍から好きな人がいなくなってしまうパターン。
またやってしまった、
一番見たくない母を、無意識にすることで
また落ち込んでしまうのです。

そうあの時の母の様にはなりたくない
なのに私の中で生きてるあの母の姿。
そんなところを好きな人には見せられない
こんな想いが一生続くのかという苦悩。

***

「なぜ私の気持ちをわかってくれないの?
 恋人もいて、好きな人とセックスして
 君ともしたいのになぜ逢ってくれないの?」

20歳もの年上の男性に言われた時に
大きな溜息が漏れました。
彼は自分自身を私に主張するのですが
果たしてそれは本当にあなたの幸せなの?
そして私にとって嬉しい事なのか考えた事がありますか?
と、くってかかってしまいました。

そんなのが男の我侭であれば
それを叶えることは私には出来ません。
あなたの女が泣くとわかっているのに
無遠慮で行動しているのなら
あなたは子供のすることと同じ。

そんな理由から怒り爆発してしまいました。
たぶん彼は普段の生活は自身を殺して生きており、
好きな人や自分の世界の中では思い通り生きていける
そう考えていらっしゃるようなのです。

そんな人に対しても冷静なときには
どうやっても姉や母親のような気持ちになれます。
ただただ幼子のように見えてきて困るのです。
段々彼が度が過ぎていくと
母ではいられなくなり
鬼になって怒ってしまうのです。

そんな貴方をみたくはなかったのだ、と
落胆してしまうのです。
外側は完全なオトナですが
甘えられる対象として私を見上げられてしまうと
包まなくてはいけない立場
それは短い期間もしくは心が健康なときにはいいのですが
体が精神が異様なときには無理は無理なのです。

完全な女性ではありません。
いつだって、どこだって
女はどこか少し欠けているのです。

私には出来ない、
あなたの母親にはなれない、
それはあなたに心の底から
嫌われてしまうから


「しょうがないなぁ、こまった人ね」

そういう風に思えれば
良い意味では懐の深い女性になれば
相互とも良い関係を築くことが出来るでしょう。
一瞬だけでも
彼のその言葉にならない願いを叶えればいいことなのに
私は時折絶対拒否の構えをしてしまうのです。

拒否をするそんな女の態度は冷たく感じて
男の人から見ると
私は彼を愛していないと思うかもしれません。
母親を演じられないのは私の我侭であり、
ただの言い分にすぎないのかもしれません。

母親になっているにもかかわらず、
同じ女としてなりたくないもの、私の中の母親の鬼の部分。
情けないというか何というか
いい母親に、
いやそれは男から見たら
一生いい女性になれない証なのでしょう。

それは彼が無意識に私に課していた
母親という役割を出来ないから、
私を許せないから、
彼の「なぜ私の気持ちをわかってくれないの?」の科白に
繋がってくるのです。

でも私は知っているのです。
一度そんな男のやっかいな我侭を聞いたら
ずっと笑って許さなくてはならないことを。
一度許した事は一生許さなければなりません。
でもそれが出来ないと思うなら
「【恋人ときどき母親】が出来ない女」なのです。


2004年11月07日(日) 神頼みしてしまう愚かさ.


いろんな事に思いを馳せる
深い秋の夜長となるとは予想もつかなかった。
しかしズンと重みのある
悲しい気持ちにもならないのは
何故なんだろう。
それでも私の頭の中には
ある科白が頭を回っている。
胸をつく、此処では言えぬ科白。

***

「俺に恋人がいないと思っていたの?」

かつての恋人がそう行った時否定が出来なかった事
私は少し間を置いて返答をした。
ある年の春の温かい陽気の日だった。

「そういう事を尋ねる自体、野暮だと思うよ」

恋人という関係を終えて1年以上も過ぎ
彼はとても寂しがりやな事も
女の人との縁が切れない事も
充分知っていたからの私の科白を
彼はちょっと罰が悪そうな顔をした。

「新しい女性(ひと)と幸せにね」と
彼には言えなかったのは
ちゃんと相手も自分も幸せに前向きになっているときだけ。
互いに模索しているときには言えない。

そういう科白を彼に投げかけても
そして彼はちゃんと聞いてくれないし、
きっと彼には私の言う事を納得出来ないから。

だってまだ彼に未練を持ってる、
そんな気持ちを悟られたくない。
なんだか勝負とは関係ないのに
彼の前では敗北した気分のようになった。

春の冷たい風が二人が居る部屋にも舞い込んできた。

***

あれからどのくらいたったのか
わからないくらい年月は過ぎて、
彼はまだこの世に生きているのだろう。

別れた恋人に、もしくは
音信普通のかつてのお付き合いの人に
幸せを願うのはなぜか。

幸せにしてあげられなかった。

そんな空しさは
私より幸せであって欲しい
という我侭な事を
神頼みしてしまうのかもしれない。

秋の空気のように
爽やかに自然に君を願いつつ
秋の木の葉を踏みしめ
そしてまた辛い冬がやってくる。


2004年11月04日(木) 巫女さんの服装への憧れ


駅のホームの広告欄に
求人広告が貼られていた。
参拝数上位に名を連ねる神社のもので
ここの初参りを楽しみにしている私にとっては
「一度神社内部を覗いてみたいものだ」
と淡々と思っていた。

ここでお正月働く人達は
売り子のように神社用半被を着て
働いていたのを見かけた。
大勢の人並みが押し寄せても
平然として的確に仕事をこなす。

私の志望動機、どちらかといえば
巫女さんの服装の憧れであって
受験で高校生の制服で選ぶようなもの。
軽い気持ちであることに間違いないので
面接できっと落とされる。

不思議なもので
制服を着ると言う事は
家にいる私と制服を着ている私がいる。
本質的には人は変わらないが
自分の中で切り分けている。
電源のon/offのように。

巫女さんのコスプレは人気があるのだという。
男女の心の底にある思慕のようなものを
くすぐるせいだろうか。

巫女さんのようになりたいけれど、
自身到底なれないことも知っている。
だからこそ着てみたいのだ。

着た時に背筋がしゃんとなり
自分の内側も清々しくなるような
凛とした雰因気がある
そんな服装はとても憧れがある。
たとえ一生袖を通す事がないと分かっていても。


2004年11月02日(火) ただのオンナにもなれない.


ある秋の夜に飲み会に参加した。
寒い空気と太陽が沈んだだけで
気持ちはなんだかワクワクしてしまうのは
集まる面子が気心しれているのかもしれない。
特に幹事をやっている彼に対しては。

飲み会メンバーの一人の女性が
私の住んでいる街にやってくる度に
数ヶ月に1度というペースで宴会を開いている。

その幹事を引き受けた彼は
妹分として私の事を可愛がってくれている。
一時期私に好意を持っているのではないだろうか
そうこちらが戸惑うくらい、
彼は色々と私の世話してくれた。
飲み会での初対面の人に彼が私を紹介する時には

「コイツを見ていないと何やらかすか、、、」

そんな口を隣で叩かれてしまう。
何の迷惑もやっていないよぉ、
と心の底では叫んでいるものの
そんな気持ちは彼には伝わらない。
私もいつの日からか
兄貴分として彼を受け止めていた。

今回は相撲で有名な街でみんなで鍋を頂いた。
アルコールも鍋の具材も話が進んで笑いが起きるたびに
どんどん注文しないと間に合わない。
幹事が何も言わなくても
彼のまわりにいる人がどんどん注文していく。
幹事さんがいないから何も出来ない人達ではないから
宴もいつも楽しく盛り上がっていく。
その中心に彼の存在があるからなんだ、きっと。

そんな彼は
お酒をあまり好まずいつもソフトドリンクで
みんなのお酒の進み具合話の乗り具合にに合わせて
雰因気を盛り上げていく。
ソフトドリンクにまるで
アルコールが入っているように。

宴が終わり、
彼と同じ方面の7人は彼の車に乗った。
家の近くで次々おりていき、
彼の家の一番近いと思われる私は
一番最後におりる事になった。
残り私一人に車内になったときに

「隣にのってくれる?」

そう声をかけてくれた。二人でいるのに
車の前後に乗るほど野暮な事はしたくないので
彼の言うまま助手席に座る事にした。

しばし沈黙の中、闇の街を走っていった。
あと1時間で明日になってしまう時刻。
さてどう話を切り出そうか、そう考えたときに彼が呟いた。

「なんだか今日は疲れちゃったな・・・」

あんなに他の男のメンバーとハモッて楽しそうに歌っていたし
主賓の女性にはとても仲よさそうに話していた彼は
それでもどことなく元気がないように思え、
「どうした、元気がないね」というのは
宴会で言わずに心の内にしまってよかったものらしい。

「今仕事忙しくってさ、
 明日が休みだと楽だったのにな、
 ゆっくり寝れるし、
 今からお茶にも誘えたのにさ」

え?という私の顔を見逃さずに
「ははは」と彼は声を立てて笑った。
「ほら着いたぞ、家の近くじゃないの?」
ふと見上げるといつもの生活の場の近く。
慌てて車から降りたら現実に引き戻された。
またな、と小さく挨拶をすると
あっという間に彼の車は小さくなってしまった。
置き去りにされたような寂しい気持ちは
家に近づく度に小さくなっていく。

時折彼の言動に迷う事がある。
妹というところから
違う立場になりそうな流れ、
それは彼にとって特別なオンナになりそうな空気。
それを二人で超えないのは
お互い何かがあるからなのだろう。

超えられない何か、
私も彼もそれを抱えているからこそ
私は周りの女性と同じ様にただのオンナにもなれず、
血の繋がらない「彼の妹分」で落ち着いている。


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