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2004年10月30日(土) セレナーデ.


秋の澄み切った濃紺色の夜に
粲粲と降りそそぐ月光の下で
口ずさむのはセレナーデ。

その時によって
歌う曲は異なるのだが
誰かを想って歌うのは
切ない気分から
穏やかな気分、
そして涙が頬を伝う。

この歌が
誰かに伝わらなくとも
私の中で生き続ける。
そう今宵の月のように
私の中で輝き続けている。




喫茶店に入って
隣の若い女性が向かい側に座っている年配の女性に
話した内容が科白が
頭の中を巡ってしまったせいだろうか。

「人生の上で何時でも
 いい曲を大好きな人に
 聞かせてあげることができないかもしれない。

 結婚する人や恋人という人は
 その苦痛も味わってしまうけれど
 でもそんな疲害も乗り越えられる人だから
 だからまた演奏できるんです」

秋の実りの野菜が入った
トマトスープを飲みながら
彼女の話を聞いた私は
この気持ちを分かち合いたい人に話すべく
お気に入りのセレナーデを
心で奏でながら家路を急いだ。


2004年10月16日(土) やんちゃな男達




家族風呂を楽しみにしていた私は
ゆっくり眠ればいいものを
いつも通り早めに起きてしまった。
朝風呂が気になっていた私は
ふと窓から階下にある外の家族風呂の入り口を確かめた。

狙いの檜風呂の入り口が空いているのを確認した。
こちらからはドアが開いているのを確認するほかない。
どんな人が入っていようが
家族風呂を使用しているならば締まっている筈だ。
他の家族風呂も空いているのを確認したので、
これは上手い具合にと思いながら支度しようと思った瞬間
朝もやの中で、空いていると思われた
家族風呂の入り口から全裸の男の人が這い出てきた。

一人ではなかった、二人三人でてきては  
まわりを確認して隣の空いている家族風呂の入り口へ
吸い込まれていった。
大事な男の人の場所はそれぞれ桶や脱衣籠で隠してたおり  
遠目で見た限りだが私より一回り上の感じの男の人達だった。

男の露天風呂は家族風呂と近くにある。  
朝早い時間帯であったから 
他に家族風呂を利用する人はいなかったのだろう。  
やんちゃな男達は生まれたままで 
家族風呂を利用したというわけである。 

何も言えず窓際に佇んでいた。 
見たくて見たわけじゃないしね、これじゃ入れないな 
そう思った時、家族風呂の入り口の前では  
やんちゃな男達と
状況を知らないこの場にやってきたカップルが
鉢合わせしたらしく大騒ぎとなったようだ。  
男達が慌ててドアを閉めた音が私のいる階まで聞こえた。



2004年10月14日(木) おむすび.




男性の仲居さんはとても背が高い人だったので、
珍しいものをみるように見つめてしまっていた私。
女性の仲居さんと考えていた自分を恥じた。

ところが
この仲居さんはある意味やってくれた。
部屋食であったので二人でゆっくり夕食を食べて
その後お茶を飲もうとしたが肝心のお茶がなかったのだ。

しかしお部屋に到着した時お茶飲んだはずで
ポットはあるのに
さっきあったはずのお茶づつみがない。
食事を用意したときに
仲居さんが他のものと一緒に持っていってしまったらしい。
受付に電話をしたら素早くお茶が出てきた。
「本当にすいませんでした」
仲居さんの額に光る汗が光っていた。
お布団を敷いて頂いてその後、
暫くしてノックの音が聞こえたので
「どうぞ」というと先程の仲居さんが立っており、
「あとでお腹が空いたら食べて下さい」
私にお皿を渡してそう言い残して帰ってしまった。

二人で暫く眺めてニヤニヤして
夜食の時間がとても楽しみになったのは、
胡麻粒が入っている大きなおむすび。

そのおむすびがとても彼らしくてあたたかった。



2004年10月13日(水) 違う意味での「湯治」.




寒さが私の住んでいる街とは3度も下がる気温。
緑に囲まれる渓谷、そして川の流れ、
テレビと冷蔵庫とあとは
何もない和室の部屋は携帯の電波は届かない。
他に連絡する人もいない、
なぜなら隣に主人がいるからそんな心配もいらない。

右肩に異様なコリを見つけて
スケジュール的に温泉旅行になったわけだが
何もない何もしない事が
体には良い事尽くめなのかもしれない。

ここの温泉には男女別の大浴場と露天の他、
川沿いの外に設置された5つの家族風呂がついている。
家族風呂といえば普通は予約制が多いのだが
ここの家族風呂は
24時間その上予約要らずという有難い施設だ。


旅館到着早々、主人についていき
ジャグジーのような泡の立ち上る岩風呂に入り
その後二つのお風呂を梯子した。
丁度夕方のお夕食となった。

大きな盆に載せきれないような食事を1時間楽しんだ後、
窓から家族風呂を覗いたのは入り口が見えるからだ。
ドアが開いていれば「空室」ということ。

しかし夕飯の時間後から
ずっと家族風呂が空く事がなく、そわそわ。
「しばらく空かないんだから
 テレビでもみてたら?」と背後から主人の声。
うーん温泉には入りたいし
露天風呂に入ってでもみようかなと一人支度をして外に出た。

家族風呂の入り口の前を通らないと
露天風呂には入れない。
ふと家族風呂のドアをみたら
空いているじゃないか!
慌ててUターンし主人を呼びにいった。

打たせ湯のお風呂は
小さな洞窟のようだった。
川の音は自然のBGMになって
これからの誓いの口付けも
私たちの会話の内容も消してくれた。

あと一つある家族風呂は翌朝入る事にしよう。
湯治は温泉だけが治す訳ではない。
入る人の気持ちも相乗効果になるのだろう。
じっとして入る温泉は私には合わなかったけれど
明日もワクワクして入る気分にさせてくれた、
この旅館がとても好きになった。





2004年10月12日(火) 薄橙の霧




有料道路に入る前に
ある喫茶店でお茶をした。
テディベアを集めているお店で
口に入ると溶けてしまう様な味わいの
シフォンケーキが美味しい。
雨降る山々のドライブを楽しんでいた。
目的は日帰り温泉なので
天気はまずまず、、といったところだろう。
霧が降りてきて進行方向に進めない。

「まいったな、こりゃ」
主人の大きな溜息がもれた。
山の方をみると景色も霧である。
お金をかけるのも
天気によるのかもしれないな。
そう思ったとたん山の霧は
薄橙になって目の前に現われた。
時に黄色にも緑にも見え
不思議な色の霧だった。

美内すずえ作「ガラスの仮面」の中で
紅の谷という場所がある。
濃い霧に包まれいつも梅が咲いている場所。
その梅の色が霧の色を紅の色に
染めて見えていたようだった。

「あと10日すれば紅葉も見ごろですよ」
日帰り温泉の仲居さんはそういって
熱い珈琲を淹れてくれた。
今日見た薄橙の霧の風景もなかなかいいですよ、
その言葉は珈琲と一緒に
喉元を通り過ぎていった。



2004年10月11日(月) 苦い珈琲の味のドライブ




「そういえば温泉出掛けるんですよね?」
整体の先生からそう切り出された。
診察台に上がって思うようにならない右肩をほぐされ、
なんとも言えない痛みに対応していた私は
先生に唸るしかなかった。

初めて結婚前の主人と温泉にでかけたドライブ中
山道を駆け抜けるような速さで運転したものだった。
F1の好きな彼は運転好きも高じて
隣に私を乗せているのも忘れてしまう程
Uカーブが続く山道を攻めた。

元来、車の助手席に乗り
長い時間ドライブするのが慣れていない当時の私は
グループで行くと山道前には眠ってしまうタイプなのに
デートとなれば早々寝てられない。
頑張って起きたのが災いとなったのだ。

夜中の山道を散々ドライブした挙句
下りのくねったとたん気分が悪くなった。
車を止めてもらい道の端で彼が見えないところで
嘔吐したものの体調がすぐれず
家に着くまで車の中で彼の隣で寝て帰るしかなかった。

あの時乗った車も私達も大分変わってしまったが、
あの時の私の飲めない苦い珈琲の味わいの思い出を
彼は覚えているのだろうか。


2004年10月09日(土) ただならぬ関係




朝通勤時にて知り合いが異性をつれて
談笑しているのを見かけると
『ただならぬ関係』かなと感じる事がある。
羨ましいわけではない。
そんな関係も世の中あるんだなと
大人になって理解できた事がある。

男友達をもつ事はもっと純粋だと思っていた。
男友達より濃い関係は恋人か旦那だ、と。
悩み事は一番に彼に相談しなくては、そう思っていた。
いざ恋をしたり結婚して生活をしていくと
いくら恋人や旦那でも出来ない事もある。
そんな役割を他の人が快く引き受けてくれたならば
私は心がとても軽くなる。

何も結婚の壁を越えて
恋愛をしようと唱えているのではない。
例えば旦那への悩みを持っていたとしよう。
旦那へ話をすれば、たぶん彼は
「そんな事大丈夫さ、へいきへいき」
そんな感じで受け止めてしまう人。
私にとってはありがたい存在ではある。
しかしもっと突っ込んだ回答を探したいときには
彼のその対応では私が不満になってしまう。

そうなると他の意見を自分の中で模索したり
また友人達に相談したりする。
それで新たな道が開けるパターンはいい。
但し誰にもいえない事、秘め事の場合
自分の中で果たして誰に相談するか苦労する事がある。

例えばここの日記(というか日記なのかという疑問もある)や
ホームページを改造しようと思っていても
どうやろうか手につかないまま毎日が過ぎていく。
毎日一つ何か書くと言う事に関して
守っているだけの場所になっているなと感じており
もう少し私らしさを表現するには
書くことを暫くの間辞めなければならないから。
心が重たく感じるのは私はそういう表現の作業は苦手だからだ。

私にとって「ただならぬ関係」というのは
恋をする相手ではなく、旦那ではなく
「旦那や友人に言えない、そんな話が出来る関係」なんだろう。


2004年10月08日(金) 寒露




秋の長雨の余韻が道路の渇ききっていない部分に残っていて

街の塵を沈めて朝の空気は清々しく光は輝いて見える。

空気の冷たさは益々鋭く感じてしまう。寒く感じる手前だ。



この時期から私の中で秋を意識するようになる。



夕方の風景を見るとどこかともなく

あっという間の一日の終わりを感じてしまうことがある。

お日様の光を明日まで拝めない寂しさ

夜の始まりを告げる挨拶がどこからともなく聞こえてくる。



イベントの多い10月のこの時期晴れるという相場だが

台風が週末にかけてやってくるようだ。

晴れ女としては、やはり秋空を週末プレゼントしたいのにな。




2004年10月07日(木) お祝いの気持ち2


喧嘩してその後そのままにしていた妹から
少し厚みのある手紙をもらった。
差出人は妹はもとより彼女の家族の名も
連なっていた。


内容は
彼女の子供の七五三の記念写真と
早めの私達への結婚記念日のお祝いの言葉と
彼女の気持ちだった。


人とどう繋がれるかはその人にもよるが
重要なのは話すことと
相手の気持ちを少しでも返そうという気持ち。


彼女の私への気持ちはよくわかった。
私の言いたいことを全部文字にしたためていたから
返事が出来ない。


素直じゃないなと一人で苦笑い。


ほんの少しのお祝いのお礼の言葉と
ありがとうを添えて
私の撮影した写真カードを送ってみるつもり。

彼女宛の手紙を書き始めていると
子供が私の顔を覗き込んで笑ったかと思えば
緑のクレヨンで読めない文字を
真っ白な画用紙に描き始めた。


2004年10月06日(水) ノート




真っ白なノートが好きだ

線が入っていなくて、真っ白な紙。

何枚も綴ってあって



何を書こうか迷って迷って

はじめの言葉を書くときは手が小刻みに震えるのだ。



言葉を綴り出すと止まらなくなり

私の心がノートの上で生き生きとしてくる。






2004年10月05日(火) お祝いの気持ち.


雨の休日の昼間うとうとしていたら
電話が部屋中に響き渡った。
受話器をとるととても懐かしい声の女性だった。

「瑠唯ちゃん元気?」
その彼女は仕事の一つ上の先輩だったが
旅行に行ったりご飯を食べたりする間柄だった。
彼女の電話はいつも急な話が多かった。


「急な話で申し訳ないんだけれど
 ○月○日あいてないかな?」

ご結婚のお祝いパーティをするのだと言う。
私がおめでとうを言うまでに
数十分彼女の話に耳を傾ける事になった。


私が最初の会社を辞めてどのくらいになるだろう、
年賀状の間柄になって長い月日が流れてしまった。


「申し訳ないんだけど
 その日結婚記念日でね出掛けちゃうんだ、ごめんね」

宿泊予約を取ってしまった事を伝えた。
こちらのお祝いには出席してくれたのに、
なんだか申し訳なく小さな声で応えた。
雨の音で消えてしまいそうな声で、
ちょっと寂しい気持ち。

「お祝い」の気持ちが彼女に直に言えなくなってしまった。

*****

私は30代なので結婚式のご招待は年々減少する。
私の近い友人達は半分くらい独身生活を満喫しており、
結婚についてあまり深い話をした事がない。
近い間柄といえども立ち入った事を聞けない事が
障害なのかなと考えたりして。私が気にしすぎなのかも。

結婚を決意して周りの人に祝福されたい、
そう思っている友人の気持ちには
微力ながらも役に立ちたい。

目の前で祝福は出来ないけれど、
お祝いに幸せの二人の姿がいつでも輝いているように
プレゼントとして銀のフォトフレームを探しに
明日街へ出掛けてこよう。


2004年10月04日(月) 代用不可能.


「恋をしたいのならば他の人を探してくれ」


高校の時言われた言葉、彼の2度目の科白。
私はそんなに恋飢えている女性にみえる?
その時は泣かずに冷静に言葉を受け止め、
片思いの恋はそれで終了してしまった。


あの言葉はわたしにとって
ずっと教訓のような
なぐさめの言葉なのか未だにはっきりしないが
こうやって思い出す言葉として
心に刻まれたものであれば
何か私にとっての言葉に感じている。


本物の恋人を探すつもりで
今まで生きてきたのかなと考えるとそうではなく、
お互いゆっくり、違う道であっても声かけていけるような人と
生きていければいいと思っている。


大好きな人の代わりは居ない。
その人は誰かに代える事が出来ないから
誰かはその人の代わりにはならないから。


大丈夫大丈夫と肩を叩いて励まし温かく見守ってくれる人と
これから世の中に羽ばたいていく清らかな瞳を持つ人と
そして互いの道を進んでいてもその人の幸せと健康を願える人がいる
そういう私はとても幸せ者であり、大事にしなくてはと思う。


この人達の代わりはこの世の中にはいない。


2004年10月03日(日) 神がいない、なんて


日本中の神様が出雲の国に集まって会議を開き
国々には神様がいなくなるので神無月となったらしい。
それにしてもお祭りが多い季節だなぁ。


神様をどこかで信じているのだろう。
通勤途中にある祠に
賽銭せずとも手を合わせてしまう。
祭りがあると家に居ても胸騒ぎがする。


人々の心の中にいる神様は
また次の世代に受け継がれていく。
そういう私もちゃんと理解していない。
けれど心に住んでいる神様は
いつも微笑んでそこにいる。


2004年10月02日(土) 蓋をあけてみないと分からない


会社の引越しがようやく終わった。
といってもまだダンボールをあけていない。
詰める時はあっという間だったのに
蓋を開け片付けるのは時間がかかる。
溜息が深く大きなものになりそうだ。


新しい場所に新しい器が生まれ
大きな期待は創った人たちの思いも
そこに通う人の気持ちも
これからつまっていく。
そして尋ねる人々の気持ちも。


手にまた水泡が出来
赤く腫れてしまった
わかってる体が悲鳴あげてるのを。
でも前へいかなくては。


蓋をあけてみなければわからない。
いつもそんな思いでいる。
新しい場所に馴染むのは時間が必要だ。
少しづつ自分の中で消化していきたい。


2004年10月01日(金) 雨降りの音に耳をすまして


今朝は雨降りの音に目覚めました。
家はとても静か、休日の朝という感じです。
いつもなら早く起きるのに
今日は体の声にならぬ声をゆっくりと受け入れます。


実は数日前
雨降りの朝どうも体が思うように動きません。
風邪なのかなと熱をはかってみたのですが37度手前。
中途半端な熱に体がいう事を聞きません。
心配そうな主人に病院まで送ってもらい、
診察を受けて下瞼を下に下げて一言、
「こりゃ貧血の症状だな、顔色も悪いし」


診察が終わって化粧室の鏡を覗いてみました。
下瞼の内側は綺麗なピンク色ではなく
赤黒くそして白く見えた。
ひと雨降る度に夏が遠のいていく
胸躍る気持ちが大きくなっていて、
引越しの準備の疲れをどこかで忘れようとして
過ごしてしまっていたのです。


心が固くならないうちに
ゆっくり雨の音に
耳を預ける事にします。


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