よるの読書日記
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『子どもを殺す子どもたち』 <デビッド・ジェームズ・スミス/翔泳社> 十歳の少年二人が二歳の男児を連れまわした後、惨殺。 ショッピングセンターを出る幼い三人の映像は日本でも センセーショナルに放映されていました。 本を読んでもね、やっぱりわかりませんでした。 子どもが子どもを何故殺したのか、その心理は……。 いいことと悪いことの区別はできる。 自分がしたことを母親が怒ったり、悲しむだろうと 考えることもできる。 自分の親が大好きで、たまたま出会った小さな子も そうだと思うなら、できるはずもないようなこと。 日本でも神戸の事件が起きて、いろんな論議がありましたが、 凶悪さ、というものは特別なものではないのかもしれません。 小さな倫理観があって、みんなが衝動を抑えているだけ なのかも。
ニューヨークの治安が良くなった背景には、「破れ窓理論」 があるそうです。窓の壊れている場所が犯罪の温床となり (麻薬の密売とか?)やがて凶悪化が進む。だから 窓が破れたらすぐ直そう――とパトロールを強化したのだとか。 少年達は何十人もの人に見かけられ、話もしている。 でも誰も小学生が平日に幼児を連れ歩いていることに きちんと対処しなかった。ううん、それを言ったら、 何度も学校をずる休みして万引きを繰り返す 我が子を、教え子を、近所の子を、誰か止めていたら。 こんな悲しい事件は起きずに住んだのかもしれない。 被害者の冥福を祈ります。そしてもう成人している犯人が、 自分の犯した罪を忘れずにいてくれることを。
| 2002年12月22日(日) |
ささやくように 歌うように |
フランス語というのは響きがなんとも詩的な感じが して好きです。こんにちはとはい、いいえしか言えませんが。 ベトナムといえば戦争、枯葉剤、シャム双生児という 負の印象が強かったけれど、イメージを変えたものの一つに 『愛人 ラマン』<マルグリット・デュラス/河出書房>が あります。映画化の際、デュラス本人に脚本を書かせようと いう話もあったらしく、実現はしなかったものの 姉妹編であるこの『北の愛人』では映像化を意識した表現が かなり出てきます。
解説では兄弟のポールについて兄か弟かはっきりしない―― デュラス本人がインタヴューで弟と発言していたり―― とありますが、小さい頃の写真で見る限りは兄でしょう、たぶん。 それにしても二十世紀人とは思えない大雑把な話だ。 でも、物語の世界の住人ならばこんなこと些細なのでしょう。 自伝的小説というのは、白黒つけたがる人にはお勧めできないかも。 本当なのか、嘘なのか、故意なのか、勘違いなのか。 私にとってはどうでもいい気がする。 目に浮かぶのは、ヴェトナムの強い陽射し、メコンの川面、 そして三つ編みに帽子を被った痩せっぽちの女の子、 ただそれだけ。
『灰色の砦』<篠田真由美/講談社文庫> 全編ほぼ回想、文庫本で約500頁。 しかもどシリアスな連続殺人事件。 大晦日の午後三時から除夜の鐘が鳴り出すまで、 これだけの内容をしゃべったら私ならくたくたである。 聞くほうに回るのだって辛いだろうなぁ。 途中で「ちょっとごめん。」と遮ってどっちかが お茶入れたり、部屋の電気つけたり 小用に立ったりする場面を想像すると笑えてしまう。 これって「こころ」<夏目漱石/岩波文庫>の先生の手紙が 長すぎる、というのと同じ「それは言わないお約束」ですか?
ともかくも私だったら深春氏の役割は無理です。 系統立ててしゃべれないから。映画のあらすじなんか 話してみると思い知ります。よく話が前後する。 しかし私のお母様はもっとすごいです。 映画どんな話なの?と聞くと2時間の映画2時間で説明する 気かいというほど詳細に説明するか5分で犯人を ばらすかどっちかです。もう惚れ惚れしちゃう。
『陰陽師 鳳凰ノ巻』<夢枕獏/文春文庫> 主人公の二人は常に飲んでいるような気がするのですが 肝臓の方は大丈夫なんでしょうか。 この時代ってまだ白酒なのかな。 ぐびぐび飲んでるみたいですが悪酔いしそうだな。
とうとう例の地名が出てきてしまった 『天上の愛 地上の恋』10巻<加藤知子/白泉社>。 エリザベートかハプスブルクの本を読んでて この地名をどうしたって避けては通れませんよねー。 この先を思うとなんとも切ないですが。
言わずもがなですが、実在のルドルフその人の肖像写真では、 確かもう立派におひげをたくわえた外見ですよね。 今の30代を青年って言ってもそうおかしくはないけど (村の青年団とか40代でも普通?) おひげはねぇ。少女マンガではNGですわな。 相手が同性の場合は特にね……。
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