よるの読書日記
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2002年12月24日(火) 線を引くもの

『子どもを殺す子どもたち』
<デビッド・ジェームズ・スミス/翔泳社>
十歳の少年二人が二歳の男児を連れまわした後、惨殺。
ショッピングセンターを出る幼い三人の映像は日本でも
センセーショナルに放映されていました。
本を読んでもね、やっぱりわかりませんでした。
子どもが子どもを何故殺したのか、その心理は……。
いいことと悪いことの区別はできる。
自分がしたことを母親が怒ったり、悲しむだろうと
考えることもできる。
自分の親が大好きで、たまたま出会った小さな子も
そうだと思うなら、できるはずもないようなこと。
日本でも神戸の事件が起きて、いろんな論議がありましたが、
凶悪さ、というものは特別なものではないのかもしれません。
小さな倫理観があって、みんなが衝動を抑えているだけ
なのかも。

ニューヨークの治安が良くなった背景には、「破れ窓理論」
があるそうです。窓の壊れている場所が犯罪の温床となり
(麻薬の密売とか?)やがて凶悪化が進む。だから
窓が破れたらすぐ直そう――とパトロールを強化したのだとか。
少年達は何十人もの人に見かけられ、話もしている。
でも誰も小学生が平日に幼児を連れ歩いていることに
きちんと対処しなかった。ううん、それを言ったら、
何度も学校をずる休みして万引きを繰り返す
我が子を、教え子を、近所の子を、誰か止めていたら。
こんな悲しい事件は起きずに住んだのかもしれない。
被害者の冥福を祈ります。そしてもう成人している犯人が、
自分の犯した罪を忘れずにいてくれることを。


2002年12月22日(日) ささやくように 歌うように

フランス語というのは響きがなんとも詩的な感じが
して好きです。こんにちはとはい、いいえしか言えませんが。
ベトナムといえば戦争、枯葉剤、シャム双生児という
負の印象が強かったけれど、イメージを変えたものの一つに
『愛人 ラマン』<マルグリット・デュラス/河出書房>が
あります。映画化の際、デュラス本人に脚本を書かせようと
いう話もあったらしく、実現はしなかったものの
姉妹編であるこの『北の愛人』では映像化を意識した表現が
かなり出てきます。

解説では兄弟のポールについて兄か弟かはっきりしない――
デュラス本人がインタヴューで弟と発言していたり――
とありますが、小さい頃の写真で見る限りは兄でしょう、たぶん。
それにしても二十世紀人とは思えない大雑把な話だ。
でも、物語の世界の住人ならばこんなこと些細なのでしょう。
自伝的小説というのは、白黒つけたがる人にはお勧めできないかも。
本当なのか、嘘なのか、故意なのか、勘違いなのか。
私にとってはどうでもいい気がする。
目に浮かぶのは、ヴェトナムの強い陽射し、メコンの川面、
そして三つ編みに帽子を被った痩せっぽちの女の子、
ただそれだけ。


2002年12月11日(水) インターバルなし?

『灰色の砦』<篠田真由美/講談社文庫>
全編ほぼ回想、文庫本で約500頁。
しかもどシリアスな連続殺人事件。
大晦日の午後三時から除夜の鐘が鳴り出すまで、
これだけの内容をしゃべったら私ならくたくたである。
聞くほうに回るのだって辛いだろうなぁ。
途中で「ちょっとごめん。」と遮ってどっちかが
お茶入れたり、部屋の電気つけたり
小用に立ったりする場面を想像すると笑えてしまう。
これって「こころ」<夏目漱石/岩波文庫>の先生の手紙が
長すぎる、というのと同じ「それは言わないお約束」ですか?

ともかくも私だったら深春氏の役割は無理です。
系統立ててしゃべれないから。映画のあらすじなんか
話してみると思い知ります。よく話が前後する。
しかし私のお母様はもっとすごいです。
映画どんな話なの?と聞くと2時間の映画2時間で説明する
気かいというほど詳細に説明するか5分で犯人を
ばらすかどっちかです。もう惚れ惚れしちゃう。


2002年12月10日(火) 酒とお化けと男と男

『陰陽師 鳳凰ノ巻』<夢枕獏/文春文庫>
主人公の二人は常に飲んでいるような気がするのですが
肝臓の方は大丈夫なんでしょうか。
この時代ってまだ白酒なのかな。
ぐびぐび飲んでるみたいですが悪酔いしそうだな。


2002年12月06日(金) おひげ痛くなーい

とうとう例の地名が出てきてしまった
『天上の愛 地上の恋』10巻<加藤知子/白泉社>。
エリザベートかハプスブルクの本を読んでて
この地名をどうしたって避けては通れませんよねー。
この先を思うとなんとも切ないですが。

言わずもがなですが、実在のルドルフその人の肖像写真では、
確かもう立派におひげをたくわえた外見ですよね。
今の30代を青年って言ってもそうおかしくはないけど
(村の青年団とか40代でも普通?)
おひげはねぇ。少女マンガではNGですわな。
相手が同性の場合は特にね……。


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