THOKOの日々

2013年11月10日(日) 夜の音

がちゃん、と家の鍵が開くその音にみんな耳を澄ます
20時を過ぎて鳴るその音は、これから始まる怖い夢の始まりを告げる
終わる時間はわからない

ガラスや陶器の割れる悲鳴
壁にうちつけられた愚鈍な重い響き
ぶつかりあうドア
階段を上がってくる音
スリッパのすり音
どのドアの前で止まるのか誰もがおびえていた

ドアが開いたと思ったら物が飛んできたり
大声で怒鳴り始める

家族は、夜が嫌いだった
怯えて暮らしていた
ひどい時はビジネスホテルへ逃げた時も
公園で日が明けるのを待った時も
友人の所へ泊めてもらった時もあった
平穏という言葉を使えない日々だった
家は、早く出ていきたい
安心できない場所だった

父は酒を飲むと巨大な破壊王に変わる人だった
家族の静かな夜にも
住宅街に響き渡るほどの大音響で叫ぶ
殺せーと言って道路に大の字で寝転がり泣いていたこともあった

その辛さを家族でわかちあって支えるという考えは当時誰も思いつかなかった
だから、父はこの世に見切りをつけたのだ

今だからわかることたくさんあるけど、
それはもう取り返しのつかない事
お父さん、ごめんなさい
家族のために会わない会社で体を壊すまで働いてくれていたのに感謝できていなかったよ
それでも、ありがとう今建物だけでも家があって弟たちが暮らしているのはお父さんが残してくれたあの家
誇りに思ってたよ


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