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■ 死の概念
ーーーー死ぬことが怖くない。 そんなこと、思ったことはないと思った。 戦いはいつも必死で、戦場には死が隣り合わせで存在しているのは分かっていたのに、それを気付こうとしなかった。いや気付いていたけど、怖くて気付かない振りをしていた。
…けれど。
誰もが定められたもの。逃げることなど出来ないもの。 それは自分に許されているものなのかどうか不安になる。 生きている価値はあるのか。 死ぬということを許されているいるのか。 中途半端な存在、いや、許されない存在の自分だから。
「じゃあその全ての罪を俺が生きている間は背負ってやるよ。」 「え?」 「俺が否定してやるよ。キラは死ぬことを許されていない。生きるのは自分のためじゃなくて俺のため。だからこうして生きている。これで他の誰に生きることを否定されても死ぬことを許されても、ただ一人俺は許さない。何人が言っても、俺は許さない。」
なにやら自信たっぷりに言うアスランに、キラはくすくすと笑った。
「…それって生かされてるってこと?」
自分の為に生きるのではない、人の為に生きている。死ぬことを許されないから生きている。 その強制は苦痛か幸福か。 「そういうことになるな。けど俺が死ねばキラはそれらから解放される。死ぬことも許される。」 「アスランより先に死んじゃ駄目ってことだ。」 「そういうことだ。」
ところどころに肌に残る傷跡をキラは指でなぞる。この戦いで付いたものばかり。けれどまだ生きている。
「…けど誰かに殺されて死ぬならアスランに殺されたいよ。だって最後まで姿を見てられるんだもん。」
キラはアスランの首筋に指を滑らせる。やさしく、そっと、ナイフでその命を絶つように。 「じゃあ俺が世界に嫌気がさしたら付き合ってくれるのか?」 「いいよ。アスランがそれを望む日が来たのなら。…僕が生きている限りそんな日は来ないって知ってるけどね。」
アスランが簡単に死なないとキラは知っている。人の命なんてとても儚いものなのに、アスランは違う。キラを一人残して死ぬなんてありえない。 そんなことありえるはずないのに。アスランだって死ぬことがあると分かっているのに、どうしてかそう信じられる。
「矛盾だらけだな、俺たち。」 「けどそんな矛盾があるから生きていけるんじゃないの?」 「まぁ、そうだな。」
正しいものがどれで間違っているものがどれで。 繰り返される矛盾の中で、それでも死ぬことを許されず、生きることを命じられその命の灯を消さずにいる。
************* 暗い様な微妙なこんなネタはしょっちゅう書いてて絶対被ってると思いつつもこんなところにこっそり書いてみる。
2006年10月15日(日)
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