「硝子の月」
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「……そういうワケじゃ……!」 ムキになってルウファを睨んだティオは、次の瞬間ふっと目を見開いた。 「……あれ?」 「……え?」 言葉を止めたティオに、ルウファは奇妙な顔でその視線を追いかける。 ルウファの頭越しに、後ろの窓。けれど見ても空が広がるばかりで特に何も見当たらない。 グレンも一緒にそちらを向き、眉をひそめて少年に問い掛けた。 「どうかしたか?」 「いや、今の――」 ティオが言いかけたとき。 たった今彼が見たものが、もう一度窓の外をよぎった。見なれた何かによく似た、黒いシルエット。 「あれ、ひょっとして――」 「ルリハヤブサ……?」 アニスより暗い色の、けれどそれは確かに――ルリハヤブサのようだった。
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