「硝子の月」
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2002年06月11日(火) <首都へ> 朔也

「それで、街まではあとどのくらいかかるわけ?」
 半分ごまかすように尋ねたティオを、ルウファが振り返る。
「そうね。上手くすれば今日中に着くかしら」
「……! ……っ、……――!」
「今日中に着けばベッドと酒うまい飯が待ってるってワケか。
 そりゃ野宿よりはよっぽどいいな」
「同感」
「………ッ!!」
 3人が語り合う後ろでシオンがばたばた騒いでいたが、当然誰も取り合わなかった。関わるだけ無駄である。 
「……ん?」
 そのとき、ふとティオが振り返った。背後からガラガラと音が近づいてくる。
「……あ、馬車」
「え?」
 ルウファの目がキラーンと光った。


紗月 護 |MAILHomePage

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