「硝子の月」
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「それで、街まではあとどのくらいかかるわけ?」 半分ごまかすように尋ねたティオを、ルウファが振り返る。 「そうね。上手くすれば今日中に着くかしら」 「……! ……っ、……――!」 「今日中に着けばベッドと酒うまい飯が待ってるってワケか。 そりゃ野宿よりはよっぽどいいな」 「同感」 「………ッ!!」 3人が語り合う後ろでシオンがばたばた騒いでいたが、当然誰も取り合わなかった。関わるだけ無駄である。 「……ん?」 そのとき、ふとティオが振り返った。背後からガラガラと音が近づいてくる。 「……あ、馬車」 「え?」 ルウファの目がキラーンと光った。
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