「硝子の月」
DiaryINDEXpastwill


2002年04月01日(月) <始動> 朔也

「……それで?
 お嬢ちゃんはこの老いぼれになにをさせるつもりなんだい」
「私たちの旅の連れが怪我をしました。旅を続けるのに支障をきたす大怪我です」
 試すような視線に、ルウファは怯まずに答える。思いもしないほど礼儀正しく。
「彼の怪我を治してください。それが私の条件です」
「ふむ」
 老婆が楽しげに頷いた。
「……旅、と言うたな嬢ちゃん。
 何のための旅じゃ? 何を為すために先を急ぐ。それをわしに答えられるか?」
「もちろんです」
 ルウファが挑むように微笑みかける。
「これは硝子の月を探す旅です、聡き方」


紗月 護 |MAILHomePage

My追加