「硝子の月」
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「……それで? お嬢ちゃんはこの老いぼれになにをさせるつもりなんだい」 「私たちの旅の連れが怪我をしました。旅を続けるのに支障をきたす大怪我です」 試すような視線に、ルウファは怯まずに答える。思いもしないほど礼儀正しく。 「彼の怪我を治してください。それが私の条件です」 「ふむ」 老婆が楽しげに頷いた。 「……旅、と言うたな嬢ちゃん。 何のための旅じゃ? 何を為すために先を急ぐ。それをわしに答えられるか?」 「もちろんです」 ルウファが挑むように微笑みかける。 「これは硝子の月を探す旅です、聡き方」
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