「硝子の月」
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けれど、他にどうすればいいのかもわからない。 「……何なんだよ」 「ピィ……」 「うん、ごめんな。俺らしくないよな」 湧き上がる弱気を隠せないままに、アニスに頬を寄せた。
「それじゃこの子達はいらないって言うのかい?」 「ええ」 困惑の表情を浮かべる老婆に対して、ルウファはきっぱりと頷いた。3匹の仔猫達は既に老婆の腕に移っている。 「かわいいその子達を危険に曝す訳にはいきませんから」 本音三割建前七割といったところか。 (三割もあれば上等か) 二、三歩下がった所でグレンはそんな風に思う。 「それじゃ、報酬は先に交渉したとおりに」 「ちょっと待ってください」 しっかり者の少女が老婆の言葉を遮る。 「何だい? あれ以上は暴利だよお嬢ちゃん」 「値上げ要求じゃありません。話によってはお金はいりません」 老婆もグレンも、意外な面持ちで彼女を見詰めた。
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