「硝子の月」
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2002年03月12日(火) <始動> 宮本祐樹

少女はそう言って、抱いている子猫に頬を寄せた。


グレンとルウファが行ってしまってから十分後―――。

むくりとシオンが起き上がる。
「げ…起きちまったよ…」
ティオは嫌そうにシオンに目を向ける。
彼はベットから起きあがって窓際に置かれたイスに移動していた。
ギシギシと痛む身体に鞭打って服を着始める。
「何だかあまり良くは覚えてないが、とても怖い夢を見ていたような…でも何だか微妙に気持ち良かったような気もするし…あれ?僕の子猫ちゃん達は?」
「ルウファ達が返しに行った」
「そうか」
シオンにしては素直な返事だなあと思ったのもつかの間、
「やだなあ、ルウファのやきもちやきさんv。僕の愛は君だけのものだっていつも言ってるのに、僕の愛が子猫に移ってしまうのが怖かったんだろ?」
まるでそこに彼女がいるかのように壁に向かって喋りつづける。
その言動にものすごく傷がうずく。






紗月 護 |MAILHomePage

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