「硝子の月」
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少女はそう言って、抱いている子猫に頬を寄せた。
グレンとルウファが行ってしまってから十分後―――。
むくりとシオンが起き上がる。 「げ…起きちまったよ…」 ティオは嫌そうにシオンに目を向ける。 彼はベットから起きあがって窓際に置かれたイスに移動していた。 ギシギシと痛む身体に鞭打って服を着始める。 「何だかあまり良くは覚えてないが、とても怖い夢を見ていたような…でも何だか微妙に気持ち良かったような気もするし…あれ?僕の子猫ちゃん達は?」 「ルウファ達が返しに行った」 「そうか」 シオンにしては素直な返事だなあと思ったのもつかの間、 「やだなあ、ルウファのやきもちやきさんv。僕の愛は君だけのものだっていつも言ってるのに、僕の愛が子猫に移ってしまうのが怖かったんだろ?」 まるでそこに彼女がいるかのように壁に向かって喋りつづける。 その言動にものすごく傷がうずく。
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