「硝子の月」
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2002年03月01日(金) <始動> 瀬生曲

「『悪夢の接吻』」
 呪文が完成すると同時に何かがシオンの唇を奪う。ティオにはそれは女の影に見えた。
「あ……」
 小さく声を発して、口付けを受けた青年はぱたりと倒れる。安らかな寝顔……とはとても言えない。
「やっと静かになったわね」
「「そうか?」」
 悪夢にうなされる彼を見下ろして頷く少女に、残る二人は疑問の言葉を口にする。
 そのタイミングが同じだったことに、少年は居心地の悪さのようなものを感じたが、黙っていた。
「貸して。返してくるわ」
 ルウファはグレンから仔猫達を受け取る。
「一緒になんて連れていけないもの」
 慈しむ、優しい眼差し――
「報酬はきっちり貰わないとだし」
 気のせいだったかもしれない。


紗月 護 |MAILHomePage

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